MONEYKitトップ > from MONEYKit > スペシャルインタビュー > メディアに訊く DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集長 岩崎氏編

ビジネス・リーダーのための厳選した翻訳論文を中心に、海外のマネジメント理論や企業の実践例を紹介する『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』(ダイヤモンド社)が、今年5月に創刊200号を迎えました。その記念企画として、ほぼ一冊まるごとのボリュームで取り組まれたのが「インド・ビジネス」。
トップ・エグゼクティブを多数読者に抱える同誌が今インドに注目した理由、また現地取材で見たインド・ビジネスのリアル・シーンについて、編集長の岩崎卓也氏にうかがいました。
グローバルリーダーを輩出しているインド
インド市場の将来性への期待が急速に高まっている一方、現地のビジネスに関する具体的な情報の不足が指摘されています。インド・ビジネスを文明史や民族性、企業取材など多面的な視点で紹介した5月号『インド・インパクト 第三の新大陸』は、そういった意味で画期的でした。インドを特集した理由を、改めてお聞かせくださいますか。
ここ4、5年、グローバルなビジネスの世界でインド人の台頭が顕著であることに興味を抱いていました。たとえば、今や老舗IT企業であるサン・マイクロシステムズの創業者の一人であるビノット・コースラ、現在世界一の粗鋼生産量を誇るオランダのミッタル・スチールを率いるラクシュミ・ミッタル、コンサルティング会社のマッキンゼーは世界50ヶ国以上でオフィスを開設していますが、その代表であるマネージング・ディレクターも、ラジャト・グプタというインド人です。ちなみに、彼は昨年退任しましたが。
ハーバードやスタンフォードをはじめ、世界的な大学でもインド人の活躍は目をみはるものがあります。たとえば、ブラジル、ロシア、インド、中国、いわゆるBRICs諸国の中で、ノーベル経済学賞を受賞しているのは、インド人のアマルティア・センだけです。日本でもベストセラーになった『コア・コンピタンス経営』の共著者である経営学者、C.K.プラハラッド、マーケティングの世界最高峰ビジネススクールのノースウエスタン大学ケロッグスクールの学長、ディーパク・ジェインもインド人です。とにかく、インド人の活躍は日本人以上です。

インドは「新興国」といわれますが、人材としては既に先進国に根ざしており、グローバルに活躍している人物を数多く輩出しているわけですね。
中国はインドと並んで語られることが多いですが、これこそ大きな違いの一つでしょう。中国について、『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』(以下DHBR)では2年前に特集を組みましたが、共産主義の歴史も影響しているのでしょうか、グローバルなビジネス・リーダーがまだ登場していません。
先に挙げた人たちは、ノン・レジデンシャル・インディアン(NRI)、いわゆる印僑と呼ばれる在外インド人です。世界を股にかけて商売をしている国民というと、すぐ華僑の話になりますが、印僑のビジネス・センスはそれ以上かもしれません。
加えて、近年のバンガロール(インドにおけるITソフトウェア産業の拠点都市)の台頭をはじめ、IT産業のグローバル化があります。この点は『フォーリン・アフェアーズ』誌(*)でもかなり早くから取り上げられていました。
「フォーチュン500」の半分以上がインドに進出しています。さる6月、アメリカの『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌の経営陣たちとミーティングしたのですが、彼らも中国よりもインドに注目していました。何しろ英語を話せる人口が3億人以上おり、アメリカの総人口よりも多いのですからね。ちなみに、インドの日本大使館の資料によると、インドに進出している日本企業は、事務所を置いた程度の企業も含めて300〜400社足らずです。
世界の目は、中国同様、インドに向けられているにもかかわらず、あまり日本ではその関心が高くない。しかも、インドを真正面から取り上げたビジネス誌が皆無であることもあって、創刊200号という節目にインド特集を組んだわけです。
*フォーリン・アフェアーズ誌とは、1919年に創設された、歴代のアメリカ大統領たちをはじめ、アメリカの政財界の重鎮、政治経済学の一流研究者たちで構成される外交問題評議会(CFR:Council on Foreign Relations)が発行する季刊誌。
- グローバル・リーダーを輩出しているインド
- 貧から富まで各階層にある経済の良循環
- ビジネス市場とカーストの強固な関係
- アグリ・ビジネスが将来を左右する
- 日本企業が遅れた「リーダーシップ」

