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第2章 外国為替相場の仕組み
2. 直先スプレッド(スワップレート)、先物相場の算出方法
前回は直物相場と先物相場の分類などについての話をしました。それでは数ヶ月先の為替先物相場は一体どのように決まるのでしょうか。先物相場は将来の相場を予想した数字ではなく、通貨間の金利差から算出される*直先スプレッドを直物相場に「加減」することにより決定されます。ちなみに現場の為替ディーラー間では直先スプレッドをスワップレート(Swap rate)と呼んでいます。
その直先スプレッドの計算においては通貨間の金利差が大きなポイントとなります。ここでは米ドル円を例に挙げて説明してみましょう。結論を先に言えば、直先スプレッドは円金利が米ドル金利よりも低いとディスカウント(Discount)となり、逆に円金利が米ドル金利よりも高いときにはプレミアム(Premium)となります。そして、冒頭でも「加減」という言葉を使いましたが、先物相場を計算する場合には、ディスカウントでは直物相場から直先スプレッドを差し引き、逆にプレミアムではそれを加えることになります。
さて、下記はその直先スプレッドを算出するための簡略計算式となります。先物相場の計算方法を覚えておくと為替先物予約、為替ヘッジについての理解の早道となります。また日本経済新聞の銀行間ドル直先スプレッド欄にも掲載されていますが、dはディスカウント、pはプレミアムの略となります。
- <参考例> 直先スプレッド(スワップレート)計算式
- (1) 直物相場 ⇒ 1米ドル=110円
- (2) 日本円の3ヶ月物(91日)金利 ⇒ 0.3%
- (3) 米ドルの3ヶ月物(91日)金利 ⇒ 1.5%
- (4) 円と米ドルの金利差 ⇒ ▼1.2%・・・・(2)−(3)
- (5) 直先スプレッド(スワップレート)の 簡略計算式(厳密にはもっと複雑な計算式となる)

★1年を365日ベース、3ヶ月の日数は第2営業日目から起算して91日間と仮定する
★小数点第3位以下は四捨五入
上記では米ドル円の3ヶ月物の直先スプレッドは1米ドルにつき0.33円のディスカウントとなります。そして先物相場を算出するためには、直物相場である1米ドル=110円から直先スプレッドであるディスカウント分を差し引きます。その結果、3ヶ月後の米ドル円先物相場は、110円−0.33円 =109.67円 ということになります。これは3ヶ月間に米ドル金利から受け取れることができる利息分と円で支払う金利分の差を為替のスプレッドに置き換え、為替レートに織り込んだものです。そして、米ドルから受け取る利息分の方が大きいので、3ヶ月後の先物相場は直物相場よりも安くなります。つまり、米ドルの買い手であれば差額利息分だけ為替レート上で優遇される仕組みとなります。ちなみに現在は円金利が米ドル金利より低いために先物の米ドル円相場は直物より安くなっていますが、日本の金利が高かったバブル時代には、米ドル金利よりも円金利の方が高かったため、先物の米ドル円相場の方が直物より高くなっていました。
上記のことが理解できると、『久しぶりの円安(円高)水準になったこともあり、先物の米ドル売り/円買い(米ドル買い/円売り)の為替先物予約が出た』のような為替記事も身近に感じるかと思います。輸出入企業では年間の社内為替レートが決まっており、その為替レートを基準に業績予想を行ないます。従って、直物相場が一定以上(以下)の相場水準になり、将来の決済日における為替先物レートが社内レートと比較して有利となれば、当面の採算を確保するための先物為替予約が活発化するのです。
*直先スプレッド(スワップレート)
直物相場と先物相場の差
第1章 外国為替の基礎知識
第2章 外国為替相場の仕組み
- 1. 直物相場と先物相場
- 2. 直先スプレッド(スワップレート)、先物相場の算出方法
- 3. クロスレートとその計算方法とは
- 4. 顧客相場の決め方
- 5. 通貨オプションと通貨スワップ

