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第2部講演:年内為替相場の見通し 講師:山下政比呂氏(株式会社フィスコ リサーチマネージャー)
米国の金融政策と為替相場
金融緩和政策として、2001年に6.5%だったFF金利を2004年に1%まで下げたことで、株式価格、住宅価格が上昇しました。アメリカ人は資産価値が上昇したことにより、外国から色々な物を買った結果、貿易赤字が膨らんでいきました。グリーンスパン前FRB議長はこれを正常化しようと利上げを継続実施してきました。
連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、2006年5月10日の文言「一段の金融政策の引き締めが依然として必要になるかもしれない」が6月29日には「追加的な引き締めが必要となる可能性がある」と変わり、利上げ打ち止めの可能性が高まったことでドルが売られました。
5月の文言は「経済見通しの変化に依存する」で、景気が悪化したら利上げをやめる、と捉えられましたが、6月は、「インフレと経済見通し」に分けています。ということは、景気が悪化しても、原油価格が90ドルとか100ドルに上昇しインフレ懸念が高まれば、利上げを継続するということです。原油が下がりインフレ懸念が無くなり、景気が悪くなれば利上げは打ち止めになるというわけです。
FRB利上げ打ち止め後の動向

グラフの緑で囲んだ部分がFRBが連続利上げをした時です。利上げをやめるとドルが売られる、といわれていますが、過去のパターンでは、連続利上げが終った後、ドル・円相場はしばらく続伸しています。なぜそうなるかというと、アメリカの金利が上がらなくなるということはアメリカの企業の業績が良くなることにより株が買われ、債券が買いやすくなることになるからです。
これまでお話したように、非常に予想しづらい展開となっています。
8年サイクルならピークアウトする、しかしFRBがどこかで利上げをやめるとドルは続伸することになります。ドルが続伸していくのであれば、長期下落抵抗線を上抜いていくことになりますから、これまでとは違う相場展開になることを示唆しているわけです。
第3次石油ショック?
| 年 | 総輸入 | 原油輸入 億ドル |
割合 % |
輸入量 億バレル |
輸入単価 ドル |
円相場 | 円総額 兆円 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1975 | $579億 | $196 | 34 | 16.5 | $12 | 296円 | 5.8 |
| 1980 | $1,405億 | $527 | 37 | 15.9 | $33 | 226円 | 11.9 |
| 2002 | 42兆円 | $366 | 11 | 14.8 | $25 | 125円 | 4.6 |
| 2003 | 44兆円 | $458 | 12 | 15.6 | $29 | 116円 | 5.3 |
| 2004 | 49兆円 | $561 | 12 | 15.4 | $37 | 108円 | 6.1 |
| 2005 | 57兆円 | $799 | 15 | 15.6 | $51 | 110円 | 8.8 |
| 2006 | $406 | $61 | 116.40 | 4.7 | |||
| 200X | $1,200 | 15.0 | $80 | 90円 110円 130円 |
10.8 13.2 15.6 |
||
| $1,500 | $100 | 90円 110円 130円 |
13.5 16.5 19.5 |
原油価格が上昇すれば、原油輸入金額が増えますので、ドル・円相場はドル高・円安になります。
日本は過去30年間、毎年約15億バレルの原油を輸入しています。輸入単価は図のようになっており、2004年が37ドルで6.1兆円、2005年は51ドルで8.8兆円です。2006年は1〜5月まで平均61ドルで輸入していますが、もし輸入平均単価が80ドルになると、単純計算で輸入総額は1,200億ドル、ドル・円相場を110円で計算すると、原油輸入に13.2兆円必要になってきます。
原油が上がれば日本の景気が失速する可能性があり、また原油輸入代金を為替市場で買うことになりますから、円高にはなりにくいと予想されます。アメリカは世界最大の原油消費国ですから、アメリカも景気が悪くなることでドル安材料となるともいえますが、日本経済に対する影響は大きく、円安材料といえます。
さらにインドと中国が原油備蓄を始めます。人口が世界1,2位の大国が原油備蓄を始めようとしているというわけですから、今後ますます原油の需要は膨らむ可能性があります。
過去の石油ショックは供給サイドの中東諸国での紛争で起きましたが、今回の高騰は中東の地政的なリスクがあるものの、旺盛な原油需要によって上昇していますので、80ドル、100ドルといった価格になる可能性も十分あるわけです。
中東で紛争が勃発し、第3次石油ショックになれば、100ドル超の原油価格が現実のものになる可能性があります。
原油価格上昇は、決済資金としてのドルの需要を生みます。また、アメリカはインフレ対策として金利を上げなければならないわけですから、こちらもドル高・円安要因となります。
第3次石油ショックが起きれば長期抵抗線を上抜いていく可能性があるのではないかと思います。

