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セミナーレポート
ソニーバンク投資信託セミナー:2006年6月1日 ミスター円が語るインド経済の展望

必ずお読みください 投資信託の重要事項

消費の拡大で第二の飛躍の時期へ

ここ1年〜1年半で伸びてはきましたが、日本はインドへの投資が遅れており、日本企業はあまり進出していません。1880年代に失敗して引き揚げており、スズキのような成功例が少ない。1991年からの新経済政策をきっかけにしたインドブームに乗り遅れました。欧米や韓国の企業は多く進出しています。インドの電気製品のシェアの6割を韓国のLGとサムソンが持っており、冷蔵庫、テレビ、洗濯機のほとんどは韓国製です。

ノーベル経済学賞をとった、インド人の経済学者アマーティア・センが2004年に英語で出版したエッセイのタイトルは「議論好きのインド人」といいます。インド人は大変よく喋ります。私もよく喋りますが、とても敵いません。日本人はこれまた喋りませんから、好対照。国際会議の名議長にはふたつの条件がある、ひとつはインド人を黙らせることで、もうひとつは日本人を喋らせることだ、という冗談があるほどです。よく喋り、自己主張が強い。キリスト教徒が迫害され、インドに逃げて定住した例もあるなど、インドは多様で、あらゆる宗教を認める寛容な国でもあります。寛容で多様な国では自己主張しなければ生きていけません。

たとえば言葉は18ヶ国語。ヒンズー語が一番多いですが、分かる人は半分いませんし、英語を話すのは15%、あとはタミール語など、それぞれの地方の言葉を話します。パンジャミー出身の人ならパンジャミー語とヒンズー語、英語など、インドでインテリと呼ばれる人は3つ位の言葉を話します。地方が変わるとコミュニケーションできません。

場所が変われば習慣も宗教も違いますから、工場を造るのにも場所が非常に大事ですし、多様であり、議論好きだということを理解しなければなりません。エリートだけではなく、教育を受けていない人でも議論をし、自己主張します。先日、15分遅れてきたタクシーを怒ったら、遅れた理由を多弁に主張してきました。これがインドの民主主義の原点であり、インド最大の強みだと、インドの人はいいます。自己主張し、徹底的に議論を戦わす。先日も大使館のパーティでインド人と議論をしましたが、彼から「度が過ぎたが、あれがインド風なんだ」というメールがきました。徹底的に議論し、多様化は認めるけれど、自己主張することを基に民主主義ができています。

飛行場の周りはみんなスラムで、インドに入って最初に見えるのがスラムでは印象が悪いというと、「民主主義だから住んでいる人をどかせるなんてできないよ」という。ずっとここに住んでいるんだ、宗教上の理由でここにいるんだ、金をくれてもいやだという人がいるようです。中国は保護もするが、強制的にどかせる。上海のスラムもなくなりました。

インドはそういう民主主義の国ですから、ある意味ではテンポが遅い、スピード感がないという人もいますね。しかしうまく日本企業が入っていけば、大きな展開があるわけです。私も4月1日からインド経済研究所を立ち上げ、日本企業のインド進出をお手伝いしようと思っています。東南アジアの友人は「インドは一口でいえば、ディープ&ヘビーだ」といっています。歴史的にも非常に長いですし、宗教も多様ですし、哲学的にも宗教的にもインドに入っていかざるを得ない、非常に深い国です。それがスピードを上げてきている。若い人は成功の果実を手にした中産階級の成功を見ています。友達が自動車を買った、家を買った。昔のインドに還ることはできません。これからはさらに加速する。

トヨタやホンダが進出してきていますが、おそらく鉄鋼も電力も進出するでしょう。資生堂が中国で大きな商売をしていますが、これからの消費ブームで、化粧品なども大きなマーケットになると思います。中国、インドというふたつの大国が世界経済を大きく変えていくことになっていきます。

ゴールドマン・サックスのBRICsレポートによると、2050年に世界で最もGDPが大きいのは中国で、次がアメリカ、3番目はインドで、日本を抜くという。私は決して荒唐無稽の予測ではないと思っています。

中国は1978年に第一の離陸を1992年に第二の離陸をした。インドも1991年に新経済政策で第一の離陸をし、2004年〜2005年、いよいよ第二の離陸に入っています。

エネルギー不足や価格上昇に留意

注意しておきたいこともあります。中国には2億5000万人、インドには1億5000万〜2億人の中産階級がいるといわれています。中国は相変わらず10%、インドも9%と、両国とも成長率が高いですから、中産階級が早いスピードで増えてくる。そうなると、ふたつの大きな問題が起きます。

ひとつはエネルギーが足りなくなってくる。これまではアメリカ、日本、欧州で6〜7億、さらにインドの11億、中国の13億のかなりの人たちが中産階級になってくる。21世紀はエネルギーが非常に大きな問題になります。石油、天然ガスの価格が上がっている。当然、省エネが必要になります。日本の自動車業界がこれだけ好調なのは、ハイブリットカーなど、環境関連技術が高いからです。中国、インドの巨大な人口が欧米や日本と同じように皆が自動車を運転し、皆が冷暖房を使う生活をしたら大変な環境問題、エネルギー問題になります。

中国、インドの政権が一番意識しているのはエネルギーで、中国もインドも早いスピードでロシアとの関係を良くしました。カザフスタン、ウズベキスタンなど、中央アジアに配慮し、中近東にも接近していますし、中国は海底油田が最大の関心事のひとつです。早いスピードで増えていく中産階級に対応してどうエネルギーを確保するかは重要です。そのうち水も足りなくなる。食料の問題も起こってきます。中国やインドの成長のネックはエネルギーの価格上昇や不足で、それによっては2050年まで成長とはいかなくなります。この点には留意したいと思います。

インド高成長のトレンドは続く。長期スパンでの投資を

インドの話はこれ位にして、世界的に今、どんな経済の状況にあり、為替がどう動くかをお話ししましょう。世界的にはお金がじゃぶじゃぶにあった過剰流動性の時代が終わりつつあります。日本はまだゼロ金利ですが、量的緩和政策の打ち止めを宣言した。アメリカの金利は5%まできて、もう1回上げるかどうか。EC、欧州の中央銀行も金利を上げる状況になっています。世界全体でみて経済は好調ですが、世界的に金利が上がり、過剰流動性という状況が次第に変わってきている。余っていたお金が株やコモディティに流れていたが、それが少しずつ小さくなるということですから、ある種の調整局面に入ってきたことは確かです。

懸念されることのひとつはボラティリティ、変動が大きくなるということです。順調にトレンドとして上がってくるのではく、乱高下のようなことが起こりやすい環境ですから、リスク判断が重要になってきます。

バランスシートがきちんとしている会社や収益率が高い会社と、ビジネスモデルがあって将来儲かるだろうという会社では全く違う。これまでは両者に投資してきたけれど、これからはブルーチップ(業績・経理内容がよく、配当率も高い会社の株)への投資が増えてくるだろうと思います。ある種のミニバブルのようなものはどこかで弾けてくる感じがあります。

もうひとつ、アメリカ経済がどうなるかですね。たとえば消費者信頼度指数が下がり、住宅需要も懸念されるなど、アメリカ経済が減速してきた。双子の赤字で減速すると、ずっといわれていましたが、そろそろではないかという感じです。減速が本格化するとドル安になるだろうという人が多い。いつになるか、どの程度かは分かりませんが、トレンドとしてはドル安円高、あるいは元高、アジア通貨高だろうと思います。

116円〜117円だった円が、111円〜112円というところにきて、夏以降どうなるか。アメリカの次期財務長官に任命されたゴールドマン・サックスの会長・ポールセンは、ウオールストリートで尊敬されている人で私も何度もお目にかかっていますが、彼は強いドル政策を推進するのではないかと考える人がかなりいます。一方で、インタビューで競争力が問題だと話し、ドルには全く触れなかったので、ポールセンでも緩やかなドル安を容認するのではないかという人もいます。それもあり、任命されたときにドルが乱高下しました。ポールセンがどういう政策をとるかはまだわかりませんが、アメリカ経済がどうなるかが、今年の世界経済の最大のポイントです。

いろいろなファクターがあるので分かりませんが、私は(2006年)年末にかけて1ドル100円位の円高になるのではないかと予測しています。日本は企業収益率もきわめてよく、調整はありますが、日本の株は下がったらいい会社を選んで買いだと思います。暫くはまだ下がり、1万5,000円を切るかも知れませんが、日本経済は弱くなく、むしろアメリカ経済よりいい。一気に崩壊するような状況では全くありませんから、きちんと銘柄選択して買いだろうと思います。ある程度、金利が高くなってくれば円高になっても不思議ではありません。

今年(2006年)は非常に予測しにくいです。かつては世界経済の景気変動は必ずしも一致しておらず、ヘッジができましたが、今、世界経済は密接に連鎖しており、分散してもみんな同じように動いてしまう。プロの投資家にとっても難しいといえます。世界経済の中心はアメリカであり、アメリカによって為替も株も左右される。それをどう見ていくか。

アメリカは10月には(中間)選挙があり、ブッシュさんは支持率が20%台と、旗色が良くなく、どのような経済政策をとるのか分かりません。アメリカ経済が変調を起こすかどうか?そういう中で相対的にみてアジアがいい、ということです。

トレンドとしてアメリカの時代からアジアの時代になっていく。短期的にはいろいろな事が起きますが、中長期的にいえば中国の時代であり、インドの時代であり、連携する日本の時代です。2050年をターゲットにみると、そういえると思います。

インドや中国、アジアに投資する場合には、ある程度長いスパンで投資することが大切で、2〜3年、4〜5年と投資をしていけば、必ずトレンドとしては上がっていく。そういう経済ではないかと思っています。

 

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