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為替・金利レポート
市場を読む 為替マーケット講座

第3章 為替相場の変動の仕組みとその要因

1. 需給による為替変動

為替変動を予想する時には需給、ファンダメンタル、テクニカルなどによる分析がありますが、その中でも需給が最も基本的な変動要因となります。特に一定期間の為替変動に大きな影響を与えるのは、机上の理論ではなくて、直接的に市場の需給バランスを変える実弾であることは言うまでもありません。短期的にも輸入企業、輸出企業や機関投資家による外国債券投資がらみの外貨買い/円売り、外貨売り/円買いによって相場は変動します。また長期的には経常収支の影響も大きく、たとえば現在の日本のように経常収支の黒字額が多く、海外との取引において外貨での受け取り額が支払い額よりも大きい需給バランスが続けば、継続的な円高要因となります。

それでは、需給が為替市場にどのように影響を与えるのでしょうか。昨年以来の日本銀行による市場介入を例に具体的に説明してみましょう。この時は海外投資家の日本株買いによる円買いや米国の双子の赤字増加を理由にした投機的な米ドル売り/円買いが激増した円急騰局面となり、そのため日本銀行は特に1米ドル=115円割れからは断続的に米ドル買い/円売りの市場介入を実施しました。結果的には約32兆円(2004年5月に財務省が発表、1米ドル=110円換算で約3,300億米ドル)という1年度ベースでは史上最高である巨額の市場介入となったことは記憶に新しいかと思います。この約32兆円という市場介入額は現在の日本の1年間の経常収支の黒字額の約2倍に相当する額であり、日本銀行が2年分の経常収支分の黒字分を買いきりで吸収したという事実も驚きではあります。

さて、介入当初はあまり効果が出ず、円はじりじりと上昇し、一時は1米ドル=103円台にまで上昇してしまいました。もちろん、1回毎の介入直後は数億米ドルという巨額の米ドル買い注文が出れば当然米ドルの売りは減り、瞬間的には米ドル/円相場が急上昇しました。しかし、第1回の外国為替市場の基礎知識部分でも説明しましたが、1日の世界の外国為替市場の売買取引高が1兆から1兆5000億米ドル(1米ドル=110円換算で110兆から165兆円)を超えるといわれている中では10億米ドル程度の単発の米ドル買いの影響は長続きしないことは容易に想像できます。しかしながら、流石に10億米ドル(約1,100億円)単位の介入が年間百回以上も継続的に行なわれるとなると話は異なり、その後はじわりじわりと為替市場の需給バランスに影響を与え始め、今年年初に1米ドル=100円割れも必至と予想された円高の流れは阻止されました。これは決して偶然の出来事ではなく、中期的な相場変動において需給が大きな影響を与えているという典型的な例でもあります。

また一日だけの日計り取引をするインターバンクディーラーでも、その日の輸出入の需給関係を事前に調べて相場予想をすることは日課となっています。またそれ以外にも企業、機関投資家などからのまとまった額、もしくは継続的な外貨投資や*外貨円転の情報が入れば、その週、またはその月、さらに数年間の相場の流れに影響を与える要因と捉えて相場勘を養います。このように需給バランスを知ることが最も基本的な相場予想方法であり、机上論を学ぶ前に、まずは単純に『「買い」が「売り」より多ければ相場は上昇し、逆に「売り」が「買い」より多ければ相場が下落する』という基本的な考え方を身につけることが重要です。

*外貨円転(がいかえんてん)
外貨を円に換えること

 

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