事業内容
このページは山口産業株式会社から提供された情報を記載しています。
概要

かつて、ピッグスキン(豚革)の生産を行う100社以上ものタンナー(皮革の製造業者)と関連加工業者が集積していた東京都墨田区。現在ではその数も減少してしまいましたが、1938年の創業以来、この地でタンナーとして事業を続けている山口産業株式会社。同社が供給するピッグスキンは、優れた品質が認められ、国内外の有名ブランドの製品に使用されるなど高い評価を得ています。それを支えているのが、3代目社長として同社を牽引する山口明宏氏をはじめとした少数精鋭のなめし職人の技術と、独自開発した製法「ラセッテーなめし」。2015年以来、環境負荷がかかる従来のクロムなめしによる生産を廃止し、天然素材である植物タンニンをなめし剤として使用する「ラセッテーなめし」に完全転換。他社製品との差別化のみならず、「人と自然と環境にやさしい革づくり」を目指しています。また、同社では自社事業と並行して、「やさしい革のある暮らし」を実現するために同社社長の山口氏を中心に「一般社団法人やさしい革」を設立。同社は「一般社団法人やさしい革」のプロジェクトを通じて、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
「人と環境にやさしい革づくり」の想いから生まれた独自技術「ラセッテーなめし」製法
同社の「ラセッテーなめし」製法は、1990年に先代社長が欧州に皮革産業の視察へ行った際、海外ではクロムを使用しない環境配慮型皮革素材の開発が進んでいることを知り、自社のピッグスキン生産にも取り入れようと技術開発を進めて誕生し、1997年に商標登録されました。SDGsという言葉が生まれる前から「人と環境にやさしい革づくり」を目指した先代社長の想いが結実した技術であり、その想いと技術は3代目社長の山口氏に継承されています。
なお、世界のなめし革製造の現場では、現在も金属性のクロムなめしが約90%を占めていますが、クロム剤には熱が加わると毒性の高い六価クロムに変わる危険性や、作業工程で排出されるクロムの排水が水質汚染につながることが指摘されています。一方、同社の「ラセッテーなめし」製法は、計画的に植林されたミモザ・アカシアから抽出する植物タンニンをなめし剤として使用。さらに、色付けの染料や革の繊維に柔軟性をもたせる加脂剤にも天然の油を使用することで、安心して使えて安全に土に還せる本革素材「ラセッテー・レザー」を作り上げています。
良質かつ人と環境にやさしい「ラセッテー・レザー」は、軽やかな手触りながら従来の植物タンニンなめし革に比べて強度、耐熱性に優れているほか、靴やバッグ、家具など多彩な製品の素材として使用できるのも大きな特徴であり、国内外の有名企業・ブランドに供給されています。


「やさしい革のある暮らし」の実現を目指し、多彩なプロジェクトを展開
同社では自社事業と並行して、「やさしい革のある暮らし」の実現を目指し、さまざまなプロジェクトを展開しています。その先駆けとなったのが、2008年にスタートした「MATAGIプロジェクト」です。この活動は、全国で問題となっているシカやイノシシなど、野生動物による被害対策後の獣皮を「ラセッテーなめし」で獣革にして産地に還し、地域の有効資源として大切な命を繋ぐことを目的としたもの。当初は口コミや利用者からの紹介などで1件ずつ依頼先を増やす地道な活動でしたが、2013年に環境系財団やNPOとともに「MATAGIプロジェクト実行委員会」を設立。同時にウェブサイトを立ち上げてから徐々に認知が広がり、2024年現在、北海道から鹿児島の屋久島まで全国700件以上の自治体・企業・地域おこし協力隊・ジビエ加工所・個人から依頼を受けるまでに成長しています。
また、2017年には「MATAGIプロジェクト」を一歩進め、捕獲からジビエ加工、小売、消費を繋ぐビジネスネットワークを構築するべく「レザー・サーカス」事業をスタートさせました。名称にある「サーカス」とは「サークル」の古語であり、フランス語では「循環」を意味します。この事業は、「MATAGIプロジェクト」を介して「ラセッテー・レザー」を供給しても産地によってはブランディングがうまくいかず、収益の上がる事業として成立しにくいという課題を乗り越えるべくスタートしたもの。獣皮の産地、つくり手、小売が連携して獣皮・獣革の有効活用に取り組み、あらたな消費文化を形成できるシステムを目指しています。
このほか、動物福祉に配慮し養豚由来の原料皮の供給拡大を目指す「ハッピー・ピッグ・プロジェクト」や、海外のタンナーに「ラセッテーなめし」製法の技術指導を行う「ワールド・レザー・プロジェクト」など多彩な活動を展開。山口氏は、それぞれのプロジェクトを円滑に進めるための組織である一般社団法人やさしい革を設立し、代表としてプロジェクト全体をプロデュースしています。


一般の人にも開放されている複合施設「RUSSETY FACTORY&MUSEUM」
2022年、同社は革工場敷地内に「やさしい革の博物館」を併設した複合施設「RUSSETY FACTORY&MUSEUM」を開設。皮革産業に携わる人だけではなく、一般消費者にも「やさしい革のある暮らし」の実現に向けた活動を伝えることを目的につくられました。博物館となる1階のガラス窓からは、工房でのなめし加工の様子を見学することができ、2階は猪革や鹿革などの同社がなめした「ラセッテー・レザー」に直接触れて自分好みの革を選び、その場でパターンオーダーのバッグなどの制作依頼も可能な工場直販のファクトリーショップとなっています。
開設から約1年間、同施設では、「レザー・サーカス」に参画する6軒のジビエ加工所から送られてきた鹿皮を使って仕立てたスタジアムジャンパーをはじめ、他社とコラボレーションした製品の販売を実施。2025年からは、ここでしか手に入らないオリジナル製品の販売を行っています。
なお、「RUSSETY FACTORY&MUSEUM」の開館時間は、火曜日〜金曜日が15:00〜16:30、土曜日が10:00〜15:00まで。観覧は無料ですが、同社のウェブサイトからの事前予約が必要となります。


資金使途
調達資金は、山口産業株式会社の事業全般にかかる活動に使用します。
事業計画
事業計画売上高
10,000,000円
会計期間全体(3ヶ月)における合計です。
売上対象
本事業の売上は、山口産業株式会社の全売上が対象となります。
分配金の計算および支払いの対象となる売上は、事業計画売上高の10,000,000円を上限とします。