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第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
多面性をもつ中国の全体像をどうとらえるか
- 和泉
- 今日お集まりの皆さんは、中国株投資に強い関心をもってお越しでしょうが、関心の度合いはさまざまだと思います。そこでまずは、ブームではない“王道な投資”の対象として、現在の中国をどう見ればいいかをお話しいただけますか。
- 司馬
- 中国というのは非常に大きな国ですので、一言でいうのは難しいのです。現在、年間約370万人の日本のビジネスマンが中国を訪れていますが、おそらく皆さんが知っているのは上海、北京、香港といった中国の玄関口だけだと思います。報道を含めて正しい情報が送られているか、あるいは記者自身が中国の全体像を捉えているかといえば、必ずしもそうではない。詳しくは後々お話しますが、これまでの日本的な固定観念を捨てることから、中国を見ることはむしろ始まります。
- 和泉
- 先日、私が北京に行った時に現地案内してくだったかたも報道関係、テレビ局の特派員のかたでした。そのかたも「北京だけを見て帰って、中国に行ってきたなんて言わない方がいい」と言っていました。全体で見ると、全く違う国なんだよと。
- 司馬
- 少し関連しますが、いまの中国は制度面でアメリカの真似をしている部分があります。両国とも大きくて、多様な民族の集まりですから。たとえばアメリカの銀行制度は中央にFRB(連邦準備制度理事会)があり、その監督下に12の地区連邦準備銀行があります。中国もまた、中央銀行の支店が16のエリアに設置されています。
- 和泉
- 制度というお話では、中国は2001年にWTO(世界貿易機関)に加盟しました。これは、国際社会に仲間入りしますという宣言ですよね。中国投資というとオリンピック、万博、新幹線建設といった話になりがちです。それだけではなく、これからの中国は天安門事件のような揺り戻しのない、グローバル・スタンダードに則った国になるだろうという期待が今の投資熱の背景にあると思うのですが。
- 司馬
- 確かにそうでしょう。また、そういったイベントが続くとしても、中国は国全体でみるとまだ貧しい国です。一人当たりのGDPは、昨年で1270米ドル、これは日本の20分の1以下です。最近、中国政府のシンクタンクが「中国の経済発展段階はアメリカに遅れて80年、日本に遅れてだいたい40年」というレポートを発表しました。アメリカの80年前はというと鉄道の勃興期です。インフラ整備が全土で進み、鉄鋼王のカーネギー、石油王のロックフェラーといった大富豪が生まれました。いまの中国も、鉄や石油がいくらあっても足りない状況です。上場企業を見ましても、石油会社や鉄鋼会社、電力会社といった業種が圧倒的に多いわけです。
いまや世界の繊維産業の引き受け手に
- 和泉
- つまり内需産業が中心であると。同時に「中国は世界の工場」ということも、以前からいわれています。先進国では採算性が低い産業分野が中国に移り、輸出で得たお金で国内が潤うという流れになると思いますが。
- 司馬
- その典型が繊維産業です。中国の繊維産業は世界で4分の1の市場シェアをもっています。以前は欧米の中国製繊維製品に対する輸入規制が厳しかったのですが、今年1月に撤廃されて輸出量が急増しました。たとえばラルフ・ローレンの生地は、今や大半は中国製です。日本では繊維事業から完全撤退する企業がでていますが、繊維産業自体はなくなりません。洋服は着なくてはいけない。問題は誰が作るかで、そのほとんどが中国に移りました。中国における投資テーマとして、繊維産業はものすごくよいと考えられるわけです。
- 和泉
- インフラと繊維産業というお話を伺って思ったのですが、ではアメリカや日本の歴史を学んで、近代化の後追いで順番に投資をしていけば誰もが成功できるのでしょうか。タイムマシンで未来からやってきた投資家のように。
- 司馬
- 道路や橋や鉄道がなければ、物流は機能しません。基本的にはインフラの重要性は変わらないということです。ただし時代は変わっていますから、消費動向には意外な変化もあるはずです。たとえば中国ではVTRの普及という段階はなく、いきなりDVDプレーヤーが今売れています。
- 和泉
- つまり私たちの過去の高度成長とは違う、時間的な圧縮があったり、何かの段階が抜け落ちることある。そこが難しいところですね。
- 司馬
- それから中国は総体の大きな国ですから、富裕層が全体の5%だとしても6500万人。それだけでかなりの市場になるということも、日本とは違います。
- 和泉
- まさにそれは、欧米のブランド企業が対象としている層ですね。中国では携帯電話の契約件数が3億台に達しましたが、それでもまだ全体の人口の26%です。やはり母数の多さというのが、中国の一番の魅力なのでしょう。
日本・中国 携帯電話加入者数
(2004年12月末現在)
(出所)中国信息産業部、電気通信事業者協会データを基に三井住友アセットマネジメント作成
第1部・前半『中国株投資事始め』和泉昭子氏
第1部・後半『中国株投資の魅力』 対談:和泉昭子氏、司馬毅氏
- 多面性をもつ中国の全体像をどうとらえるか
- バブルではなく、高度成長期という認識
- ブレのない安定成長を目指す中国政府
- 国内の経済格差の問題をどうとらえるか
- 情報開示の制度は整備されている中国市場

