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下げは一時的。ゆるやかな上昇を予測
100円を割り込まず、ドル反転の可能性も
ドル・円相場の最後は、短期的な見通しについてです。短期的には三角保ち合いを下抜けましたが、101.67円で反転したため、「三角保ち合いの騙し」に終わったといえます。

そして現状のパターンは、斜行三角形というパターンを形成しています。
斜行三角形とは、上値抵抗線(107.30-106.20-105.19)が切り下がり、下値支持線(101.83-101.67円)も切り下がるという楔型のパターンで、下落トレンドの最終局面を示唆するパターンです。
このシナリオが崩れるのは下値支持線を下抜けた時ですが、ここをキープしている限りは、135円から101円まで下がってきたドル下落トレンドが終了した可能性があります。では、いつ上放れるか?頂点までの時間軸の4分の3までに決着がつくというのが三角保ち合いの教科書的なパターンですので、期限は3月28日になります。
ですから、今は斜行三角形のパターンが有効ですから、100円を割り込むことなしに、3月28日まで(明日でも明後日でもいいわけですが)に上放れる可能性があるということです。
ドルが反発する背景として、1月30日のイラク国民議会の選挙が無事に終わる、2月1-2日にFOMC(連邦公開市場委員会)では0.25%の追加利上げが予想通り行われる、予算教書演説と一般教書演説では、財政赤字削減をブッシュが力強く宣言する、ロンドンのG7では中国に対する圧力がかかるでしょうが、人民元切り下げといった大きな動きはないまま、うやむやに終わってしまう、ということが予想されます。こういったドルにとっていいことずくめの事態になったとき、ドルは斜行三角形を上抜けて上昇する可能性があります。
グリーンスパン米FRB議長のシナリオ:金融政策+財政政策=ドル上昇の可能性
【米国の金融政策】
米国の政策金利であるFFレートはこの数年下がり続け、2001年1月の6.50%からの連続的な利下げで2003年6月には1.00%まで下がりましたが、昨年6月からは0.25%ずつ利上げをして2.25%まで上昇し、今年8回のFOMCでの利上げで「中立的な水準」といわれる4%あたりまで上昇していくとの見方が一般的になっています。
なぜかといいますと、グリーンスパンFRB(連邦準備制度理事会)議長は、議長任期は2008年6月までなのですが、理事としての任期が来年1月で終わります。彼も来年は80歳ですから、理事の任期終了のタイミングで議長も辞めたいと周囲には洩らしているようです。自分が辞める前に、後任に不適切なレートで渡すのではなくて、ちゃんとした中立的な水準に戻してからバトンを渡したいと。そのような背景があるのではないかといわれています。
【米国の財政政策】
昨年11月グリーンスパンは「米国は経常赤字を埋めるために国外資金を呼び込む必要があるが、経常赤字の規模を考慮すれば、ドル投資意欲がいずれ減退するのは避けられない」と「双子の赤字」に対する警告を発しました。自分たちがいくら金融政策面で金利を上げても、財政の方で赤字が膨らんでいる。いいかげん赤字を止めないと海外投資家がアメリカを見放しますよと、ブッシュ政権に“苦言”を呈したわけです。
しかしながら、アメリカが金利を上げれば世界中がお金を貸してくれると、アメリカがちゃんとしていればドルの暴落はなんとか防げるだろうと本音では考えているはずです。そういった自信が裏にあるからこそ、ああいった発言ができます。
第2期ブッシュ政権では、グリーンスパン米FRB議長の警告を受けて、財政赤字の削減に取り組む姿勢を見せ始めています。
ただ、繰り返しになりますが財政政策の一番のリスクは、イラク問題です。国防支出を減らしたいと思っているけれど、減らせるか減らせないかは今後判明していくでしょう。

元切り上げ観測は希薄
ドルへの大きな影響ということでは、皆さんも気にかけているでしょう中国人民元の動向についてお話ししましょう。2003年、2004年のアメリカの貿易赤字の約4分の1は、対中赤字です。ですから、1994年以来の「1ドル8.27元」という数字を、たとえば4元とか、過去のレベルに戻せば赤字が減るのではないかということが、2003年のドバイG-7以来の人民元切り上げ圧力の背景です。
しかし中国には中国の事情があります。まず2006年には赤字になるという可能性。なぜかといいますと2001年にWTOに加盟したとき、2006年までに「輸入関税の大幅引き下げ」「直接輸入制限の撤廃」「外貨の市場参入認可」という公約をしました。
また中国というのは、海岸沿いの都市部はたしかに経済化が進んでいますが、内陸部は産業化が立ち後れ、失業者の問題が深刻です。一気に人民元の切り上げですとか、変動相場制への移行というのは今のバブルが崩壊してしまうかもしれません。2008年には北京オリンピックというものがありますから、「他国からの圧力に屈して人民元のドル・ペッグ(連動制)を変更しない」という温家宝首相の言葉通りにのらりくらりと、少なくとも大幅な切り上げないまま現状を維持していくと私は思います。
まとめ:名実共にドル高トレンドか
今日の話をまとめてみますと、2005年のドル買いの要因としては次のようなことが挙げられます。
- 米国のドル高政策 : 財政赤字削減
- 金利差拡大 : アメリカは中立的水準(4.0%)へ上昇
イギリス:4.75% ユーロ:2.0% 日本:ゼロ金利継続 - ファンダメンタルズ : 米国の経済成長率 VS 日欧の低迷
- 本国投資法 : 約1000億ドル〜1500億ドルの買い(税率35.0%→5.25%)
- 円売り介入 : 47兆円 100円割れなどのドル下落局面
- 日本株が下落した場合 : ドル建て日経平均100ドル割れ→海外投資家(2年間で約20兆円の日本株投資)の売り
反対にドル売り要因としては、以下のようなことが考えられます。
- 財政赤字→経常赤字 減税恒久化 VS 歳出抑制、税収増
- 中東&極東の地政学的リスク:極東 円安要因?
不透明要因:原油価格堅調推移 中国人民元切り下げ観測 中東情勢
とりあえず今のままドルが下がっていくとすれば、入口のところで95円、差し込んで67円。そして年末にかけて上がっていくでしょうというのが私のシナリオです。なぜかといえば、アメリカは金利が高くなりますしファンダメンタルズが良くなる。
下がったまま奈落の底に落ちるということがあるとすれば、それはイランやイラク、パレスチナといった中東地域がおかしくなった時。ドルも株も債券も下がる、トリプル安になるところまで行くかもしれません。しかしそこまで来たなら、過去にやった「下げて、止めて、上げる」の「止める」状況です。
米国はトリプル安、インフレ懸念を防ぐため伝家の宝刀である「ドル買い介入」を発動する可能性があり、本邦通貨当局も今は遠慮している47兆円という円売り介入枠が、正々堂々と使えるでしょう。
ですから差し込んでも二桁の数字というのはあまり長続きせず、2006年、2008年というドル高のサイクルを目指してゆるやかに上がっていくのではないか。そう私は予測しています。そしてそれが120円というところまで来て、一番最初に申し上げました1ドル360円時代からのドルの大きな長期金利下落トレンドを上抜ければ、円・ドル相場は戦後初めて名実共にドル高トレンドに入るといえると思います。(談)
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