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セミナーレポート
ソニーバンク外貨セミナー さあ、投資を楽しもう!:2006年7月11日 第1部講演:世界の政治・経済はこう動く/第2部講演:年内為替相場の見通し

必ずお読みください 外貨預金の重要事項

第1部講演:世界の政治・経済はこう動く 講師:塩川正十郎氏(元財務大臣)

東西冷戦の構図再び?

塩川正十郎氏

まず最初に申し上げたいのは、東西冷戦が戻ってきたかな、という感じがすることです。2006年6月、上海において、中国を中心とした上海協力機構という多国籍会議がございました。中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン等中国と国境を接する約20ヶ国で構成されていますが、インド、イラン、モンゴル、パキスタンもオブザーバーとして参加しました。

 

1990年に冷戦が終わり、東西の対立はなくなっていますが、最近になり、依然として続いていることを感じます。上海協力機構がひとつの機会であり、中国が中心となり、ロシアを巻き込んだ非米の同盟諸国ができ、イランを中心に微妙な動きをしております。国連の安全保障理事会をみても、ロシアは当初北朝鮮に対する非難決議に賛成でしたが、この問題に介入したくないということで棄権するようですし、中国はイランとの関係もあって微妙な立場にあり、徹底的に反対するかもしれません。

北朝鮮が打ち込んだミサイルの本命はテポドンですが、失敗しました。イランはテポドンを購入したいと考えており、北朝鮮としては実験をしてミサイルが使えることを見せなければなりません。欧米対ロシアの対立の構造の中で、核兵器の問題を中心にイランをどうするかという課題があります。日本はイランに6,000億円を注ぎ込んで油の井戸を掘り、実用可能なところまできました。汲みだしをしたいが、欧米は「イランが核を放棄するという声明を出さない限りだめ。日本も同調せよ」という。日本は非常に苦しい立場にあります。また、イランはそのように追い詰められている中で軍事力の威力を示すためにミサイルが欲しいが、研究が遅れており、北朝鮮が売り込む物を買い取ろうとしている。つまりあの実験は北朝鮮が軍事力のデモンストレーションをするほかに、商売を成り立たせたいという目的もあるのです。だからこそ、成功するまでやり直すであろうというのが、一般の見方です。これを中止させることがいかに重要かを認識いただけると思います。このことからも西側陣営、東側陣営という非常に複雑な構図が再び形成されてきているような気がするというわけです。

原油価格と物価、金利、円相場との関係

この問題は石油を原因として過熱化してくるのではないかと思います。中国は反米勢力を使って中南米や地中海沿岸の油田を確保しようと努めるでしょうし、アメリカはメジャーを中心とした石油の開発をするだろう。そこに火のつかない、熾烈で冷たい戦争が過熱化してくるように思います。

ロシアの採掘している石油は水圧力方式で効率が悪く、割高にならざるを得ません。石油の需要が沸騰しているにも関わらず、メジャーが増産をしないのは、増産するには、アラブ地域ですから政治的なリスクが高い。そんなリスクをおかさずとも、相場が上昇すればその分儲かるから、増産の必要はないと考えているからでしょう。

油田ではテロからの攻撃を防止するために警備保障会社を利用していますが、非常に高値になり、新しい油田を作って警備させるのは割高になる。これも新規開発が進まない理由です。したがって供給は増えない、需要は増えるという状況です。おそらく来年度中には原油は80〜90ドルの間になるのではないかということです。北京オリンピック直前には90ドル近くまでいくのではないかという見方もあります。

日本の石油の備蓄は潤沢です。法律で定めている国家備蓄は120日前後ですが、実際は170日分の備蓄があります。30〜40ドル程度のときに買い込んだものが相当量ありますので、価格に対する弾力性も含んでいます。これは非常に強い状況です。中国の備蓄はおそらく30〜40日、インドは20日分位です。

また日本では原子力発電所が57箇所あり、大修繕が必要なものもありますが、時間をかけて整備すれば、原油への依存比率を下げられると思います。現在はエネルギーの原油依存度は44%ですが、35%位まで下げることを目標に努力しており、世界でも耐久力がある国といえます。

アメリカは、アラスカでも開発できますし、まだ余裕があり、大きな心配はないと思いますが、世界では不況の大きな原因になってくることは事実です。なので、東芝さんがウェスティングハウスの原子力発電の権利を買い取ったのではないか、また原子力発電に関する商売も活況になるのではないか、と思います。

東西の冷戦が続いた場合にどんなことが起きるかと考えてみましょう。旧東側は今、インフレを輸入し、デフレを輸出している、という状況です。原材料が高くてもどんどん買い漁り、極端に安いコストで製品化し、安値で売る。西側とは逆の経済行動をとっているのです。

諸外国は原料高で苦しんでおりますが、日本はまだ原料高をある程度吸収しています。生産性の向上に因るところもありますが、それより大きいのが、為替相場によって価格が調整されていることです。2年半前、私が財務大臣をしていました頃は1ドル130〜135円、石油は35〜42、43ドルの間でしたが、現在の石油価格は60〜70ドルを超える状況です。為替も115円程度、為替によってある程度輸入価格の上昇が緩和されているのではないかと思います。

しかし原料高をいつまでも為替や生産性向上で調整するわけにはいかない。そういう状況がまだきていませんが、日本も東南アジアと連動して卸売物価を上げざるを得ず、それに伴って消費者物価も相当の水準に変更せざるを得ないだろうと思います。政府では現在のデフレ状態が暫くは続くだろうと、無理のない見方をしていると思いますが、いずれは物価の高騰という方向にいくのではないかと思います。金利の上昇とも密接に関係しておりますし、金利の上昇は油の値段と、油の値段は円相場と密接な関係にあり、難しい方程式が出てくると思います。

 

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