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ドル・円相場を決定するアメリカの通貨政策
過去3回、半分に切り下がったドル
それでは今年の相場見通しに入る前に、ドル・円相場の大局観を説明させていただきます。ドル・円相場の方向性を決定する最大の要因というのは、アメリカの通貨政策です。アメリカが自国の通貨である「ドル」を下げる、ドル安誘導を行えばドルは下落し、ドル高政策を行えばドルは上昇してきました。

アメリカは、過去3回、ドル安誘導を行いました。3回とも日本に対する貿易赤字を、ドル安・円高に誘導することで解消しようとしたわけです。
まず1971年のニクソンショック、この時は、360円が約半分の175.50円になります。
2回目は皆さんご記憶があると思いますが、1985年のプラザ合意です。この時もドル円は240円から約半分の120円になりました。
3回目はブッシュのお父さんが大統領だった時です。ドル・円は1990年の160円から約半分の79.75円まで下落しました。アメリカがドル安誘導をすると、ドル・円は、約半分になるわけです。
戦後、進駐軍の経済担当者がドル・円相場の新しい為替レートをいくらにしようかと悩んだ時、「円」は360度だから360円にしたという逸話があります。ドル・円相場は、その360円から半分の180円になり、3分の1の120円になり、4分の1、90円に近い80円まで下落してきたわけです。この長期の下げトレンドを象徴する長期下落抵抗線がこのグラフにあります。2005年12月は120.89円に位置していましたが、121.40円まで上昇した時に、一瞬上抜けましたが、結局上抜けは失敗して失速してしまいました。この長期下落抵抗線は月足ベースでひと月に57銭ずつ落ちてきますので、2006年1月は120.32円、1月になると、119.75円になります。この1971年以来の長期下落抵抗線を上抜くことができれば、ドル・円相場が「日米の貿易不均衡是正:ドル安・円高によって米国の貿易赤字を減らし、日本の貿易黒字を減らす」という宿命から解放されることになるかもしれません。
ドル・円相場は1871年、ニクソンショックの100年前に1ドル1円で誕生しました。そして約25年ごとに、いろんなパラダイムの転換を行っています。最初は1ドル=1円が約25年間続き、次に1ドル=2円もほぼ25年間続きます。そして1949年に360円に固定されて固定相場制度が約25年間続くわけです。1971年から次の25年間、95年4月の79.75円までは、ドル安・円高の時代だったわけです。しかしながら、アメリカの貿易赤字をドル安・円高に誘導することで減らすという試みは、みなさんお分かりのようにまったく成果が上がっていません。今後はパラダイムの転換により、ドル・円は上昇トレンドに入ったかもしれない、その兆候を長期下落抵抗線への接近は警告しているのではないでしょうか。
ファンダメンタル的にもドル高・円安相場の兆候が出てきています。1970年代から90年代前半にかけては、日本の経済成長率の方がアメリカよりも概ね高かった。ですから円が買われたともいえます。そして1995年付近を境に、アメリカの成長率の方が日本を概ね上回ってきた、ですからドルが高くなったといえるかもしれません。
もうひとつ、日本はこれまで輸出大国(円高要因)だったわけですが、今後は少子高齢化など背景に、団塊の世代の方を中心に海外へ投資(資金の輸出=円安要因)が盛んになったり、世界中から食料や原油、エネルギーを輸入(=円安要因)しなくてはいけない。貯蓄率も2004年に初めて減ったと新聞に載っていました。日本の国が抱える膨大な借金も円安要因になるかもしれません。まだまだ当面のトレンドは円高基調にあるのですが、そういった日本社会の変調で、21世紀前半は20世紀後半の円高トレンドとは逆の円安トレンドなのかもしれないということがいえると思います。
- はじめに
- 2006年のドル・円・ユーロの変動要因の概要
- ドル・円相場を決定するアメリカの通貨政策
- 今年のシナリオは「ドル・円は高値反落」
- 月齢サイクルとドル・円相場の関係を見る
- 2010年に向かって注目のアメリカの株式
- 日本の金利引き上げは2008年以降か
- ユーロ・ドル、ユーロ・円の見方について
- 全体に漂う将来的な円売りの大きな動き

