MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > フィスコ為替市場レポート 2005年3月までの見通し
米ドル・円相場の現状分析と今後の見通し(2004年12月3日作成)
「米国の構造問題背景のドル先安観対本邦通貨当局の攻防」
期間予想レンジ:95円00銭〜108円00銭
<ファンダメンタルズからみた為替相場>
ドル・円相場の2005年3月までの動向を考えた場合は、今やメインテーマとなっている米国の経常・財政赤字拡大や地政学的リスクなど構造問題を背景にしたドル先安観からのドル売りと、デフレ脱却のため景気の腰折れを避けたい本邦通貨当局がいずれ再開するであろうドル買い・円売り介入との攻防が大きな焦点となる。
米国の経常・財政赤字問題は、9月にイエレン米サンフランシスコ連銀総裁が「ドルが現在の水準に止まれば、貿易赤字は長期的に拡大する」と述べて以降、10月にバーナンキFRB理事が「ドル相場の下落は経常赤字の縮小のために有利」「米経常赤字の解決策の一部として、ドルの価値や金利の変化が必要となるだろう」、ファガーソン米FRB副議長が「輸入制限による経常赤字の調整は限定的」と続き、11月にもグリーンスパン米FRB議長が「米国の経常赤字の規模からみてドル資産への投資意欲の減退がいずれ起こる」と述べ、米FRBに啓蒙されるような感じで相場のメインテーマに浮上した。スノー米財務長官も「米経常赤字は貿易相手国と責任を共有している」と述べている。
経常・財政赤字問題は米国の長年の課題であり、解決に時間がかかる問題である。ブッシュ米大統領の言う「一般教書演説や予算教書で赤字削減への戦略を示したい」としても、2005年の1月下旬〜2月初旬頃までかかり、テーマとして長引く可能性を覚悟しなければならない。米国の赤字削減への意気込みはついては、第2期ブッシュ政権の経済チームの顔ぶれによっても測ることができよう。なお、来年1月(多分下旬頃)にはG7財務相・中銀総裁会議の開催も予定されており、メインテーマに深く関係するイベントがこの時期に集中することになる。
米国の構造問題に関連して、引き続き中国人民元改革の成り行きが注目される。ブッシュ米大統領と胡錦濤中国国家主席のトップ会談や、スノー米財務長官を先頭に米財務省を通して中国にはプレッシャーがかけられ続けており、中国が改革に向けて動いていることは確かなようだ。米中首脳会談で胡主席は「人民元制度の改革を推進している」と従来より前向きに対処する姿勢を示しているが、温家宝中国首相は「現況では新しい政策を打ち出すのは困難」とし、「現在のように周囲が騒げば騒ぐほど、新たな政策を打ち出すことが不可能になる」と述べている。李中国人民銀行副総裁も温首相と同じような発言をしていたのをみれば、その言葉が面子にこだわる中国の本音に近いと思われる。となれば、改革はまだ先の話か。いずれにせよ人民元問題がくすぶるうちは、円を含むアジア通貨全体でドル安圧力が続くことになる。
小泉政権下での本邦通貨当局による円売り介入の動向をみれば、政権発足の2001年4月以降も円売り介入を継続しており、その規模は2001年3.2兆円、2002年4兆円、2003年20.2兆円、2004年14.8兆円と、年々大きくなっている。2001年は117円台から119円台への押し上げ、2002年は124円台から118円台に後退しながらの介入となり、2003年は覆面介入に変わり一時121円台まで上昇していたが、9月ドバイG7の為替相場に柔軟性を求める声明が日本の為替介入批判と受け取られ、115円割れとなった。2004年は、3月16日まで集中的に14.8兆円もの円売り介入が実施され、105円ライン維持。介入停止後103円台に下落したが、需給的効果により、5月に114円台まで上昇、その後秋口にかけて107円〜112円レンジの相場安定に成功した。だが、米大統領選以降ドル安進行による年内最安値更新、100円ライン接近という事態に至り、今後の動向が注目される状況になっている。
- はじめに
- 米ドル・円相場の現状分析と今後の見通し(1)
- 米ドル・円相場の現状分析と今後の見通し(2)
- 米ドル・円相場の現状分析と今後の見通し(3)
- ユーロ・円相場の現状分析と今後の見通し(1)
- ユーロ・円相場の現状分析と今後の見通し(2)
- 英ポンド・円相場の現状分析と今後の見通し
- 豪ドル・円相場の現状分析と今後の見通し
- NZドル・円相場の現状分析と今後の見通し
- カナダドル・円相場の現状分析と今後の見通し
- ※なお、以上のレポートのなかでは、米ドルをドル、英ポンドをポンドと表記しています。

