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金利レポート
フィスコ金利レポート 円金利見通し:2007年2月22日

今回の利上げで残された課題:日銀と市場との信頼関係再構築が鍵に

2月21日、日銀金融政策決定会合において、日銀は0.25%の利上げを実施しました。2006年7月以来の利上げとなり、無担保翌日物金利はこれで0.50%となりました。
この結果については、1月19日に当欄で予想したとおりのものとなりました。1月19日時点で指摘していたのは、1月18日の決定会合で利上げが出来なかった分、理由はどうあれ、2月21日の決定会合では利上げは実施するということと、その利上げという手段に日銀が打って出る過程で背中を押すことになるのが、為替市場における円安地合いという状況だということでした。

話が前後しますが、今回、日銀が利上げに踏み切った背景を探っていくと、行き着く先は、2月9日、10日にドイツエッセンで開催されたG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)ではないかと筆者は見ています。この時点で、今回の利上げの流れが決まったと考えます。
今回の日銀金融政策決定会合において、利上げに踏み切った背景を説明しようとすると、2月15日に示された10-12月GDP(国内総生産)が強かったから、これを材料にしたといわれても、所詮は過去の数字ではないかとの反論が出るでしょうし、また、足元の消費者物価指数(2006年12月全国消費者物価指数)も前年同月比0.1%上昇と、小幅に留まっていますので、このレベルで誘導目標金利である無担保翌日物金利を0.25%から0.50%にする理由にはなりません。つまり、年明け以降の経済情勢からは、1月に出来なくて2月に出来た理由は見当たらないことになります。そう考えると、今回、利上げに踏み切る決断に至ったのはやはり、G7が結果的に日銀にとって支援材料になったと解釈できうるわけです。

では、そのG7の内容はどのようなものだったのでしょう。結局、円安問題は共同声明に盛り込まれなかったものの、会合自体では論議されることとなり、一部観測では尾身財務相が、ECBのトリシェ総裁から円安・ユーロ高について問題視するとの発言を受けたようです。
この発言は、暗に日本政府が日銀に対して低金利政策を維持させていることを批判するようなものとも解釈できうるわけで、実際、この会合を境にそれ以降は政府から1月にあったような露骨な日銀への利上げ牽制発言が鳴りをひそめることとなりました。つまり、このG7会合で日銀は政府からの干渉をシャットアウトすることに成功し、その成功ゆえ今回の「利上げ」につながったと筆者は見ています。
しかしながら、こうした裏の背景を今回の利上げの理由だとはとても説明できないので、そのため今回、日銀は利上げを踏み切った背景の説明を「金利の正常化」としたわけです。

ただ、今回の日銀のこうした説明は、日銀にとって説明責任という点で大きな課題を残したといえます。前述しましたように足元の経済指標、特に消費者物価指数はかろうじてプラスを維持している状況にあって、明確にプラスに推移する気配がありません。そのような状況において昨年夏に続いて再度利上げに踏み切ったことで、日銀自身が説明責任を放棄したかのような印象をマーケットに与えたため、市場と日銀との信頼関係が大きく崩れてしまいました。今後、日銀にとっては市場との対話をどのような形で再構築していくのかが新たな課題となり、その解決には時間を要することから、この時間経過が結果的に後述する「金融政策フリーズ期間」を招くことになりそうです。

3月以降の金利動向について(「4-8月期金融政策フリーズ期間」)

さて、今回利上げしたことで、足元金利(無担保翌日物金利)が0.50%となったわけですが、この足元動向を踏まえての今後の金利動向を探ってみたいと思います。

景気循環面からも、また物価動向面からも見ても、3月以降の利上げは難しいと思われます。特に物価面での下ブレ要因は大きく、商品市況、特に原油市況の低迷地合いがジワジワとボディーブロー的に企業物価、消費者物価に影響することになるでしょう。そのため、3月以降は金融政策面で引締めスタンスを示すことは出来ずに「金融政策がフリーズされる期間」となる可能性が高いと思われます。

以下、今後の見通しを探る上で年度末である3月末と、それ以降と期間を分けて金利動向を見通します。

3月末まで:

年度末という点では、今回0.25%の利上げを実施したこともあり、年度内再利上げの可能性は一旦後退したということと、年度末の円債需給、さらに景気情勢等を踏まえると、足元金利が0.50%となったからといっても、中期・長期ゾーンの金利については大きな変化はなく、むしろ低下気味な地合いとなってもおかしくはないと思われます。
なお、金融政策面においても、特に3月2日発表の1月のCPI(消費者物価指数)、3月30日発表の2月のCPIは、下ブレが警戒されており、こうした弱めの消費者物価を見せられる場面においては、とてもとても再利上げという雰囲気にはなりにくく、3月に連続利上げというシナリオは到底想定されにくいものといえます。

【期間の予想レンジ】
10年物金利1.55%〜1.70%
5年物金利1.15%〜1.40%
2年物金利0.75%〜0.90%

4月から8月にかけて:

4月から8月にかけては、大枠的には1月19日に本欄に示した内容から大きく逸脱するものではありません。つまり、この大部分の期間については「金融政策フリーズ期間」ということです。

理由その1:
景気循環により景気が下ブレしそうな状況にあって、4月下旬には、統一地方選挙(93市と東京特別区23区)が実施されます。この時期は、1月の利上げ議論以上に政治的圧力というべきか政治への配慮がなされることもあり、日銀が金融政策をいじることは困難な状況に陥る可能性があります。さらに7月には参議院議員選挙を控えていることもあり、この流れは7月までは意識させられることになりそうです。
理由その2:
金融政策運営において重視しているCPI(消費者物価)コア指数が安定的な上昇傾向の目安とされている0.50%を明確に超えてくる時期を、日銀は6月、7月以降と想定しています。この時期には、賃金上昇圧力がCPIを押し上げる要因にもなりそうですので、7月以降に改めて金融引締め論議が高まる可能性があります。
このような状況にあって向こう3月-7月期の円金利相場は、基本的には株価、米経済情勢を横目に、なぎ状態が続くこととなりそうです。少なくとも2006年3月の量的緩和解除以降に沸き起こった金利上昇圧力は、今年はそれほど警戒する状況ではないと見ています。

ただ、4月以降に気をつけておくべきことは、原油などの商品市況と、為替動向です。3月以降イラン問題など中東情勢が再度悪化し、原油急騰から本邦消費者物価指数が上昇することも考えられます。また、為替市場において一段と円安、特にユーロに対して円安が進むことになれば、再び円安牽制圧力が欧州から働くことにもなりそうです。これらの要素は、早期再利上げ懸念となって円金利市場をナーバス化させる原因にもなりかねませんので、その点について注意が必要です。

【期間の予想レンジ】
10年物金利1.65%〜2.00%
5年物金利1.20%〜1.65%
2年物金利0.80%〜1.05%

株式会社フィスコ シニアマーケットアナリスト 柏木淳二

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レポート提供:株式会社フィスコ

http://www.fisco.co.jp/

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