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スペシャルインタビュー
メディアに訊く DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集長 岩崎氏編

アグリ・ビジネスが将来を左右する

ITやエンジニアリング以外の分野で、注目されている産業はありますか。

個人的には、この国の将来を少なからず左右するのは農業ではないかと思っています。インドの農作物は、品質としてはまだまだ改善の余地がありますが、すでにアグリ関連の大企業がインド経済の成長と歩調を合わせつつあります。IT同様、先進諸国の農業技術を輸入すれば、品質と生産性を大きく向上できるはずです。ただし、第一次産品の貿易は何かと規制が多い領域ですから、口で言うほどにはたやすくないとはいえ、カーギルやコンチネンタルといった穀物メジャーはずっと昔からインドに目をつけていたそうですし、彼らが放っておくとも思えません。今回の特集では、東京海上日動が提携しているインディアン・ファーマーズ・ファーティライザーという、肥料や農業関連の技術、ITリテラシーなどを提供する協同組合を取材しましたが、財閥系もみんなアグリ・ビジネスに積極的に取り組んでいます。また、これらアグリ企業も金融業に高い関心を示しています。日本の農協を思い浮かべていただければ、すぐ腑に落ちると思いますが、農業従事者向けの融資、保険、リースといった金融サービスを抱き合わせで提供しやすいからです。しかも、何億人という規模なのですよ。

岩崎氏

低所得層に向けたビジネスだとしても、数億人の規模なわけですね。

基本的にインドでは、インド国籍の人は外国の資産に投資してはいけないという法律があります。したがって、国内で完結する投資運用システムが必要なわけです。その結果、株式市場だけでなくて、債券市場も活発なのです。
ボンベイの証券取引所は伝統がありますし、インドは法治国家ですから、ディスクロージャーの面での整備も進んでいると聞いています。貧困層を見ていたらきりがありませんが、先進国に近い金融インフラが整っているのは、インドと中国どちらかと問われれば、たぶんインドではないでしょうか。

期待に満ちた輝きばかりではない現実

インド・ビジネスについて光の部分をお話いただきましたが、あえて影の部分のお話もうかがえますか。

原稿に入れたかったことを今お話しますと、汚職を監視する国際民間団体であるトランスペアレンシー・インターナショナルが、「汚職・腐敗度指数」というものを発表しています。その2004年度の発表によると、インドは調査対象の146ヶ国のうち90位。中国は71位で、この統計に従えばインドのほうが中国よりも汚職腐敗が進んでいるということになります。ちなみに1位はフィンランド、日本は24位です。
そのほか、「人間開発指数」(HDI)という数字を国連が毎年発表しています。これは、GDPは真の国力を反映していないと考えから、パキスタンのマブーブル・ハクという経済学者がアマルティア・センらと共に開発したものです。平均寿命とか、識字率の高さ、ジェンダーといった項目で評価しているのですが、それによるとインドは127位です。また中国は94位です(1位は4年連続でノルウェー、日本は9位)。
インドも中国も、非常にきらきらした世界がある一方で、こちらからでは信じられないような世界もまだまだあるようです。このギャップの両面見てしまうといろいろと、混乱してしまいますが、インドの場合、上澄みの1億人、2億人の平均所得が1万ドル、あるいは2万ドルを超えるのはそう遠くないように思います。ですから、将来の可能性から見れば、大変有望な国だと思います。

 

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