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高成長を維持しながら格差是正に取り組む
では2006年に関して、中国経済のトピックスをいくつか指摘したいと思います。中国には5カ年計画というのがありますが、ちょうど今年は、第11次5カ年計画を始める年です。冒頭にも申し上げたように、景気が高速回転している中で今いろいろな問題が起きていまして、新しい5カ年計画はそれらをかなり意識した政策転換がなされています。
まずひとつは、エネルギーの問題です。中国のGDP規模は全世界のGDPの約4.3%。その一方で中国の原油消費量は全世界の供給量の約8.3%。一次エネルギーの消費量は全世界の10%を超えています。また石油は40%以上を輸入に頼っていますが、その比率も向こう10年間で50%あるいは60%近くまで伸びるでしょう。そういった中で、エネルギー効率をいかに上げていくかというのが大きな問題です。
今回の計画の中では、「2010年の段階で、エネルギー消費をGDP対比で20%カットする」といった計画が出されております。具体的には、たとえばグリーンエネルギー、グリーンGDPの計算、つまり資源の消費やCO2の排出、海水の汚染といった環境や生態系へ損失分を差し引いた評価方法に若干変えようとしています。
2つ目は所得格差の問題。これ以上の格差の拡大はなんとか止めたいということです。アメリカも所得格差の大きい国だと思いますが、FRBの調査によるとアメリカの人口の約5%がすべての金融資産の5割以上をもっているという統計があります。同じような調査が中国で最近行われて、中国の人口の0.5%がすべての金融資産の4割近くをもっているという結果でした。極端に富が偏っている状況なんですね。それは是正しないといけない。と同時に低所得層、貧困層の問題です。1日の所得が1ドル以下の世帯が、中国には約1億人以上という調査結果があります。そういった人たちにとって一番大きな問題とは、機会の不平等です。
たとえば教育の問題です。昔、大学はほとんど授業料が無料でしたが今は大学に行くにはかなりお金がかかってしまう。そうすると低所得者層の人たちは子供たちを学校に通わせない、そういう経済力がないというのがひとつ大きな問題です。あるいは医療でも、医療保険に入っていない人たちがたくさんいるわけです。そういう人たちにどうセーフティネットをつくり、医療を受けさせるようにするか。あるいはこの何年か都市部への出稼ぎが非常に増えているのですが、出稼ぎの人たちの中では子供たちを学校に通わせない。戸籍は地方においたままなので公立学校に入れられないんですね。お金がないので私立学校にも入れられない。そこで政府主導で学校に受け入れるような体制を作っていく。そういったことをこれから中国はやろうとしているわけです。
次は為替の問題です。2005年、人民元は対米ドルで2.1%ほど切り上げられましたが、これは非常に大きな制度の移行だと思います。今は管理フロート相場といいまして、複数の通貨に連動させるような形になっています。以後、少しずつですけど人民元は上昇していて、足下は1ドル=8.06人民元ぐらい。切り上げがあった時から約0.5%上昇しています。
2005年7月、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は、通貨人民元の対米ドル管理フロート相場(実質的なドル固定相場)を停止し、複数の通貨で構成する通貨バスケットに連動する制度(通貨バスケット参照管理フロート相場)に切り替えると発表しました。
| 新制度(2005年7月21日時点) | 旧制度 | |
|---|---|---|
| 対米ドル | 1USD=8.11人民元 (約2%の切り上げ) | 1USD=8.27-8.28人民元 |
| 通貨制度 | 通貨バスケットを参照とする 管理フロート相場 | 管理フロート相場 (事実上のドルぺッグ制) |
| 通貨の変動幅 (1日の変動幅) |
1日の変動幅: 米ドル:基準±0.3% その他通貨:±3% | 1日の変動幅: 米ドル:基準±0.3% 円・香港ドル・ユーロ:±1% 実際の変動幅は0.3%より狭く、ほとんど動かないように介入。このため、「事実上のドルぺッグ」と呼ばれる。 |
(出所)三井住友アセットマネジメント作成
この後のお時間でインドやロシアの話があると思いますが、中国とほかの国とが根本的に違うところは、国内のマーケットと外のマーケットを完全に分離させているところです。中国は、為替を管理しようとしているんです。勝手なお金の出入りをなんとかシャットアウトしようとしている。アジア通貨危機の教訓でもあるのですが、外国の資金の出入りで景気はかなり左右されます。そこで海外からの投資を香港市場に分散する、あるいは取引通貨は外貨なので、為替の直接制約を受けないにようにする。今でも国内の株式投資は非常に厳しい制限をされていますが、こういった為替の問題が大きな背景になっていると思います。
「三井住友・ニューチャイナ・ファンド」のご紹介
2006年の中国経済・株式市場について
- 非常に高いGDP成長を続ける中国
- 高成長を維持しながら格差是正に取り組む
- 巨大な消費市場と莫大なインフラ投資
- 2006年から2007年に掛けて、景気は再加速状況へ

