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セミナーレポート
ソニーバンク外貨預金セミナー 2005年夏

必ずお読みください 外貨預金の重要事項

フィスコ為替市場レポート・セミナー編
〜テクニカル・ファンダメンタルズからみた2005年後半〜

講師:山下政比呂氏
株式会社フィスコ リサーチマネージャー

テクニカルから見たドル・円相場

中期相場〜ヘッド&ショルダーズ

このチャートは、ドル円の10年間くらいのチャートです。

ドル・円相場 中期

ドル円相場は1995年につけた安値79.75円からドル高トレンドで147.64円まで上昇し、そこからドル安トレンドに反転し、2005年1月に101.67円まで下落しました。次に目指すところは1998年の147.64円という高値に対応する、8年後2006年の高値かもしれません。

テクニカル分析からは、135.20円を頭にしたヘット&ショルダーズができています。2001年からテロとの戦いが始まり、首を結んだネックラインの115.50円付近を下方突破したのが、2003年9月のドバイG7です。ドバイG7で、ブッシュ家父子2代に仕えた選挙参謀カール・ローブ米大統領次席補佐官は、ブッシュ大統領(息子)が父の轍を踏まずに大統領選での再選を果たすため、ドル安誘導という戦術を採りました。これは米国製造業への配慮であり、人民元・円を標的に「柔軟な為替相場」という文言で切り上げ圧力をかけて、ドル・円は101円まで下がりました。

こういったヘッド&ショルダーズというのは、教科書的には頭と首を結んだ値幅だけ動くといわれています。この場合は135.20円−115.50円で約20円幅ですから目標値は95円でした。また、このヘッド&ショルダーズが崩れる条件は、今度はネックラインを上回った時です。上回るためには、人民元の壁115円が立ちはだかっていますので、人民元がドル売り材料とならないような状況が必要です。ですからそれまでは、114円台ではとりあえずドル売りで対応することになります。

短期相場〜斜行三角形

次はドル円の短期相場として斜行三角形のパターンをご紹介します。

ドル・円相場 短期

斜行三角形というのは、上値と下値が共に切り下がっていくパターン、ウェッジです。チャートを見てみますと、上値は107.30円から106.20円へと切り下がり、下値も101.83円から101.67円へとこちらも切り下がっています。こういった斜行三角形は、下落してきた相場が終わりですよ、と上昇相場を予告するパターンです。

この上値抵抗線を上抜けたら、101円がドルの底値になる可能性が高まる、という相場観を1月のセミナーの時にお話しました。斜行三角形の教科書的なパターンは、まず出発点の107.30円が目標値、次は底辺(107.30円−101.83円)に、上抜けた水準104.25円を加えた水準まで上昇すると予想します。すなわち、104.25+(107.30円−101.83円)=109.72円が次の目標値になります。ついでに頂点(アペックス)付近で高値に到達するというのが教科書的なパターンです。到達時期少しずれましたが、相場の最終局面を示唆した斜行三角形が見事に当てはまり、価格目標109.72円が実現した事例でした。

中国の深謀遠慮

話は変わって、次は中国人民元です。中国人民元は1986年から1994年までずっと切り下げを続けてきました。最後に切り下げたのは1994年のお正月で、5.81元から8.7元まで52.4%も切り下げました。この頃はまだアメリカの対中貿易赤字は非常に少なかったのですが、現在は米国の貿易赤字の約25%が対中貿易赤字になっています。ですからブッシュ政権は、人民元切り上げ圧力を中国にかけてきました。

切り下げる時は豪快に下げて、切り上げる時はわずか2%でした。中国の通貨政策が巧妙なのは、人民元のドルペッグ(固定相場)制度から、通貨バスケット制度に移行したことです。通貨バスケット制度というのは、複数の通貨を一定の割合で加重平均したものと自国の通貨を連動させる方式ですから、いろんな通貨が入っているわけです。つまりドル離れを警告する意図があります。

先ほどもいいましたように、アメリカはこれから海外からどんどんドルを借り入れなければいけませんから、中国には彼らが稼いだお金をアメリカに貸して欲しいわけです。しかしながら中国に圧力をかけると、通貨バスケットで他の国の通貨に移しますよ、という警告になっているわけです。同時に毎日0.3%ずつ変動させてもいいということは10日間で約3%切り上げる可能性があるわけです。そういった「柔軟性」を容認することで、アメリカからの「柔軟性」の圧力をかわすことができるわけです。切り上げ幅は、わずか2%でしたが、その効果は非常に奥深い政策だといえます。

中国が元切り上げをやる時は突然、意表をついてやると予想していたのですが、本当に意表をつかれました。ただ、中国には金融機関の不良債権問題、三農問題(農業、農村、農民)などがありますから、大幅に切り上げると、2008年の北京オリンピックの前にバブルが崩壊する可能性があります。

さらに来年2006年には、WTO(世界貿易機関)に加盟した時の公約「輸入関税の大幅引き上げ」、「直接輸入制限の撤廃」、「外資の市場参入認可」、などを果たさなくてはなりません。公約を果たすと、貿易赤字になる転落する可能性がありますので、2006年まで待ちたいというのが本音です。とりあえず2%だけ切り上げて、通貨バスケット制度でアメリカを牽制しつつ、通貨バスケットの内容を知るために市場が右往左往するのを当面横目でみながら、2006年を迎える。そして、なんとかオリンピックまでもっていくというのが、中国の通貨戦略だと思います。

ちなみに日本は、中国に対しては貿易赤字ですから、元の切り上げは円安要因です。とはいえ、今回は2%ですから、どうなるかは今後の展開しだいといったところでしょう。

いまにして、人民元切り上げの布石だったと思えるのが、2005年の5月18日の香港ドルの通貨制度の改正です。香港ドルはそれまでカレンシーボード制でしたが、1米ドル=7.75〜7.80香港ドルの目標相場圏制度に変更しました。今までは1米ドル=7.80香港ドルでほぼ固定し、香港ドル安方向だけを死守する姿勢でしたが、この時に7.75香港ドルという上限も設定したわけです。つまりこの先、中国は、1ドル=7.75香港ドル=7.75人民元ぐらいまでの切り上げを見すえているのではないかということです。

  • ※カレンシーボード制
    自国通貨を主要国の通貨と一定の為替レートで無制限に交換することを金融当局が保証し,これを担保できる以上の外貨準備を保有する制度。事実上の固定相場制。
  • ※目標相場圏制度(ターゲットゾーン)
    米ドルにペッグしている香港ドル相場に小幅な連動を認める制度

 

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