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セミナーレポート
ソニーバンク投資信託セミナー:2006年6月2日 インド経済の展望 〜本当にインドの将来は期待できるか〜

必ずお読みください 投資信託の重要事項

首都の空港に灯りがない国にビジネスはあるか

島田卓氏

インド・ビジネス・センターの島田です。インドに関心があるかた、人生設計のためにインド株ファンドを購入しようとお考えのかたが多いと思いますが、長期的な視点で見ていただく過程において、今、インドがどういう状況かをお話ししていきたいと思います。
ニューヨークタイムズのコラムニストであるトーマス・フリードマン氏が、『フラット化する世界』という著書の中で「世界は水平化されてきている」といっています。たとえばウォールストリートで企業分析アナリストが資料を集め、どこかに投げる。朝には企業分析ができている。情報をインドに投げているのです。「インドが、アメリカが、日本が」という時代ではない、世界が全部水平に、ひとつのマーケットになってしまった。トーマス・フリードマンはそういいたかったのだと思います。
インドは長期的な視点で見ていただきたいと思います。
私は元銀行員でニューデリーに配属されましたが、その当時、ニューデリーがインドの首都だということさえ知りませんでした。1991年、ちょうどインドが経済危機に陥り、明日をも知れない時でした。印象に残っているのは、私が到着する飛行機の窓から見た景色に灯りがない。首都の空港に灯りがない国にビジネスがあるのだろうか。非常に不安に感じました。しかし入国審査を終えて外に出ると、人がたくさんいる。その人々の目が生きている目なのです。この生きている目がひとつになり、経済を動かす力になったら、もしかしたら…。そのとき、そう思いました。そのあたりで私の人生が狂ったのかも知れません。銀行に25年勤めた後、好きなことをやってみたいと思い、今の仕事をしています。

15年インドと付き合ってきた今、生きている目をしている人間がいるかどうかで、国力があるかどうかが分かるという気が致します。インドのイメージは汚い、危険、きつい、カレー、紅茶、熱い、象。首都のニューデリーにも牛がおり、私は自然動物公園のようだと思います。それもインドです。
しかし近年、高速道路ができ、高級車が走るようになりました。世界最大の二輪メーカーはホンダの子会社ヒーローホンダで、インドにあります。ヤマハ、カワサキ、ホンダ、スズキの日本での販売台数80万台に対し、ヒーローホンダが昨年販売した台数は290万台。日本国内の3.5倍の二輪車をインドで販売しています。
建築ブームでモールの脇にマンションがたくさん建っています。モールの隣にあるパブにはTシャツやパーカーにジーンズ姿の若者がいます。物事には表裏があり、どちらも本当のインドです。一面だけを見て物事を決め付けるのは危険で、現在のインドも角度によって違います。
無料でメールが送れるホットメールをクリエートした若者はインドの若者です。インドの大学を出た21歳の若者がカリフォルニア工科大学に入学、2年間で修士を終え、スタンフォード大学で博士号をとりました。彼はホットメールを作り、800万人もの会員を獲得した。儲かったら3割渡す約束で、アメリカ人が元手の30万ドルを貸してくれました。2年後、彼はシリコンバレーにいました。シリコンバレーにいる若者はシアトルからの電話を待っている。案の定、その若者にマイクロソフトから電話が入った。「そのホットメールのシステムを売ってくれないか」と。
日本は少子高齢化で若者が減っていく。20年後の2025年、20歳〜24歳の人口はインド1億人、中国8,000万人、日本は600万人です。同じ経済規模とすると、20年後の日本の若者はインドの若者の16倍の付加価値を生まないとインドと同じ経済にはできません。物理的に不可能です。頭を使うか、頭を使う人を使うしかないでしょう。

始まったばかりのインド経済と中国との関係

ロシア、ブラジル、米国、中国は国土は大きいが、ロシアはツンドラがあって米は作れないし、中国は砂漠が多い。有効面積はインドが世界最大級といわれています。
インドの外貨準備高は、私がインドに赴任したとき11億ドルでした。海外からほとんど物が買えないし、借りているお金を返してくれといわれても返せない、破産の状況です。それが現在は約1,400億ドルで、世界第6位の規模ですから、対外向けの支払いに困ることはありません。お金を貸すときの銀行の鉄則は短期で高利、借りるほうの鉄則は長期で低利、です。インドは対外債務が1,192億ドルありますが、1年以内に返さなければならないのは7.5%と非常に少ない。

主要国の外貨準備高(2005年12月時点)

主要国の外貨準備高(2005年12月時点)
注:香港、台湾、シンガポールは金を含む(資料:RBI、外務省経済局、アジア経済研究所)

1997年にアジア通貨危機があり、タイの通貨の価値が半減しましたが、このときのタイの対外債務に占める短期債務の割合は45%。約半分がすぐに返さなければいけないお金で、投機筋に攻撃されたら危険です。現在インドの場合は外貨準備の1,400億ドル中の短期債務は約90億ドルですから、そのような危険にさらされることはないでしょう。
経済成長率が昨年度は8.4%、直近1〜3月の成長率は9.3%です。インドが1991年に経済危機に陥ったのは、ネルー初代首相とその跡を継いだお嬢さんのインディラ・ガンディーの責任だといわれます。政治的には立派でしたが、経済政策が失敗したといわれています。ネルー初代首相はそれまでの資本主義経済を100%社会主義にしてしまいました。インディラ・ガンディーは外資の出資比率の規制をしました。それまで56%以上持っていてよかったのが、4割以下の保有と制限されIBM、コカコーラ、GM、みな帰ってしまいました。インド経済は疲弊し、赤字垂れ流しで、社会主義ですから働いても働かなくても給料は一緒。それで経済がもつわけもなく、中国やパキスタンと争ったり、オイルショックがあったり、湾岸戦争が始まり海外に出稼ぎに行っている人からの仕送りもなくなった。財政破綻する寸前で、時計を1947年に戻しました。
インドは1947年に政治的に独立しましたが、社会主義経済が44年間続き、経済的に独立をしたのは1991年だと思います。インドはまだ15年位の若い経済だとお考えいただいていいと思います。
若い経済ゆえ、成長力があります。世界銀行のパテル副総裁は「インドは今後30年間、平均6%程度の経済成長を続けるのではないか」といっています。来年からインドは第11次5ヵ年計画に入ります。7月1日発表のGDP成長率は8.4%、第4四半期が9.3%ですので、国家計画経済委員会は自信を深め、年間のGDP成長率の目標を8%としています。

インド産業の現状と展望

IT関連輸出額は2010年には600億ドルに

IT関連輸出額は2010年には600億ドルに
出典:NASSCOM発表資料、DIT(Department of Information Technologies)年次報告書、電子機器ソフトウェア輸出促進協議会
2005年12月12日付 The Financial Times

ご存知のとおり、インドはIT産業が拡大しており、2006年3月期のIT関連輸出額は234億ドル、前の年が172億ドルです。
あと4〜5年で600億ドルに達するといわれています。1バレル100ドル程度までなら、インドはIT関連の輸出だけで原油の輸入代金を払えるだけの外貨が手に入る計算です。インドの国際収支は黒字となるとドルなどの外貨を市場で売り、ルピーが買われます。ルピーが強くなる、維持されるということです。これは海外に投資するときに有利となります。
二輪車では、ホンダが昨年だけで290万台販売しています。売上高、純利益率が2桁台で、配当が3年連続1,000%です。額面50円の株を1,000株保有していると額面5万円。これに対し配当が毎年50万円です。売上が2,300億円で純利益が250億円程度です。
自動車はあと3〜4年しますと200万台になるといわれています。スズキ自動車がインドで頑張っており、インドの自動車市場のシェアの半分位を占めています。マルチ・ウドヨグというのがスズキ自動車の子会社で非常に孝行息子です。スズキ自動車の売上が3兆円弱で、インドでの売上はその7%程度ですが、純利益に占める割合は3割です。今後スズキ自動車は1,500億円インドに投資し、現在の50万台体制を100万台体制にします。ディーゼルエンジンの第二工場も作っています。
携帯電話も伸びており、今年3月の伸びが503万人。シンガポールの人口は400万人ですから、全員が毎月携帯を買う計算です。1年たてば6,000万人、10年で6億人。インドの人口は11億人と巨大なマーケットです。
三菱化学はインドでテレフタル酸というペットボトルの原料を作っています。400億円投資し、3年で単年黒字化したので、あと400億円投資するという。社長になぜ中国ではなくインドなのですかと尋ねましたら、「インフラが整っている中国も良いが、政治体制はインドが良かった」といいます。化学産業は資金回収に15年〜20年かかります。政治的な異変があれば通貨が減価し、為替差損が発生してしまいます。15年〜20年先を考えたとき、インドは民主国家として安定していると判断されたようです。

 

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