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vol.1 外貨預金をはじめよう
外貨預金を始める前に・始めた方に
公的年金の先行きに対する不安やインフレリスクなどを背景に、“資産の一部を外貨で持つ”という発想が、ごく一般の方々の間でも浸透しつつあります。さまざまな外貨商品が登場すればするほど、外貨預金ならではの魅力だと私が実感するのが、「金利」です。
たとえば、外貨の中では金利面での魅力が劣るといわれる米ドルでも、今は3年ものの定期預金で3%近い金利がつきます。外貨ベースで見れば放っておいても自動的にお金が増えるのですから、楽しみですよね。 すでに勉強をされている人の中には、「外貨預金の醍醐味は、為替差益(為替レートの変動による収益)を狙うことじゃないの?」と思われる方もいるでしょ う。もちろんそれも正解です。それでもあえて金利という預金商品なら当たり前な話題から私がお話ししたのは、外貨投資の特徴を改めて見つめていただきたい からです。
仕事をもち、または家事に忙しい多くの方々は、為替の動きを24時間見ているわけにはいきません。外貨投資は一時のブームではなく、経済成長がピークを過ぎ、人口が減少していく成熟社会を迎えた日本にとって、これから先ずっと重要な運用の選択肢です。だからこそ短期の売買で利益を出すことのみにとらわれず、長期的で、通貨ごとの大きな特徴に目配りした外貨との付き合い方を考えていただきたいと思います。
買い時ほどものを言う為替手数料の差
外貨預金の基本を改めておさらいしましょう。外貨預金は、日本円を米ドルやユーロなどの外国通貨に交換し、外貨で行う預金のこと。「普通預金」と「定期預金」があり、お金の出し入れが自由な普通預金は、為替の動きにいつでも対応して預け替えることができます。一方、原則的に満期前にお金の引き出しや中途解約ができない定期預金は、一般に長期であるほど金利が高い商品。使い道や預けられる期間に応じて活用するのがいいでしょう。
外貨預金では、各金融機関が決めているTTM(仲値)というものが為替レートの基準になり、これに外貨を買う時と売る時の往復で為替手数料がかかります。私たちが外貨預金を始める時は、TTMに為替手数料をプラスしたレート(TTS)で外貨を買い、反対に外貨を円に戻す時には、TTMから為替手数料をマイナスしたレート(TTB)で外貨を売るという仕組みです。
TTMと為替手数料は、銀行が独自に決めているものですから、同じ日に同じ額だけ日本円を外貨に替えても、銀行によって違いがあります。たとえば米ドルの為替手数料は都市銀行では往復2円程度が相場ですが、ソニーバンクでは0.5円。一見1円ちょっとの差ですが、もともと105円とか108円ぐらいに対する手数料ですから、大きな違いです。つまり円に戻した時に、どれだけ円高になればプラスになるかの分岐点が変わってくるわけです。 為替手数料は、 “買いたい通貨が安値(=円高)であるほど手数料の割合は大きくなる” ということも心得ておいてください。下の表をご覧ください。外貨安(円高)になると、手数料の格差が比率としてもどんどん大きくなっていくことが分かります。米ドルを買うなら、誰だって、できるだけドル安の時に買いたいのですから、これは見逃せないポイントです。

地球を俯瞰して外貨を楽しむ
外貨預金を始める方は、世界の基軸通貨である米ドルから始めてみるのが基本です。アメリカは雇用統計や長期金利の動向といった経済の基本的なデータや、景気に影響を与えそうな政治的ニュース、企業の話題などが入手しやすく、自分で為替の先行きを予測する材料が豊富です。また、もし思ったように為替が動かなかったとしても、外貨のまま持ち続けるリスクが低い通貨だともいえるでしょう。
そのことを踏まえた上で、すでに少しでも外貨投資を始められているという方には、一歩進んだ外貨との付き合い方をされてはと思います。為替相場は、一方が下がっている時はもう一方が上がっている、常に相対的な関係にあるものです。シーソーのようなものですね。極端な例をいえば、日本がすべての国に対して円安だったとしても、他の国同士ではよい場面と悪い場面があるはずです。為替の見方に慣れてきたなら、自分が買っていない他の通貨の動きや、外貨同士の動きにも目を配ってみると、より幅広く外貨預金と付き合えると思います。
外貨預金の楽しみは世界のいまの動きを実感し、日本とアメリカ、日本とイギリスといった二国間だけの関係だけではなく、地球上のお金の動きを宇宙から俯瞰するように見渡すことにあると私は思います。
この記事はasahi.comに2005年6月27日から2005年8月31日まで掲載したものを収録したものです。
為替レートその他の数字、情報はすべて掲載当時のものです。
- 外貨預金活用ガイド
- vol.1 外貨預金をはじめよう
- vol.2 自分の投資スタイルをもつ
- vol.3 タイミングの分散化
- vol.4 通貨の種類を組み合わせる
- vol.5 通貨の動きをみる(1)
- vol.6 通貨の動きをみる(2)

