ストーリー

たくさんの「ひとり」が世界を変える。誰もが手軽に取り組める太陽光発電投資ソリューション

「脱炭素」に向けて、世界各国が再生可能エネルギーへの転換に迫られているが、その歩みは思うように進んでいないのが現状だ。ましてや個人にできることといえば、自宅の屋根などのソーラーパネルを設置して太陽光発電に取り組むくらいだが、相当な費用がかかるうえ、戸建住宅でなければ難しいなどハードルが高いことは否めない。しかし、現状に危惧する環境意識の高い人たちは間違いなく存在する。そんな人々に支持され、注目を集めているのが、株式会社チェンジ・ザ・ワールドが提供する『CHANGE』だ。スマホやパソコンのアプリまたはWEBから、少額で太陽光発電所を分譲購入できるサービスである。社名がすべてを物語っているように、より良い世界の実現に向けて社会貢献と環境貢献ビジネスに取り組む同社の想いを代表取締役の池田 友喜氏にうかがった。

東日本大震災の原発事故が、故郷での再チャレンジを決意させた

株式会社チェンジ・ザ・ワールドの本社は、山形県酒田市にある。池田氏の故郷でもある。しかし、池田氏ははじめから山形で事業を始めたわけではない。高校卒業後、東京の大学に進学し、卒業後は都内のソフトウェア開発会社に就職。その後、テレビ通販会社を経て、2006年にソフトウェア開発やIT投資のコンサルティングを行う会社を起業した。会社の規模は小さいながらも経営は順調だったが、2011年3月、故郷の東北が未曾有の大震災に見舞われたのだ。
「たまたまテレビの生中継で放送された、福島第一原発の水蒸気爆発を見たんです。当時、ふたりの娘はまだ小学生と幼稚園。この子たちの世代が生きやすい環境をつくることが、大人である僕らがやるべき仕事ではないか。自分が携わってきたITの力を使ってやらなきゃいけないと使命感にかられたんです。そこで、将来的に必ず必要になるグリーンエネルギー分野に取り組もうと、2012年から太陽光発電所の事業に進出しようと着手したのですが、とにかく右も左もわからない状態からのスタートでした。」

太陽光発電に関係するさまざまな会社からアドバイスを受けていた矢先、訪問販売会社から太陽光発電所の購入を持ちかけられる。最初の一歩との思いから購入したところ、詐欺にあってしまったのだ。再エネ事業に向けた資金のほとんどを失い、会社の経営も立ち行かなくなってしまったが、使命感は消えることがなかった。
「それまでの会社を清算して、あらたな会社の立ち上げを考えました。ビジネス面だけを考えたなら、東京で事業を起こした方が簡単ではないかとも考えたのですが、せっかく再チャレンジするのだから目立つところが良いのではないかと思ったんです。生まれ故郷の酒田市は、地方にありがちな保守的な土地柄なので、新しいことにチャレンジすることに否定的なんですね。だからこそ、一度東京で失敗した僕が再起する姿を見せたい。次の世代のためにチャレンジする姿を見せたい。それが将来的な地域貢献につながるのではないかと思ったんです。生活コストが安いので最初はお金が稼げなくても生きていけるだろうという思いもありました(笑)。もうひとつの理由は、都会ではなく、自分が育った自然あふれる環境の中で子どもたちを育てたいという思いでした。」
2014年、池田氏は再起をかけて株式会社チェンジ・ザ・ワールドを設立。山形から日本全国に向けて太陽光発電事業をスタートさせたのだ。

社会的で革新的な事業への挑戦 その第一歩が『CHANGE』

株式会社チェンジ・ザ・ワールドが掲げる企業ビジョンは「グリーンエネルギーの発展に、みんなが参加できる社会を創る」というもの。それを具現化するサービスが、最小1ワット(約200円~300円)で太陽光発電所を分譲購入でき、購入した分に応じて売電収入を得られるサービス『CHANGE』。スマホやパソコンからいつでも気軽に購入でき、誰もが再エネの発電者になれるプラットフォームである。このサービスのコンセプトは池田氏が自ら考え、スタッフと構築していったのだという。
「まず自分が投資をして太陽光発電所を所有したいと思っていましたが、そこまでの資本がない。だったら、どうしたらいいのか。当時、経済の合理性を主体にした企業による太陽光発電所の建設は下火になっていくだろうと予想していました。だとしたら次の再エネの成長カーブは経済合理性によるものではないはず。それまでは企業が儲けるためのマーケットでしたが、そうではなく環境意識を持った個人が、自分たちも参加したい、投資運用の立ち位置で考える人たちが出てくるのではないか。それが次の成長曲線になることを狙っていたんです。そこに向けて開発を進めた読みが当たったという感じがしています。」

現在、『CHANGE』用の太陽光発電所は全国に約80基あり、会員数は1万4,000人にのぼる。これまでにない特徴ある事業だが、もうひとつの大きな特徴は耕作放棄地に太陽光発電所を設置している点。耕作放棄地を農地として再生させ、営農一体型のソーラーシェアリング方式を採用しているのだ。
「最初から耕作放棄地に建設することを考えていたわけではないんですよ。建設用地を探しているときに荒地を見つけたのですが、実はそこは農地だったんです。どうにかできないかと行政に相談したところ『ソーラーシェアリングというものがあるよ』と。それが第1回目の取り組みだったのです。」

現在、日本国内には約29万ヘクタールもの耕作放棄地があるという。農業従事者の高齢化、後継者不足から、さらに今後も増えていくと考えられている。しかし、発電所の設置に当たっては農地法という問題が障壁となった。農地である以上、農業用の利用が必要となる。ところが農地法の規制緩和によって太陽光発電所に一時転用許可が出るようになった。それにより立体的に土地を活用しながら太陽光発電と農業の両方を行うことが可能になった。これが『ソーラーシェアリング』である。
「僕らには農業経験がなかったので、そこは大きな課題でもありましたが、地元の農家さんに手伝っていただき、別働隊で農業チームを作ることで問題をクリアにしました。今はソーラーシェアリングが推奨されているので、全国から引き合いが来ています。やっと僕らが活躍できる環境が整ってきたと感じています。」

環境価値を還元する新サービス『グリーンワット』をリリース

チェンジ・ザ・ワールドでは、『CHANGE』に加え、企業向けに発電所の設計から保守・運用までを提供するサービス『CHANGE for Biz』も展開している。さらに、2021年7月21日に新サービス『グリーンワット』をスタートさせた。既存の『CHANGE』はFIT制度(固定価格買取制度)を利用して、安定した売電収益をユーザーのメリットとして提供するものだが、『グリーンワット』はFIT制度が適用されていない非FIT太陽光発電所を用いるサービスで、売電収益の分配を行うのではなく、環境に対する貢献度である『環境価値』を購入者に還元するものだ。
「ユーザーの分析をしたところ、70パーセントぐらいが10万円以内の投資でした。安定した利回りが得られるといっても、それほど大きな見返りがあるわけではないわけです。おそらく投資目的ではなく、自分もカーボンオフセットや環境に貢献したいという思いが強いのではないかと。そういう仮説をもとに環境貢献に特化したサービスとして始めたのが『グリーンワット』です。」

この『グリーンワット』は、1口500円で、7月21日の午後9時から販売を開始したところ、翌日の昼ぐらいに完売してしまったという。
「何か大きな歯車が動き始めた気がします。企業である以上、利益は大切ですけど、あくまでも僕たちの主目的はより良い世界をつくること。みんなで手を合わせて協力していかなければ、2030年までに370億トンものCO2をオフセットすることなど絶対にできない。『CHANGE』と『グリーンワット』が両輪となって、太陽光発電所の建設につなげていくことが、日本を変え、世界を変えることになっていくのではないか。その実現に向けて全力で取り組んでいます。」
誰もが再エネの発展に参加できるソリューション。株式会社チェンジ・ザ・ワールドの事業は、地球のため、未来のために私たち一人ひとりが貢献できる機会を提供してくれるもの。まさに今の時代に求められている事業である。