MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 円金利見通し:2005年9月22日
選挙前−選挙直後の金融市場情勢
年末までの金利見通しを語る前に、現在の金融市場状況を確認しておきます。
9月11日の衆院選挙では、事前予想以上に自民党が圧勝しました。株式市場は、この現実を既に織り込む形で8月8日の小泉首相の解散宣言後から急騰し、日経平均は早々に12000円台まで乗せることとなり、選挙の自民党圧勝を受けて13000円台を実現することとなりました。
こうした状況の中、国債市場は、この株高に加え、8月上旬に政府とともに「国内景気の踊り場脱却宣言」がなされていたこと、また、来年の量的緩和政策解除に前向きな見解を示す日銀当局者が幾人か見られるようになったこともあり、短期金利主導での金利上昇バイアス(傾向)が働くこととなりました。
その結果、2年国債利回りは解散前の8月初旬には0.12%近辺で推移していたものが、選挙後の9月13日には0.185%まで上昇しました。10年国債利回りは、同じく8月初旬には1.34%付近だったものが、9月14日には一時1.4%まで上昇しました。(20年国債利回りは13日午前に2.035%まで上昇する場面もありました)。
キーワードと見通し
さて、これから年末に向けての国内金利動向ですが、その情勢を占う上において、外せないキーワードは「国内株式市場の動き」、「国内景気」、そして「世界景気(とりわけ米国景気)」といえるでしょう。こうしたキーワードと、国債市場独特の需給状況が加味された結果、国内金利市場が形成されることとなります。
結論から述べますと、12月末までの国内金利見通しは、10年債利回り、20年債利回りは、現時点から大きく低下する余地は乏しいものの、逆に現時点から大幅な金利上昇リスクは非常に限定的となりそうです。つまり、最近つけた高い利回り水準である10年国債利回り1.4%、20年国債利回り2.035%を大きく超える金利上昇は、年内は想定されないということです。一方、金利低下の余地としては、瞬間的に10年国債利回りで1.2%割れレベル、20年国債利回りで1.85%レベルまでに留まり、その金利が低下する場面も時間的には非常に滞空時間が短いものと推定されます。
これをタイムスケールで見ますと、11月中下旬あたりまで金利低下バイアスが働き、12月に入り一転して金利上昇基調となり、結果的には現時点水準まで引き戻されるものとみています。そのように想定されうる理由を以下に述べます。
国内要因
では、国内景気と株式市場ですが、これから年末にかけての本邦株式市場は国内景気情勢に連動することが想定されます。先日の衆院選挙を前後とした場面では、どちらかというと、選挙前は小泉政権の信任への期待であり、選挙後の自民党圧勝後は構造改革期待という、それぞれが期待先行で株高が演出された格好となっていましたが、今後、特に年内いっぱいにかけては、これまで無視してきていた景気情勢に敏感に反応する相場となりそうです。そして、その株価の方向性ですが、筆者は下ブレ懸念が高いと見ています。
こうした点で気になる経済指標が、10月3日の日銀短観であり、11月中旬頃に発表される7‐9月GDPです。特に11月中旬頃発表予定の7‐9月GDPは、一部では「ゼロ成長」ではないか?との見方もここに来て観測されるようになっており、10月3日の日銀短観の景況感指数の結果とも絡んで、株式市場へは調整バイアスが働きやすい状況になってもおかしくはないと推定されます。
海外要因
米国経済は、原油高の影響に加え、ハリケーン被害の甚大化により、リセッション(景気後退)はないとしても、景気減速には十分過ぎる材料を与えてしまっています。またここに来て、金先物が17年8ヶ月ぶりの高値をつけるなど、インフレ懸念からくる悪い金利上昇への警戒心も醸成されており、金融関連株や住宅関連株などは売りを誘いやすい状況になってきています。
米国においては、当面は利上げの継続があるのか、第二、第三の大型ハリケーンが来るのか(またその際に再度大規模な被害が発生するのか、さらに、ハリケーン被害復旧にどれだけのコストがかかるのか)など、非常に読みにくい材料が山積しています。一部では、原油高の影響と利上げの影響により、資産効果を減価させることとなり、今後の米国経済の潜在的成長率を低下させる可能性が指摘されています。
こうした動きは必然的に、今後の米国株、ひいては本邦株式市場に対してマイナス要因に働く公算も高いといえます。
総括
以上のことから言えるのは、少なくとも年内の国債市場を取り巻く環境としては、金利低下圧力が高まってもおかしくはない、ということです。
そして、最後に見落とせないのが、円債市場における需給です。円債市場などを主な運用対象にしている年金筋にとって、今年度に入ってからはこれだけ株価が堅調に推移していても、それほどの金利上昇場面がなかったこともあり、その結果、現時点までに運用計画どおり買えなかったところも存在しています。そうした向きからは日銀短観の悪い数値を受け、もしくは7‐9月GDPの悪い結果を受けて株価が軟調となるような場面ともなると、逆にそれを材料に「あきらめ買い」として10年債(もしくは20年債)に買い出動することとなってもおかしくはないのです(その場合、運用計画の見直しを余儀なくされるのでしょうが)。
ただ、「年末までには、消費者物価指数がゼロか若干のプラスに転じる」と発言する日銀主要幹部が今後も出てくるでしょうし、実際に消費者物価指数がプラスに転じる場面が想定されうることから、短期金利ゾーンでは、常に金利上昇バイアスが働きそうです。この点は長期金利低下を阻害する要因です。
このように考えると、11月いっぱいまでは金利低下局面があってもおかしくはないのですが、12月に入ると、急速に株式、債券ともに一旦進んだ行き過ぎ感の調整ということもあり、株価反転、円金利上昇という状況となりそうで、その際は国債利回りも現時点まで戻ってくることが推定されます。
| 10年国債利回り | 1.20%〜1.41% |
|---|---|
| 20年国債利回り | 1.85%〜2.05% |
フィスコ シニアマーケットアナリスト 柏木淳二
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レポート提供:株式会社フィスコ
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