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情報価値を高める、「説明」と「分りやすさ」
ニューヨークで仕事を始められた当時はご苦労されたと思いますが。

それはもう苦労だらけです、そして今もです(笑)。当初は生活に慣れないということが一番大きかったです。また、ビジネスに関していえば、自分の乏しい知識を深めるために学ぶしかないという状態でした。こちらに来て半年、1年は自分に必要な知識を学ぶことに相当な時間を使いましたね。
しかし、仕事面で言えば、この時の経験が今に活かされています。その当時の自分がどのような事に疑問を持ち、どのような事が知りたかったかを考えると、個人投資家のかたにどのような事を、どのように伝えればよいのかがわかるように思えます。
たとえば、金融業界で働いているかたたちは、「買いが一巡した」(続いていた買い注文が一段落すること)などの専門用語を常識のように使います。しかし、初めて、この“一巡”という言葉を聞いた時、???と何か違和感を感じるかたは少なくないと思います。私は過去に感じました。そのこともあり、ニューヨークレポートは幅広いかたに利用していただくものですから、情報の質は高く、また言い回しは分りやすくということをいつも心掛けています。
レポートで経済指標の中身を伝える時も、「アメリカの利上げ休止後のインフレ状況を探る上で注目される生産者物価指数(PPI)」といったように、その数字がどういう意味をもっているのか、意識して書かれているようですね。
それが読者さんにとって一番わかりやすい、理解されやすい形だと思っているからです。コアPCE価格指数(食料品とエネルギーを除く個人消費支出の物価指数)といわれても、何のことか分らない。自分自身も、ついこの間までそうでした。そこに「連銀がインフレ指標として注目している」という一文を加えるのと加えないのとでは、情報の役立ち度が大きく変わってくると思います。
その他でも、たとえば、アメリカの12名の地区連銀総裁の中には連邦公開市場委員会(FOMC)において投票権のある人(member)と、投票権のない人(participant)がいます。投票権の有無については定期的に変わりますが、利上げに関する議事録の中の発言やメディア向けのコメントにしても、投票メンバーとそうでない人では発言の重要性は全然違うのです。このため、彼らのコメントを伝える時には「この人には投票権があります」との場合には(投票権有)として記号のような説明を入れるようにしています。
ポッドキャストを聞くことで情報を知ると同時に、情報と市場への影響との関連性が学べるのは、利用者には勉強になると思います。
アメリカでは、マーケット情報に困ることはありません。むしろ、あり過ぎて何が重要な情報なのかの判断に非常に困ります。私たちのような金融情報の配信会社も何社かありますし、ヤフーUSAのファイナンスのページを見ても膨大なヘッドラインが並んでいます。取捨選択するのは自分ですから、その判断軸が間違っていたら、どんなに必要な情報であっても適切に伝えられないわけです。そのためには、今どういうことが起こっているかということは、ベースとして知っておかなければなりません。
- 勝負はマーケットが開く前の情報戦
- 市場参加者の多さがダイナミックな動きを生む
- 情報価値を高める、「説明」と「分りやすさ」
- 情報の命は新鮮度、それは不変です
- プロは目に見える数字の裏を見ている

