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第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
バブルではなく、高度成長期という認識
- 和泉
- 中国株投資にお詳しいかたの中には、確かに夢はあるけれども、今から投資するのはいかがなものか、いわゆるバブルは終わったのではないかという方もいらっしゃると思います。その点はどう思っていらっしゃいますか。
- 司馬
- バブルというのは、特に不動産を指しているのだろうと思います。この数年、大都市で不動産価格が上がったことは事実です。ただ一方で冒頭にお話した固定観念、過去10数年間の日本の不動産価格のイメージが頭に焼き付いたまま、中国を見ているのではないかとも思います。実際、外資系の証券会社で働くイギリス人の多くが、個人で中国の不動産を積極的に買っています。不動産価格が日本ほど下がっていない国から見ると、日本人とはまったく違う姿が見えてくるわけです。
- 和泉
- 過去の苦い体験を引きずって、中国の不動産価格上昇はバブルであり、そのバブルの崩壊は目前だと日本人が勝手に思っているということでしょうか。
- 司馬
- そういう部分が大きいと思います。中国は日本から30〜40年遅れているとお話をしましたが、1955年(昭和30年)から1965年(昭和40年)の日本の不動産価格の上昇率を調べますと、全国の市街地の平均が約6.5倍です。さらに1985年(昭和60年)までの30年間では56倍近い上昇率になります。
- 和泉
- 56倍!。85年までということは、バブル以前までの統計ということですね。
- 司馬
- 高度成長期には、こういったことがあり得るんです。もうひとつ、中国を全体的に見ると、不動産価格はそれほど変わっていないということも日本の報道では見逃されています。昨年の中国国家統計局の調査によると、全国の都市部の平均地価上昇率は約4.3%です。ところが去年、全国の所得の伸び率は約7.6%。平均的な地価よりも所得の方が伸びていて、特に都市部ではそれが顕著です。
中国と日本の一人当たりGDP比較
(注)赤線は日本、青線は中国について記述した項目
(出所)GDP試算は中国国家統計局、北京市、上海市、内閣府資料などより 三井住友アセットマネジメント作成
賃金上昇は産業構造にどう影響するか
- 司馬
- 私は先週、香港と広東省に行ってきました。広東省は中国における輸出産業の最大の基地です。面白いことに企業を訪問しますと、どこでも「うちの会社にはクラブハウスがあります」と福利厚生施設の充実を強調しました。卓球の練習室、図書館、カラオケルームなど、従業員を引きつけるものがあるから、労働力の確保に困っていないというわけです。これはつまり、人を集めるのが中国でも難しくなってきているということを表しています。少し前には、壁に「100人募集」と張り紙さえすれば、すぐ1000人が並んだといわれたのですから。
- 和泉
- 先ほどの所得の伸びというお話も、今の人手のお話もそうですが、これまで中国の魅力と思われていたさまざまな要素を否定するような報道も増え始めましたね。
- 司馬
- 従業員の給料の上昇というのは、全国的な傾向になりつつあります。中国には13億人もいて、人が足りなくなることはないといわれてきたのに、実際は現地で人の採用に困っている日系企業も増えています。
- 和泉
- そういった点を、私たちはどう考えればいいのでしょうか。
- 司馬
- 賃金が上がっているとはいえ、絶対的な賃金水準はまだまだ低いのです。南の方でだいたい月800人民元、日本円で1万円ちょっと欠けるぐらいです。では他の新興国、タイやメキシコに比べてどうかといえば、一部のエリアでは賃金が高くなっている部分もあります。しかしパソコンに代表される組み立て産業では、周辺の部品産業が非常に大事です。いかに短期間でモノを集めて大量生産を行うか。こういった点で、中国にはかなり効率的なシステムができつつあり、少し賃金が高くなったといっても、他の国に移るということはいまは考えにくいと思います。
第1部・前半『中国株投資事始め』和泉昭子氏
第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
- 多面性をもつ中国の全体像をどうとらえるか
- バブルではなく、高度成長期という認識
- ブレのない安定成長を目指す中国政府
- 国内の経済格差の問題をどうとらえるか
- 情報開示の制度は整備されている中国市場

