MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 円金利見通し:2006年7月31日
7月14日の日銀金融政策決定会合において、5年以上続いたゼロ金利が解除されました。日銀の金融政策は短期金利、長期金利の動きに直接・間接の影響を与えます。これにより金融機関の預金金利やローン金利が変動し、ひいては景気を左右することとなります。
日銀によるゼロ金利解除
7月14日の日銀金融政策決定会合において、日銀は長く続いたゼロ金利を解除しました。5月31日付けの当レポートでは、「一番有力なのが、7月14日の決定会合で」と記しましたが、まさに、結果はマーケットが想定したものであったといえます。
逆に7月14日の決定会合前にはマーケットは「ゼロ金利解除」を織り込み過ぎて必要以上に債券を買い控える状況となりました。そのため、決定会合後、機関投資家(年金筋、生保筋)は、「材料出尽くし」とばかりに、断続的に10年物国債などの購入を再開。その結果、長期金利はゼロ金利解除直後からジワジワと低下することとなりました。
また、5月末時点のシナリオでは、7月14日頃にゼロ金利解除を行い、その後は「持続的な利上げ」を想定していました。マーケットもそれをある程度織り込んでいたわけですが、7月14日の決定会合直後の会見で、福井日銀総裁が年内追加利上げを否定するかのような発言をしたため、長期債への年金、生保筋の買いに加えて、これに連動する形で短中期国債にもメガバンク勢からの買いを誘うこととなり、これも結果的には、全期間に亘り金利の低下を招くこととなりました。
ゼロ金利解除後の現在の国債市場の動向
さて、こうした状況を経て半月が過ぎたわけですが、現時点では5年国債利回りが1.3%を割る寸前でのもみ合いとなり、10年国債利回りは1.90%近辺での推移となっています。既にこのレベルでの「夏枯れ」モードに入りつつあります。この夏枯れモードは言うまでもなく、福井日銀総裁の決定会合後の記者会見での「年内利上げ否定」を匂わせるコメントに起因しています。マーケットは、前述のとおり消費者物価指数の趨勢的な上昇を背景に「年内の幾度とない利上げ」を想定していました。マーケット関係者、特に年金基金や生保などの機関運用者は、福井日銀総裁の真意が分からず、今後の運用政策を立てにくい状況に陥っており、それが「夏枯れ」相場を演出してしまっているのです。
秋以降の金利動向について
今秋にかけて日銀は、足元の物価指数動向を最も注視しながらの金融政策運営となります。なお、消費者物価指数は8月の基準改定により一旦は0.2%程度押し下げられることにはなりますが、その後は反転し上昇基調は継続すると見ています(秋以降は、原油高からガソリン、電力料金等の価格上昇が懸念されています)。
5月末時点では、こうした足元の物価情勢を着実にコントロールするべく、日銀は機動的に利上げを実施するのではないかと思われていましたが、7月14日の決定会合後の記者会見で福井日銀総裁が示したように「連続的な利上げ」は想定しにくいことから、年内1回あるか、ないかのレベルでの「利上げ」を警戒する動きに留まることとなりそうです。
では、景気に対してはどうかといいますと、日銀自身は楽観視していると思われます。それを改めて確認させうるのが8月11日に発表される4−6月期国内総生産(GDP・速報値ベース)ではないかと見ています。ここでは、この期の天候不順もあり、消費関連が多少なりとも弱含みになる可能性がありますが、逆に改めて内需主導の景気持続地合いが確認されることにもなりそうです。この点からは、日銀としては景気後退とインフレ警戒が同時に起きるというスタグフレーション状態には至らないと判断をし、粛々と物価情勢を意識しての引締め政策を推し進めていくことも可能ではないかと見ていますが、ここでも、利上げペースは鈍いものとなりそうです。
こうした状況を踏まえて年内金利を改めて見通しますと、短期金利は、消費者物価指数を睨みながら金利上昇圧力は働くものの、利上げ回数が極端に制限されることから、2年債利回りについては、ジワジワと1.0%を超えるレベルにはなるものの、その上限は1.15%近辺までと見ており、年末にかけて緩やかに上昇していくことになりそうです。また、長期金利も、目先的には1.9%割れあたりのもみ合いとなり、秋口にかけて再度利上げ警戒が醸成されたとしても、短期金利と比べてもより緩やかな上昇に留まり、2.0%を大きく超えることは想定しにくいと見ています。
こうした中で、懸念される点は、為替市場における米ドル・円の行方であり、米金融政策の行方であり、米経済情勢だといえます。8月以降、米利上げ打ち止めとなる可能性が高いこともあり、その中にあって、もし日銀が持続的な金利引き上げスタンスを明示すると、円高進行を招くことになります。円高により、国内株式相場の下落となると、日銀としては、ゼロ金利は解除したものの、年内利上げを実行し辛い状況となる可能性があります。そうなった場合は、機動的な金融政策が封じ込められ、急速にインフレ懸念が台頭、長期金利の大幅上昇を招く危険性も想定されます。今夏以降、持続的な金融引締めが日銀としてできるか否か、そのあたりが年内の金利動向を見る上では重要といえそうです。
| 2年国債利回り | 0.70%〜1.15% |
|---|---|
| 10年国債利回り | 1.72%〜2.00% |
フィスコ シニアマーケットアナリスト 柏木淳二
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レポート提供:株式会社フィスコ
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