MONEYKitトップ > from MONEYKit > スペシャルインタビュー > メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇
ゆとりがなくても、できることはある
トレンディを発行している日経ホーム出版社さんは、もちろん金融は得意分野ですし、専門のマネー誌があります。この時期に、他でもないトレンディでマネー特集をやった背景は何でしょう。
いまの時代、マネー特集をやるというのは『日経トレンディ』としての責務なんです。景気の先行きとか、ペイオフがどうということでなく、直接的な理由はそれに尽きます。
というのも実は昨年、同僚が新雑誌の創刊準備で30代前後の主婦層を対象にグループインタビューをやったんですよ。その彼が「びっくりしたよ」と。「何?」って言ったら「雑誌読まないんだよ」と。今の主婦は、雑誌の500円、600円を出すのももったいなくて、買わないというんです。彼女たちは電車の中でもケータイやゲームを離さないいまの若者とは違い、雑誌媒体に親しんでいた世代のはず。そんな人々が雑誌を買うことができないなら、家計の中から500円、600円をぜひ作っていただかないと困る。そのための指南を、トレンディがする必要があるということです。
特集の内容を「支出を抑える」と「投資で増やす」の2つにシンプルに分けたのも、そのためです。500円で汲々としているのなら、まずは支出を減らすことからですよね。だってお昼ご飯1回抜いたら、500円くらいは浮くわけです。100万円を定期で預ける前に、まずは住宅ローンとか生命保険とか税金とか、支出をとことん見直しましょうと。
それができたら次は、資産を増やしましょう。資産にゆとりがなくても、専門知識がなくても、できることがあります。「これが最後だと思って510円だけ払ってください、すぐ元はとれますから」と、そんな考え方で作ったわけです。
読者がいるのはマネー誌と節約雑誌の間
これまでのマネー特集とは、何か大きな違いはありますか。
これはあえてやったのですが、内容を“キホンのキ”だけで通しました。ですからプロの方やマネーに対する意識の高い方が読めば、新鮮な内容は見あたらなかったかもしれません。どこよりも早い新情報や、誰も知らなかった裏技が載っているわけじゃないんです。
ところが生活を切り詰めて切り詰めて、必死に家計を守ろうとしているような人たちは、マネー誌は読んでいないんです。理由は2つ。ひとつはマネー誌や単行本にお金を払えない。もうひとつは、マネー誌というのはある程度は運用資産がある、意識の高い人のために作っておられる雑誌が多いので、自分のものだと思っていない。かといってあまりに内容が平易な、節約の知恵みたいな雑誌を買うには意識がもう少し高いんですよ。実はそこがエアポケットだってことに気がついたんです。
読者からの反響はいかかでしたか。
予想以上に売れました。正月明けというのは旅行だ買い物だとお金を使った後ですから、一般的には部数は伸びないんです。それが売れたところをみると、やはりエアポケットに大きなニーズがあったと思っています。それとまだ集計の途中ですが、女性読者がいつもよりも目立っています。うちは男性の読者比率が高いので、実はタイトルに「家計」という言葉をいれるのは迷ったんですが、マネープランを真剣に考えているのはやはりその層だろうということで、思い切って「家計で勝つ!マネー術」としました。

編集長は“キホンのキ”だとおっしゃいましたが、さまざまなメディアでお金の特集が氾濫している今だからこそ、各商品のメリットデメリットを横並びで、基礎から分かりやすく教えてくれる記事が求められているようです。
僕たちは不安を煽って脅すわけでも、調子のいいことをいって「お得な投資商品」を薦めるわけでもありません。読者と業界の間に立って、この差額をどうすればいいかをごく一般のサラリーマンの家庭でできることを紹介しました。
収入の右肩上がりの時代はもう終わっているわけですから、どう考えてもこれからは大変な時代です。巻頭ページでも紹介した通り、標準的な夫婦が平均寿命まで生きるとして、定年後に必要な資金は7200万円。それに対して現在35歳の会社員が定年後に受給する年金は3700万円。60歳の定年時点で、差額の3500万円の貯蓄がなくては家計は破綻してしまう。医療が発達し、しかしながら老後の公的保障が手厚いとは言い切れない日本では、悲しいことに「生きながらえる」ことがリスクなんです。
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(1)
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(2)
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(3)
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(4)

