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第2章 外国為替相場の仕組み
5. 通貨オプションと通貨スワップ
通貨オプション、通貨スワップ取引は為替先物取引と並び、通貨デリヴァティブ取引と言われています。このような取引は、元々は外債発行時の為替リスク軽減、そして輸出入企業の中長期の為替ヘッジ手段として考案されたものですが、同時に最大限の利益を追求するための手法としても使われており、最近では個人向けの高利回り金融商品にも頻繁に組み入れられています。今回は「通貨オプション」「通貨スワップ」について簡単に説明します。
通貨オプション
オプションとは英語のOPTION「選択権」のことを指し、通貨を将来の一定期日に、あるいは一定期間内に特定の価格で買う、または売ることができる権利の売買を通貨オプション取引と呼んでいます。また通貨を買う権利のことを「コール」、通貨を売る権利を「プット」といいますが、「コール」「プット」取引にはそれぞれ買い手と売り手がいます。買い手がプレミアム(オプション料)という保険料を支払うことによって一定期間における権利を買うのに対して、売り手はそのプレミアムを受け取る代わりに買い手への義務を果たさなければならず、権利の行使日までは相場変動における無限のリスクを負うことになります。
また先物取引とオプション取引は将来の売買に関する取引という点でよく似ているといわれます。先物取引は将来売買する『約束』であり、約束の価格と売買時の市場価格の関係によって利益とも損失ともなりうる取引です。それに対して、オプション取引はプレミアムを支払うことにより通貨を売買できる『権利』を購入することになりますので、都合の良い時だけ売買する、またいつでもキャンセルできる予約取引ともいえます。
通貨スワップ
スワップとは、英語のSWAP「交換する」という意味です。そして同じ通貨間の異なる種類の金利部分だけを交換することを「金利スワップ」と呼ぶのに対して、異なる通貨間の異なる種類の元本・金利を交換することを「通貨スワップ」と呼んでいます。単に通貨・金利を交換するといっても、その必要性、方法など具体的なイメージを描きづらいのですが、簡単にいえばニーズが合致する相手を探し出して始めて成り立つ相対取引と考えれば良いでしょう。1981年のIBMと世界銀行との「通貨スワップ」がその最初の取引といわれていますが、これはスイスフラン・ドイツマルクにより資金調達は可能なものの実際には米ドルが必要だったIBMと、米ドルでの資金調達は容易だったもののドイツマルク・スイスフランの需要が多かった世界銀行のニーズが合致して通貨の元本・金利交換が成立したものです。
最近では「通貨スワップ」の中でも元本を交換せず、将来にわたって異なる通貨の金利のみを交換する「クーポンスワップ」も良く見られます。これは円と外貨の金利を交換し、定期的に外貨が必要な日本の輸入企業が中長期の円安リスクを軽減する時に利用されます。
クーポンスワップ(通貨スワップの一種)
また高クーポン商品として、債券購入代金の払い込みと途中の利払いが円建てで行われ償還元本が外貨建てとなっているデュアル・カレンシー債、そして発行と償還は円建てで行われ途中の利払いは外国通貨の金利が外貨建てで支払われるリバース・デュアル・カレンシー債などがありますが、前者のデュアル・カレンシー債が「為替先物取引」で組成されており、後者のリバース・デュアル・カレンシー債は「クーポンスワップ」を組み込むことで組成されています。
このように中長期に渡り将来の為替相場を固定するという取引は、為替変動リスクを回避できるメリットはありますが、逆に予想外に為替相場が大変動すると巨額の損失を被る可能性もあり、事前の為替管理、損益分岐点などを正確に把握しておくことが重要となります。
第1章 外国為替の基礎知識
第2章 外国為替相場の仕組み
- 1. 直物相場と先物相場
- 2. 直先スプレッド(スワップレート)、先物相場の算出方法
- 3. クロスレートとその計算方法とは
- 4. 顧客相場の決め方
- 5. 通貨オプションと通貨スワップ

