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第2部講演:年内為替相場の見通し 講師:山下政比呂氏(株式会社フィスコ リサーチマネージャー)
月齢サイクルとドル・円相場の長期トレンド
2006年後半の円相場の見通しを説明させていただきます。
満月の時はドル・円はボトムアウト、新月の時にはピークアウトするという、月齢サイクルというのがあります。
2005年7月21日、満月の日に中国人民元切り上げが発表され、ドルは109円87銭まで下落した後、反転しました。そこで、2006年7月11日の満月の日には、ポールソン米財務長官の就任式の後、今後の友好な関係を保つ意味で、人民元の切り上げが発表されるのではないか、との噂が広がっていました。ポールソン米財務長官は70回近く訪中しており、中国当局とパイプが太いことから、中国に対して人民元切り上げを友好的に進めていくという使命があると思われています。中国人民銀行が人民元切り上げを発表してエールを送るのではないかと噂されていましたが、現在のドル・円相場は114円30〜40銭あたりを推移しており、今のところそのような気配はありません。
ドル・円相場 長期

ドル・円相場を俯瞰すると長期的な下落トレンドにあります。上値抵抗線は2005年12月に121円40銭を上抜けましたが短命に終り、このラインは2006年7月には116円92銭に位置しています。1ヶ月で57銭ずつ落ちてきていますので、8月は116円35銭、9月は115円79銭となります。
この1971年以来の長い上値抵抗線を上抜けると、長いドル下落トレンドが終る可能性がありますので、今後も注目していただきたいと思います。
長期的なドル安トレンドですから、安値も175円50銭(1978年)、120円45銭(1988年)、79円75銭(1995年)、と着実に下がってきていました。しかし、79円75銭を境に、安値は更新されていません。高値は依然として切り下がっていますが、安値は切り下がらずに、切り上っているということは、長い下落トレンドが反転した可能性が出てきているわけです。その可能性が高まるのが、この長い上値抵抗線を上抜いたところです。どういうきっかけで上抜けるかは分かりませんが、トレンドラインが毎月57銭ずつ落ちてきているということを覚えておいてください。
予想されるドル高・円安時代への移行とその背景
なぜドル・円相場が長期的な下落傾向にあるかというと、日米のインフレ率、そして日米の貿易不均衡がその背景にあると思います。アメリカは過去3回、ドルの切り下げを明確に宣言しました。アメリカがドルの切り下げを宣言すると、ドル・円相場は半分になります。
1回目が1971年のニクソンショックで、360円が約半分の175円になりました。そしてカーター大統領がドル防衛策で止めました。アメリカの通貨政策の習性として、ドルを切り下げ、下がり過ぎると株安や債券安などの弊害、インフレ懸念が出てくるので止めに入ります。そしてドル高政策に移行しますが、ドルを下げて、止めて、上げる、というパターンです。
1985年のプラザ合意も日本の貿易黒字を減らすことを目指しましたが、ドル・円相場は240円から120円まで半分に下がりました。この時、下がり過ぎたので止めようとしたのがルーブル合意ですが、間に合わずに世界同時株安、ブラックマンデーが起きてしまいました。
3回目は1990年春、ブッシュ(父)大統領時代、パリ合意により、ドル・円相場は160円から半分の79円75銭まで下がりました。そして、ドル資産を大量に持っていた産油国、アジアの中央銀行からのクレームを受けて、ルービン米財務長官がドル高政策を打ち出し、147円まで戻しました。
アメリカは3回のドルの切り下げを行ないましたが、1995年以降はドル安誘導を暗示したことはあっても、明示的には表明していません。表明すれば、半分になる可能性があります。ルービン財務長官がドル高政策を打ち出して以来、次の財務長官であるサマーズ、オニール、スノー、各氏がそれぞれ就任演説で「強いドル」という発言をしています。しかしポールソン米財務長官は指名承認公聴会、就任式でも一言も言っていません。ポールソン米財務長官が、残り2年となったブッシュ政権でどのようなドル政策を打ち出すのか、今のところは不明ですが、2006年後半のドル・円相場は彼のドル政策で決まると思います。
第1部講演:世界の政治・経済はこう動く
第2部講演:年内為替相場の見通し
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- ドル・円高値8年サイクルとウォール街出身の財務長官
- ドル・円相場2006年
- G-7声明でのアメリカの意図
- 米国の金融政策と為替相場

