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第3章 為替相場の変動の仕組みとその要因
5. 為替相場の決定要因となる経済指標(1)
為替関係者は経済指標を為替相場の変動要因として注目しています。1980年代から1990年代にかけては米国の経済指標が為替相場を動かす最も大きな要因として注目されました。当時は日本の為替関係者の多くがそれらの指標の発表を待ちわびて日本時間夜半のニューヨーク時間までディーリングルームに残り、夜中まで取引をしていたことが思い出されます。最近では日本の経済指標も注目され始め、その経済指標の数字如何によって為替市場が変動することも多くなっています。日本では日銀短観、景気先行指数などが注目されています。今回は為替相場を動かす個別要因としてのGDP(国内総生産)、失業率、消費者物価について取り上げてみましょう。
為替相場とこれらの経済指標との関係は比較的明確であり、結論から先に言えば、その国の経済にとって良い数字が出ればその国の通貨買い、その逆であれば売りということが基本となります。但し、ここで注意をしなければならない点としては、ファンダメンタルズ分析の項目でも説明しましたが、為替関係者はその予想よりも良いか悪いかによって買いか売りかの判断をしますので、まずは市場の予想を知った上で発表された数字と比較をすることが重要です。単なる表面的な数字だけでその良し悪しで判断をすると予想外の相場の動きに翻弄されることになります。従って、予想通りの数字であれば市場は小動き、もしくは予想と逆の動きとなることが多くなります。そして、相場を大きく動かす要因となるのは、「サプライズ」という言葉でも表現され、予想外の数字が発表される時であることは容易に想像できるでしょう。
さて、それでは具体的にはどのように判断がなされるのでしょうか。たとえば、日本のGDPが前年比で良い数字が発表されたとすると、まずは海外の投資家が日本に安心して投資することができる環境が整っているとして日本にお金が流れることが想定できます。また、為替関係者が最も注目するのは、その数字がその国の金融政策にどのような影響を与えるかということです。下記の表でも分かるかと思いますが、日本のGDPで良い数字が発表されれば、経済状況が良いことから「金融引締め」が連想されて市場金利が上昇します。そして金利が上昇すれば金利高の魅力から円が買われるという流れとなります。失業率においても同様です。その国の経済成長率が高い時には失業率は低く、経済成長率が低ければ失業率は高くなります。指標として『失業率が予想よりも下落した』との数字が発表されればその国の経済状況が良いことを意味し、そこから金融引締めを連想、金利上昇、そしてその国の通貨買いとなるのです。

実際に経済指標が発表された時には、現場の為替ディーラー達はあれこれ理屈を考えず、
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を瞬時に判断して反射的に買い(売り)の行動を起します
またインフレ、デフレを図る尺度としての消費者物価指数・企業物価指数に関しても同様に、それらの数字が前期比で高くなれば通貨買い、逆に低くなれば通貨売りとの判断ができます。ここでも為替相場と金利は切り離せない関係にあることが分かるかと思います。
しかし為替相場とインフレの関係においては、高いインフレ率の通貨の為替相場は相対的に低いインフレ率の通貨に対して、インフレ格差だけ下落するという「購買力平価説」もあります。これは今までお話した為替相場と金利の関係とは逆の関係となるもので、あくまでも「理論」のひとつとして今後の項目でも紹介したいと思います。

