MONEYKitトップ > from MONEYKit > スペシャルインタビュー > メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇

メディアに訊く」第2回は、今年1月から『日経トレンディ』の編集長に就任された北村森さんにお話をうかがいます。新編集長の第1弾となった2月号の特集は「マネー術」。
80年代後半以降の日本人の消費スタイルに、大きな指針を与え続けてきた同誌がいま考えるお金とのつきあいかたや、トレンディ流のものを見る目の養いかたなどをうかがいました。
「本当のところはどうか」を追い続ける
毎月『日経トレンディ』には大小5つほどの特集がありますが、今回ほどのボリュームでマネー特集を組んだのは久しぶりですね。トレンディといえば、どちらかというとソフトよりハード。“貯めて増やす”より、賢く“使う”ための雑誌というイメージがあったので、関心と驚きをもって読みました。
『日経トレンディ』は、パソコンや携帯電話などデジタル系の「モノ比較」の雑誌と思われがちですが、実はさにあらず。作り手の目指すところは、家電製品であろうと金融サービスであろうと、「本当のところどうなのか」というところをつまびらかにする雑誌です。
いろいろ雑誌を見ていると、僕は本当にもどかしいんです。たとえば自動車雑誌に「乗り心地が素晴らしい」と書いてあったら「加速はだめなのかな」とか、グルメ雑誌が「雰囲気が最高」と評価していたら「食事はたいしたことないのか」とか。どうも記事の行間を読まないと真実が見えてこない。そうではなくて、製品やサービスを公平にテストして、お話もちゃんと聞いて、いい・悪いをきちっと書くということが重要なはずです。クレジットカードのいい・悪いもはっきり書くし、ホテルも同じ条件で泊まって点数をつける。そして当然、金融商品にもいい・悪いがあるはずです。トレンディはとにかくそれをやっていくということを旨としています。

“モノには一長一短がある”は逃げ口上
しかし、どんな商品やサービスにも、いいところも悪いところもあるはずです。「消費者側ニーズの多様化」という、いささか漠然とした言いかたもされますが。
一長一短あるというのは、逃げ口上です。「Aもいいけれども、Bも別のよさがある」なんて書く記者でも、じゃああなた自身はどっちを買うのって尋ねれば、たいがい答えはあるんです。商品を語るときには、その商品を見るうえで何が重要なことなのかを、はっきりさせるべきなんですよ。そうすれば、よしあしが横並びで浮かび上がります。
最近の例では、携帯電話の企画。ケータイって、ポイントがいっぱいあります。液晶の美しさ、操作性、カメラ機能…だけど、それぞれの特徴を書き並べても、消費者は迷うだけです。私たちは、そういった機能のすべてを使いよくしてくれるのは“カタチ”なんだと、モノの見方を決めました。一度決めた見方に沿って各機種を見ていけば、理にかなったカタチはどれかという序列が明らかに出ます。その“見方”って何かといいますと、第一に、こうなってほしいのになんでこうなってないか。第二に、トップクラスの商品がこうなっているのになぜ他商品はそうなってないのか。それはもう明らかなんです。

ほめて育てるわけじゃないんですね。ゴールで待っているから、そこまで来いと。
業界の仲間や他誌の編集長にも、「北村、お前厳しいな」ってよくいわれます。でも、僕たちはなけなしの4万円でデジタルカメラを買ったり、なけなしの3万円で携帯電話を買います。読者は失敗したくないんですよ。ある商品を見るときに、商品の魅力の方を読者に伝えようとする、そういう雑誌もあっていいです。でも、トレンディはまず「消費者がいま何を求めるか」がまずあって、僕たちの視座で商品を見る。そういう姿勢で作ってきましたし、そのハッキリした姿勢に対する読者からの信頼が、17年間この雑誌を支えてきたと思うんです。
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(1)
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(2)
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(3)
- メディアに訊く 日経トレンディ編集長 北村氏篇(4)

