ストーリー
日本初のプロバスケットボールクラブとして新潟に誕生した「新潟アルビレックスBB」。2016年に開幕したB.LEAGUEに初年度からトップリーグであるB1に参入。勝利を目指しながらも、バスケットボールを通じて地域活性化をミッションに掲げ、地域イベントにも積極的に選手を派遣している。「長岡市、新潟県はもちろん、関わるすべての人たちにワクワクする週末を過ごしていただきたい」と話す、株式会社新潟プロバスケットボール代表取締役社長の小菅学(こすげまなぶ)氏に話を聞いた。
大型LEDビジョンを導入して最高レベルの演出を
「我々は長岡市のシティホールプラザアオーレ長岡という施設をホームアリーナとして使用しています。長岡駅直結のため、新潟県内のお客さまはもちろん、県外から来るお客さまにとっても来場しやすい施設です。新潟県にはアルビレックスという名前でサッカーや野球、陸上などたくさんの競技団体があり、それぞれの分野で地域活性化に取り組んでいます。我々、株式会社新潟プロバスケットボールは日本バスケットボールの最高峰である「B.LEAGUE」に加盟し、日本一になるべく日々研鑽を積んでいます。親会社をもたない、地域に根差したクラブチームとして多くの企業様からサポートをいただき、限られた予算の中で最高のパフォーマンスを発揮してくれる選手を獲得しています。また、バスケットボールの特徴として、チアリーダーやMCなどによる演出でお客さまを楽しませることができると考えております。これまでも他チームに先駆けて演出によるサービス力向上に取り組んできましたが、今の環境では限界に近づいているとも感じております。光や音はもちろん、映像による演出効果を上げたいと考えたときに、今までの壁面ビジョンではなく天井吊り下げタイプの大型LEDビジョンが必要だと考えるようになりました。我々の試合会場には1階から3階まで複数の席種があります、試合コートや選手との距離は席によって差が出るのは当然ですが、映像演出に関してはすべての席のお客さまに同じクオリティを提供できるようにしたいと考えております。試合会場に入った瞬間、圧倒されるような大型ビジョンでお客さまをお迎えし、最高の演出とパフォーマンスで皆さまをワクワクさせたいです。」
アリーナスポーツは天候に左右されない安定した観戦環境が強みである。小菅氏の言葉にもあるように、バスケットボールを観に来るお客さまは試合結果だけでなく、会場の雰囲気や演出を楽しみに来るかたも多い。B.LEAGUEも「エンターテイメント性の追求」や「夢のアリーナの実現」をリーグの使命として掲げている。新潟県民をはじめ、試合会場に来るお客さまに最高の週末を過ごしてもらうべく、新潟アルビレックスBBでは大型LEDビジョン導入を目指している。
最高のアリーナで最高のプレーを披露したい
大型LEDビジョンの導入は来場者の満足度を高めると同時に、試合に出場する選手たちにも好影響を与える。B.LEAGUE開幕と同時に地元新潟に凱旋したチームの中心選手、五十嵐圭氏も次のように語っている。
「B.LEAGUEになる前は日本には2つのバスケットボールリーグがありました。1つは企業のバスケットボール部が中心となったNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)。もう1つはプロ化したクラブチームが中心となったbjリーグです。新潟は他チームに先駆けてプロ化を図り、bjリーグ立ち上げに大きく貢献したと聞いています。私は大学卒業後、企業チームに所属しNBLでプレーをしていました。日本代表に入るような選手もたくさんいて、試合のレベルはとても高いリーグでした。しかし、お客さまは同じ企業の社員や関係者が中心で来場者を楽しませるような演出には力を入れていませんでした。逆にbjリーグのかたがブースター(ファン)を増やすために、試合の演出に力を入れているチームが多かったです。私も過去に一度新潟で試合をしたことがありますが、演出やお客さまの声援の熱量には圧倒された記憶があります。B.LEAGUEに統合され、新潟に移籍してきましたが、私が圧倒された熱量が今度は自分たちの背中を押してくれることに喜びを感じています。試合演出も入場時に派手な演出をしてくれると、それだけで気分が高揚してきます。運営スタッフのみんなが演出の強化に力を入れて、それを楽しみにしてお客さまの数が増える。そうして試合空間自体に大きな熱が生まれ、私たち選手の背中を押してくれる…選手としては絶対に勝たなきゃ、という気分になりますよね。最高のアリーナで最高のプレーを披露したいです。」
日本代表経験もある五十嵐氏は今年38歳となり、選手としてはベテランの域に入っている。若い選手が増える中で、昨シーズン、アシスト部門でリーグ3位になるなど高いパフォーマンスを続けている。新潟で再び輝きを増している彼のプレーを支えているのは間違いなく新潟の応援の力である。
日本一のファンを最高の演出でお迎えしたい
およそ30万人が暮らす新潟県長岡市。新潟アルビレックスBBが長岡市に拠点を移して丸2年が経過した。同地区を拠点とする初めてのプロスポーツチームということもあり、新潟アルビレックスBBを中心とした地域活性事業も始まった。2016年9月には長岡市、株式会社新潟プロバスケットボール、長岡地区NIIGATA ALBIREXバスケットボール後援会、公益財団法人長岡市スポーツ協会が「バスケによる市民協働のまちづくり包括連携協定」を締結。バスケットボールを軸にしたまちづくりが本格的にスタートした。冬季には雪で覆われる同地区において、アリーナスポーツが根付く土壌はすでにあり、B.LEAGUE開幕戦は5,000人を超えるお客さまが観戦に訪れた。開幕元年、チームは中地区4位(18チーム中10位)という成績にもかかわらず、1試合平均集客数はリーグ5位にかがやいた。来場者アンケートではおよそ半数が長岡市内からの来場という結果も出ている。小菅氏はこう語る。
「bjリーグ時代、我々は新潟市を拠点としていました。B.LEAGUE開幕にあたり、長岡市に移転したわけですが、いかに早く地域の皆さまに受け入れてもらえるかが勝負だと考えておりました。幸いにも移転前からアオーレ長岡で試合する機会があったので、すでに応援してくれている方々はたくさんいらっしゃいました。ただ、B.LEAGUE開幕戦という日本バスケットボール史上最大のイベントを超満員の中で迎えたい、という思いが選手やスタッフにはありました。新潟出身でバスケ界でも人気の高い五十嵐圭選手の獲得をはじめ、長岡市と連携して地域貢献活動にも積極的に参加させてもらいました。そうした効果からか、開幕戦に会場を埋め尽くすほどのお客さまに来ていただけました。二重三重で立ち見の列が出てしまうなど、一部のかたにはご迷惑をおかけしてしまいましたが、長岡市民の皆さま、新潟県民の皆さまの強い後押しを実感できました。我々は新潟のファンは日本一だと認識しています。選手たちはそのファンの期待に応えるために勝ち星を重ねなければなりませんし、運営側は試合内容以外でも楽しんでもらえるように努力しなければなりません。そのためにも大型LEDビジョンを導入し、新潟の演出を一段階上にあげたいと。日本一のファンに日本一の演出を提供する。これは我々の使命の一つであると考えています。」
新潟にはサッカーや野球などプロスポーツチームは他にもあるが、冬季に関してはバスケットボールが主役となる。天候に左右されないアリーナスポーツは雪国新潟にとっては他県以上に貴重な存在だ。都市圏に比べると人口数で劣る地方都市において、リーグ屈指の集客数を誇る新潟。新潟のファンは確かに日本一と言っても過言ではない。小菅氏の言葉にもあるように、日本一のファンを日本一の演出で迎えることはプロスポーツチームにとっての義務といってもいいだろう。