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第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
ブレのない安定成長を目指す中国政府
- 和泉
- もう少し短いスパンのお話をさせてください。過去2年の過熱的な上昇局面と比べると、どうも政府の調整が入っているのではないかという印象をもたれているかたも多いと思います。中国の景気のサイクルに関しては、どうお考えですか。
- 司馬
- 確かに昔と比べると、政策的にいろいろ先手を打っているところはあります。不動産に対するモーゲージ(抵当権)を少し引き上げたり、利上げしたり、景気全体が加熱する局面を抑えるようとしています。それによって全体的にブレのない成長を継続させていこうというのが、中国政府の基本的なスタンスだといえます。
- 和泉
- 3月初めの全人代(第10期全国人民代表大会)では、経済成長率目標が引き上げられました。昨年は実際の成長率が目標を超えてしまったわけですよね。
- 司馬
- 過去5年間、経済成長率目標は7%が続いていましたが、昨年の実際の成長率は約9.5%。今年は目標が8%に引き上げられました。本来の成長率に目標を合わせるという、政府のはっきりしたメッセージです。景気の過熱論というのはいろいろ要因があり、ひとつが外資系企業の投資額の膨大な伸びです。ただこういった投資はかなり長期の視点で行われています。所得自体もこの2、3年でものすごく上がってきていますが、そういう意味では国内消費が非常に好調です。
- 和泉
- 外資企業にとっては従業員の所得が上がるのはマイナスに働くかもしれないけれど、国内消費に対してはプラスだということですね。
- 司馬
- そういうことです。都市部ではデパートに人が溢れていますし、レストランも盛況です。それと内需の拡大だけでなく、輸出産業も非常に好調です。
- 和泉
- そうですか、去年は自動車産業がかなり鈍化したと思っていましたが。
- 司馬
- 自動車がだめといっても、昨年も台数で15%近く伸びています。2003年の75%増という数字と比べるから「落ちた」と報道されてしまいますが。もし日本の自動車生産台数が15%アップだとしたら、それはすごいことですよ。
個人投資家が株価変動の理由をつかむのは難しい
- 和泉
- 中国と日本は違うと分かっているつもりでも、まだまだ日本的な考えかたが抜けていないことが、お話を伺うと気づかされます。これは日本株に投資するそのままの気持ちで、中国投資を考えるのはまずいですね。
- 司馬
- 日本の固定観念で判断をすると誤るという典型例が、まさに自動車です。中国の自動車普及率は都市部で3.5%程度、北京が一番高くて8%ぐらいでしょう。これほどベースが低いのですから、間違いなく伸びると普通は思ってしまいます。
- 和泉
- ところが自動車株は、過去1年で半分ぐらいになっているわけですよね。
- 司馬
- なぜかいいますと、いま中国の自動車市場には外国の大手メーカーが殺到しているわけです。値引き競争が始まっています。さらに鉄鋼価格が急騰して、仕入れコストも増大というサイクルに入ってしまった。このように中国市場というのは、業種のサイクルがはっきりしています。
- 和泉
- それを正確に読むというものすごく難しい。実は、友人が中国の個別株に投資しているのですが、彼女の声を聞いただけでマーケットの状況が分かります。中国にはストップ高がありませんから、上がる時はどこまでも上がるのでバラ色です。しかし一度下がり始めれば、ストップ安もないのでこちらもダイナミックです。今はネットで情報を細かく拾えるので、後で何が起こったかは分かります。しかし、上がっている時にどこで売ればいいか、下がり始めた時に理由が何かが分かりません。
- 司馬
- 一例ですが中国は電力不足で、電力株は過去4、5年で5、6倍は上がりました。ところが去年の半ばから下がり始めたのです。下がる理由をつかむのは難しい。
- 和泉
- 電力がまだまだ足りていないのに、なぜ下がったのですか。
- 司馬
- 原因は火力発電所で燃やす石炭です。電力価格の上昇はインフレに繋がりやすいので、中国政府が価格をコントロールしています。ところが石炭価格は国際市況になりつつあり、原油が高騰していますから、石炭価格も5割も6割も上がりました。いくら発電量を増やしても、価格を抑えられていれば結果的に減益になってしまう。それをマーケットは先読みして、いま株価はピーク時の4、5割程度に下がっています。こういった業種のサイクルが、中国ではだいたい2、3年周期で続きます。
自動車の販売台数の推移
出所)中国汽車工業協会、日本自動車工業会、Ward's Automotive Reportのデータを基に 三井住友アセットマネジメント作成
第1部・前半『中国株投資事始め』和泉昭子氏
第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
- 多面性をもつ中国の全体像をどうとらえるか
- バブルではなく、高度成長期という認識
- ブレのない安定成長を目指す中国政府
- 国内の経済格差の問題をどうとらえるか
- 情報開示の制度は整備されている中国市場

