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第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
情報開示の制度は整備されている中国市場
- 和泉
- 私たちが投資判断の参考にするのは、報道や企業の情報開示です。中国の情報開示というのは、実際のところはどうなのでしょう。
- 司馬
- 情報開示そのものに関しては、制度上は非常にしっかりしています。中国の企業はマーケットからお金を調達したいので、株主に対してかなりフレンドリーです。その一例が配当です。日本の場合は定額配当が主流ですが、中国では定率配当。利益の4、5割ぐらいを株主に還元します。ですから投資家を非常に気にしていますし、ディスクロージャーも改善しています。
- 和泉
- それもまた、漠然と私たちが考えていた中国の概念とは違うお話ですね。
- 司馬
- マーケットの歴史がまだ若いですから、いろいろな会社が混在しているのも事実です。香港市場に上場しているH株というカテゴリーがありますが、H株指数に上場している銘柄のPER(株価収益率)の平均は、いま約10倍です。ちなみに日本のTOPIXは21倍ぐらい、アメリカのS&P500では17倍ぐらいです。H株指数が比較的低いのは株価をディスカウントしているということで、これは企業の粉飾決算に対する、マーケットの不信感の現れだと思っています。逆にいえば、TOPIXやS&P500との倍近い隔たりは、今後は縮まってくるということも考えられます。
- 和泉
- まだまだ中国株は伸びる、今はまだ安いと仰るわけですか。ところで、どうせエマージングな国に投資するのなら、俄然注目が集まっているインドの方がさらに若く、もっと伸びるかもと思っていらっしゃるかたもいると思うのですが。
- 司馬
- インドの特徴は株式市場の歴史が古くて、上場している企業が4800近くあります。ただ一社一社の規模は小さい。いま香港に上場している約1000社で、香港のマーケット規模は4倍近くあります。香港ではインドの4倍の規模のマーケットに、4分の1の数の企業が上場しているわけです。
- 和泉
- それだけ香港の上場企業の方がボラティリティが高いということですね。
- 司馬
- 実体面を見ますと、経済全体を大きくトレンド軌道に乗せるためには、インフラが絶対的に必要です。過去中国はそれを熱心にやってきましたが、インドはこれからです。ただし、両方ともこれから需要が伸びる国ですから面白いと私は思います。
- 和泉
- 私は中国とインドはスパンが違うととらえています。調査機関の予測などを見ましても、10年ぐらい成長のスピードが違います。子供でいえば中学生ぐらいになっている中国と、小学生ぐらいのインド、それぞれ花を咲かせる時期が違うというようにとらえて、中長期で育てるというのがいいのではないかと考えています。
- 司馬
- その通りですね。成長のステージが10年ぐらい違うと私も思っています。
エマージングな国に投資することの意味
- 和泉
- 中国株投資はこれからが面白そうだということが改めて分かりましたし、個人投資家には難しそうだということも分かりました。ファンド・マネージャーである司馬さんにあえて伺いますが、とはいうものの投資信託では利益も分散してしまう。いっそ個別株の方がいいのではないかという考えかたは、いかがでしょう。
- 司馬
- 中国は経済自体が変わっている時期ですから、会社もものすごく変わります。私の運用しているファンドは、上位10銘柄はこの2年間で全部入れ替わりました。アメリカのような先進国でも、ダウ平均の30銘柄は1960年代から現在までにほとんどが入れ替わっています。鉄鋼会社が脱落して、マイクロソフトやファイザーといった企業が入っている。中国でもそれに近いことが起こり得るわけです。個別株で儲かるチャンスもあると思います。その反面、長い目で見れば個人が時間をかけて企業や産業の変化を見守れるかといえば難しい。変化の激しい市場では、投資信託がいいと私は思っています。
- 和泉
- 最後の質問です。私はファイナンシャル・プランナーという立場で、個人の資産とそのかたのライフサイクルの結びつきを考えた時、ポートフォリオにエマージング(成長段階)な国をもつのはよいといまは思っています。司馬さんはエマージング・カンパニーへの投資をどう位置づけていらっしゃいますか。
- 司馬
- 多くの一般的なかたは、主に年金という形で将来に備えていると思います。そういった年金の運用は、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルのMSCIインデックス等の指標に大きくかけ離れないように運用されています。ところがMSCIインデックスの構成は、54%がアメリカです。つまり日本の皆さんの年金の運用は、かなりの部分がアメリカをはじめとする先進国のマーケットに依存している。アメリカのような成熟経済で、株価がこれからも飛躍的に上がっていくのは難しいわけでして、個人的にはもっと期待感の高い集め先に投資をシフトしていく必要があると思っています。ただ企業が簡単にそれができないというのも現実です。ご自分の年金の運用先のバランスをご自分でとるという面から見ましても、エマージングな国への投資というのはこれから重要になっていくのではないかと思います。
第1部・前半『中国株投資事始め』和泉昭子氏
第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
- 多面性をもつ中国の全体像をどうとらえるか
- バブルではなく、高度成長期という認識
- ブレのない安定成長を目指す中国政府
- 国内の経済格差の問題をどうとらえるか
- 情報開示の制度は整備されている中国市場

