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為替・金利レポート
市場を読む 為替マーケット講座

第3章 為替相場の変動の仕組みとその要因

4. 為替相場の決定要因となる金利変動

「米国のフェデラルファンドレート(FFレート)が引き上げられたのを受け、米ドルが上昇した」、「円の長期金利が上昇したために円が買われた」などという為替記事を良く目にします。金利の変動は為替相場にどのような影響を与えるのでしょうか。

短期金利、長期金利ともに、一般的には金利が上昇している通貨は買われ、下落している通貨は売られます。また高金利通貨である豪ドル、ニュージーランドドルになぜ人気が集まるのかを考えればお分かりと思います。お金は金利の低いところから高いところに流れます。しかし例外もあります。たとえば、中南米諸国では金利が10%以上の国も多いのです。その通貨の需要があるのかと言えばそうではありません。政治経済的に不安定の国、つまりカントリーリスクの高い国にはいくら金利が高くともお金は流れません。政治が安定し、市場が大きく、そして流動性がある市場が投資先として適しているのです。その観点からは米国債券市場が世界で最も安全な投資先であると言えるでしょう。

さて、金利が高い通貨が買われる相場現象を金利相場と呼びます。かつて日本の機関投資家が日本と外国の金利差が4%以上あれば外貨買い・円売りを活発化させる時期もありました。損益分岐点で考えればお分かりかと思います。金利差が大きければ大きいほどリスク許容度も大きくなります。たとえば、仮に日本の円金利が年率0.5%で米ドル金利が年率4.5%とした場合、その金利差は4%となります。これくらいの金利差になると、円を0.5%で借りて米ドルを購入、そして4.5%の米ドルに投資して為替差益を狙う投機も起こります。これを円キャリートレーディングと呼びますが、ヘッジファンドなどが良く使う手法です。日米金利差が4%、1米ドル=110円でその実質金利差が変わらないと仮定すると、2年間で約6.5円、5年間では約15円円高が進んでも元本割れしないリスク許容度が生まれます。この金利差のメリットを活かして投機的な米ドル買い・円売りが活発化するのです。

損益分岐点の単純計算式(単利ベース、インフレ率などを考慮せず)

1)1万米ドルを110円で購入し、米ドル金利年率4%で2年間運用した場合

表

2)1万米ドルを110円で購入し、米ドル金利年率4%で5年間運用した場合

表

歴史を振り返ってみると、為替相場と金利との関係が注目されたのは為替相場とファンダメンタルズとの矛盾が表面化し始めた1980年代に入ってからでした。当時は米国のレーガン大統領がレーガノミックスの理念のもとに高金利政策を取った時期でした。その政策によって米国との他国との金利差が広がり、世界中の資金が米国に流れ、1985年には米ドル円相場も1米ドル=270円台まで上昇しています。また1995〜1998年にかけては日銀の米ドル買い介入、アジア通貨危機なども重なりましたが、日本の利下げの進行による日米の金利差の拡大により、1995年に記録した79円台から1998年には1米ドル=147円台にまでの米ドル円相場が急騰しています。

また逆に1990〜1995年は日米の長期金利差が最も縮小した時期でした。現在では想像もできないのですが、一時的には日米の短期金利も逆転した時期でもありました。その時は米ドルから資金が流出し、米ドル円相場では1990年の1米ドル=160円から1995年の79円台まで米ドル安・円高が急激に進んだ時期でもあります。

「円金利がゼロ%に近いのにかかわらず、何故円安が進まないのか」などという矛盾や、金利が高くともその国の通貨が売られることもありますが、それはその背景に特別な理由が存在していることも多く、需給という基本に戻って考えると金利と為替相場の関係は非常に密接であることが分かります。またインフレ、GDP、失業率などのような経済指標と為替相場の関係においてもこの金利部分が重要な判断基準となります。それは次回に解説いたします。

 

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