MONEYKitトップ > from MONEYKit > セミナーレポート > ソニーバンク外貨預金セミナー 相場観を身につけよう
「強いドル」に本腰を入れ始めた米国
大統領選の翌年は変動幅が好転
ドル円相場の中期的な見方に話題を変えましょう。次のチャートを見てください。先ほどお話したヘッド&ショルダーの見方ですと、ネックラインを115円で下抜けましたので、目標値は約95円。また一番最初に説明しました一目均衡表では、101.25円を下抜ければ、約67円という目標値が見えてきます。

今年は大統領選挙の翌年にあたるわけですが、大統領選挙の年は変動相場制になって以降昨年を除き8回あります。この平均変動幅が12.88%、実は相場が一番動かない年です。なぜかといえば、次の大統領が誰になるか分からないので動きようがない。ですから2004年の変動幅もあまり動かないでしょうと、2003年の始値に12.88%を掛けた13.82円が変動幅予測しました。蓋を開けると史上最小幅の13.07円を記録して、我ながらうまく当たりました。
今回は、大統領選挙の翌年はどうなるかを調べました。これも8回ありますから、平均幅を求めますと20.25%。昨年と同じように今年の始値にこれを掛けますと、20.76円。選挙のあった前年と比べると1.7倍動いています。荒唐無稽だという方もいるでしょうが、過去のパターンから見れば、ドル・円は20円から22円が今年の変動幅になるかもしれません。
この予測がどのように役立つかといいますと、今年ドル円の安値が95円だったとして、何らかの要因でドルが上がり始めたとします。そうしますと、プラス20円で115円という高値の予測が生まれます。安値が90円なら、高値が110円、安値が101.67円ならば、高値は120円付近となります。
カギは米国のドル政策、金融政策、財政政策、本国投資法
では2005年の中期的な予想をお話しします。第一に先ほども触れましたが地政学的リスクが最も重要なポイントです。イラクの選挙後の先行きがおかしなことになれば、ドルの下落が加速します。地政学的リスクが継続するということは、米国の財政赤字が拡大していくことになりますので、ドル下落に拍車がかかることになります。
このシナリオでは、95円という目標値が現実味を帯びてきます。
アメリカの為替政策で今年になって顕著になったのは、スノー米財務長官が昨年までのように市場原理主義(ドルの価値決定を市場に任す)とはいわなくなり、「強いドル」を目指すため、財政赤字を削減するということを強調しはじめたことです。ブッシュ米大統領も財政赤字を削減することを表明しており、「双子の赤字」を材料としたドル売り要因がなくなる可能性が出てきています。
しかしながら中東情勢がおかしくなると、軍事費拡大で財政赤字は拡大していくことになり、ドルの下げトレンドが止まらなくなるかもしれず、インフレ・リスク懸念が高まります。
金融政策では、グリーンスパン米FRB議長は、FFレート(フェデラルファンドレート。米国の銀行間取引に適用される短期金利で、日本の無担保コール翌日物金利に相当)を中立的な金利水準といわれている4.0%ぐらいまで引き上げていくと見られています。日本の政策金利水準は0.1%、ユーロ圏は2.0%ですから、金利が魅力的ということでドル買いの要因になります。
ブッシュ第2期政権は、年金改革を最重要課題に掲げており、その移行費用は10年間で約1〜2兆ドルかかると試算されています。
米国にはお金が無いわけですから、海外からの借金に頼らざるを得ませんが、海外からお金を借りるためには、金利を高くし(高金利政策)、ドルが下げるような政策は取れない(ドル高政策)ことになります。
またそれと、「本国投資法」という法律を、昨年10月にブッシュ大統領が承認しました。これは米国外で得た利益を米国に送金する際に、これまで35%だった税率を5.25%に減率するというものです。アメリカのグローバル企業は、世界中で儲けたお金をそれぞれの国に置いて、現地の設備投資などに使っています。そういったお金は、世界中で約5千億ドル規模あるといわれていますが、それを本国に戻して設備投資に使ってくださいという法律です。
ユーロが昨年末から今年にかけて下がった理由は、この法律ができてユーロをアメリカ企業が売った可能性があるのです。5千億ドルの8割がドル建てで、ドル買いに入るのは約1千億ドル程度ですが、そのうちの4割がユーロ建てです。残念ながら円は3%程度ですが、ユーロ売り・ドル買いが起こればドル・円でもドル買いになります。この1年にかけて、ドルがどすんと落ちたところでは、アメリカの多国籍企業が資金を本国に送金しようと大きなドル買いに入ってくることも予想できます。

- 円・ドル相場の長期トレンドを俯瞰する
- 長期サイクルからドル・円相場を探る
- 「強いドル」に本腰を入れ始めた米国
- 下げは一時的。ゆるやかな上昇を予測

