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第3章 為替相場の変動の仕組みとその要因
11. 外国為替相場の決定理論(4)アセットアプローチ
外国為替市場は1973年に固定相場制から変動相場制へ移行したことにより、主要国は国際間の資本の移動を自由化させ、お金が世界を飛び回ることが可能となりました。そのために為替相場の変動は予想をはるかに超えることになり、従来の購買力平価、国際収支、為替心理説などによるフロー(ある期間において評価される量)をベースでは為替相場を説明しづらくなりました。そこで登場したのが、1952年に発表されたマーコビッツの博士論文がその理論的根拠となったもので、ストック(ある一時点において評価される量)をベースにした新しい理論がアセット・アプローチとなります。
アセット・アプローチは、マネタリー・アプローチとポートフォリオ・バランス・アプローチの2つに分かれます。マネタリー・アプローチが資本の移動が自由であり、かつ2種類の債券が完全にお互いが代わり合える(代替性)ことを前提とした説であるのに対して、ポートフォリオ・バランス・アプローチはそれを否定した狭義のアセット・アプローチ理論となります。つまり、短期的な相場変動が2国間のインフレ率格差から大きく離れてしまっていることに疑問を投げかけ、上記のマネタリー・アプローチが前提としている2種類の債券がお互いに代わり合える(代替性)ことを否定している点です。いずれにせよ、為替相場は2つの通貨で表示された金融資産間の交換比率であり、外国為替市場における需要と供給のバランスが取れたところで決まるという説です。簡単に言えば、二国間の金利差に注目することから始まり、たとえば、アメリカの金利が日本の金利を上回ると、円を売ってドル資産に替える動きが出るというように、為替相場は貿易取引の決済などによるものではなく、資本の動きによって決定されるという考え方です。そしてその需給を一致させる基本的な動機は、資産価格である為替相場が将来どうなるかという予測にあることもお分かりになるでしょう。
下記には参考までにそれぞれの特徴をまとめて表にしましたが、いずれの決定理論をとっても単独では完全に為替相場を説明しきれない部分も多く、総合的に判断することが重要かと思います。

*期待収益率
リスクのある有価証券などに投資する場合は、将来の収益を正確に予測することができない。そのために、ケースを想定してその確率を加重平均化して算出した収益率のことを指す。

