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セミナーレポート
ソニーバンク投資信託セミナー:2006年6月1日 ミスター円が語るインド経済の展望

必ずお読みください 投資信託の重要事項

インドの中産階級が日本の人口を超える

1990年からGDPは6〜7%台の成長を続け、今回の政策がうまくいけば9〜10%に届くだろうといわれています。現に1〜3月は9%を超え、インドがいよいよ第二の成長段階に入ったといえます。

製造業が成長してきたのは、IT企業勤務者、関連事業者、いわゆるホワイトカラーの所得が増え、インドに中産階級が出てきたからです。今、インドの中産階級は1億5000万〜2億人いるといわれています。日本は1億3000万人ですから、日本より巨大な市場がすでにできているわけです。

今、インドで最も売れているのはマンションで、自動車も大変な勢いで増えています。インドにICICIバンクという銀行がありますが、住宅ローンと自動車ローンが十数%伸びています。また、移動手段はかつてはバイクが多かったのですが、小型車、中型車が出てくるようになりました。6割のシェアを占めているのは、スズキが54%保有する、スズキとインドとの合弁会社です。トヨタもホンダもインドに工場を作って進出します。先行しているのが韓国の現代で15〜16%のシェアを占めています。

自動車が大きく伸びれば、鋼材が必要ですから鉄鋼業が伸びる。韓国のポスコという鉄鋼企業が、インドに製鉄所を造っています。日本の鉄鋼業界も含め、世界の鉄鋼業は再編が起きていますが、オランダのミタルという会社はインド人が株の70%を保有している、事実上インドの会社ですが、インドに鉄鋼所を作ります。新日鉄は進出を決めていませんが、提携関係にある日新製鋼がインドに進出するといっているそうです。

歴史を辿ってみると、インドの製造業は決して弱くはありませんでした。たとえばインドの繊維産業は産業革命までは世界で一番大きな繊維業界を持っていました。イギリスはもともと毛織物で、綿はインドから輸入していました。非常に細いキャラコという綿でイギリスで爆発的な人気となり、イギリスの繊維産業が潰れてしまうということで、1700年にイギリスがインドからの輸入を禁止しました。それでも止まらず、1703年にインドのキャラコの使用を禁止し、賢明に自国の繊維産業にてこ入れをし、インド綿を真似ました。それで起きたのが産業革命です。いろいろな機織機を作り、インド綿を真似ることができ、クオリティも高くなった。そこでイギリスとインドとの関係が逆転、18世紀後半から19世紀になるとインドの繊維産業が崩壊します。それが植民地化される背景にあるのです。インドの繊維産業はなくなったわけではなく、今でも強いです。これまでは国際的な協定で輸入制限がありましたが、去年の1月から完全に自由化され、伸びています。

いろいろな分野で製造業が伸びてきて、今年1〜3月の成長率が8.9%になった。上手くいけば今後も8〜9%の成長率が維持できるのではないかとインド政府は考えています。

もうひとつ、インド政権の中核となっているのが、貧しいインフラを改善することです。日本でも民間企業の資金を使った公共企業が少しずつ行なわれていますが、インドでも外資にも開放し、民間企業を使おうとしています。デリーやムンバイの飛行場については入札が終わり、外資系がイニシアチブをとって新しい工場を造ることが決まっていますし、ハイデルバーロ、バンガロール、チェンマイにも新しい国際空港を造るプロジェクトが進んでいます。外資や民間資金を導入することによってインフラを整備していく。BOT方式といいますが、民間に建設(Built)、運営(Operate)をしてもらい、あがってくる有料道路の料金などで資金を返済し、最後に政府に引き渡す(Transfer)。道路、港湾のほか、電力についても民間活力で4つほどのプロジェクトを立ち上げようとしています。

今までのところ、インフラ整備は順調に進んでおり、成長率はかなり上がってくると考えられます。インドのインフラの整備は中国の三十分の一程度で、非常に遅れていますが、逆にここに投資をしていけば強烈な成長率を達成できるということでもあります。中長期的にインド経済が強いのは、おそらく間違いないでしょう。

理想的な人口構成と高い教育水準

インド経済の強さを語るうえでしばしば強調されるのは、巨大な人口と、25歳以下が53%と占めるという、若さです。非常に活力がある。インドの若い世代はこれまでの世代と異なり、新しいモラルを持っているといわれます。インドの若い人は非常にアグレッシブです。大変な競争社会の中で唯一、出世できるのは教育です。

ヒンズー教の中にはカースト制度があり、バラモン(僧侶)とクシャトリア(日本でいう士農工商の士)バイシャ(商人)という最初の3つのカーストはほとんど差別を受けません。その下にシュードラがあり、差別を受ける。さらにカーストの外にアンタッチャブルという人がいる。ヒンズー教徒でない人は関係ありません。アメリカでもアフリカ系やスペイン系の人を優遇する制度がありますが、インド政府はコンシャスで、大学入学者の半分を、差別を受けている人のためにリザーブしています。インドの南の州ではすでに行なっていますが、北の州でもやることになり、上のカーストの人の椅子が少なくなるといって、デリーで大変なデモが起きました。

1997年にインドの大統領になった人はアンタッチャブルの出身ですし、財界や政界には下のカーストの人が随分います。教育を受けて、きちんと学力があれば上がっていける。むしろ優遇されることすらあるのです。

私はウィプロという会社におりましたが、都会では、また企業の中ではほとんどカーストは問題になりません。母親たちは非常に教育熱心で、受験戦争は日本の比ではない。5年ほど前に首相官邸に行ったとき、官房長のような人が受験地獄は問題だというので、間違ってもゆとり教育などしてはだめだ、受験戦争には問題もあるけれど、優秀な人が上がっていける客観的なものであり、基本的にいいことです、といいました。インド人はよく勉強するし、よく働きます。格差があることはたしかですが、教育を受ければ上がっていけることは制度的に保障されているわけです。みんなが教育に熱心で、人口が若いということからも、ポテンシャルが高いといえます。

BRICs諸国の中のインドと中国

BRICsの中でも、中国とインドと、ロシアとブラジルはちょっと違う状況ですね。ロシアとブラジルは資源大国です。石油と天然ガスを含めると、ロシアが最も天然資源をもっており、ブラジルは鉄鉱石、貴金属を持っています。ただ、中産階級が出てきて一気に経済成長するという局面にはなく、インドや中国のように、消費が大きく拡大するという状況にはありません。BRICsとはいっても、分けて考えなければならないと思います。

インドに注目する人が増えているのは当然のことです。ただ株も、そのほかのマーケットも過熱すれば調整が入ります。今はインドに限らず、世界的に調整の状況で、株式市場に入っていた資金が債券市場に戻っていっている。インド株の下落も世界的な株式市場の調整の中でのことで、5ヶ月で50%儲かっていれば、利益確定をし、また下がったところで買おうとするのは不思議ではありません。

セクター別にみていくと、これまではITが年率40%位で伸びてきた。今後はインフラ関連が伸びていく可能性がある。医療・薬品も強いですね。日本の製薬会社はまだですが、世界有数の製薬会社がインドに研究所を持っています。

インフラが整えばインドで最大の産業のひとつになるのが観光業です。仏教遺跡などインドほど、歴史的な遺跡がある国はありません。

ホテルはザ・タージマハールホテル(現ザ タージマハール パレス アンド タワー)など、すでにいいものがあります。イギリスの植民地だった時代には、イギリス系のいいホテルにはインド人は入れてもらえず、タタ財閥がイギリス系よりいいホテルをといって造ったのが、ザ・タージマハールホテルです。いろいろな分野でとてもポテンシャルが高いですね。

 

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