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セミナーレポート
ソニーバンク投資信託セミナー:2008年5月7日「地球温暖化を防いで、投資機会を得よう!」/ソニー銀行の環境活動への取り組み/第1部:地球温暖化とビジネス/第2部:地球温暖化対策株式ファンド(愛称:青い地球)のご紹介

  • 必ずお読みください 個別ファンドの重要事項
  • 必ずお読みください 投資信託の重要事項

第1部:地球温暖化とビジネス

末吉竹二郎氏

講師:国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問
末吉竹二郎氏

環境を前提にした政治・経済の活発な動き

世界中でいま、環境を前提にした政治や経済の動きが活発化しています。本日(2008年5月7日)も、来日中の胡錦涛・中国国家主席と福田康夫首相が会談し、日本が提唱する「2050年までに世界の温暖化ガス排出を50%削減する」という長期目標に対して“留意する”と表明しました。2012年に期限が切れる京都議定書後の次期枠組み「ポスト京都議定書」交渉にも積極的に参加することで合意し、産業・分野別に温暖化ガス削減を進める日本の「セクター別アプローチ」に対しても“重要な手段”として理解を示したそうです。

慎重な姿勢を崩さなかった中国の態度が変わったのは、地球環境が急速に悪化しているためで、これまでと同じように経済の二桁成長を維持するには、各国と歩調を合わせて環境問題を解決しなければならなくなったからです。
地球温暖化というと、日本では気象現象が議論の中心になりがちですが、世界では温暖化の問題は政治問題、あるいはビジネスとして考えられています。その一例が米国の大統領予備選挙です。共和党のジョン・マケイン、民主党のバラック・オバマ、ヒラリー・クリントンの3名とも厳しい温暖化対策を公約に掲げています。ほかにも環境規制を踏まえた企業の対応、そして消費者の意識など、あらゆるところで温暖化を前提とした社会変化が起きはじめています。先ずはそのような変化についてお話したいと思います。

温暖化の進展によって「CO2本位制」の時代到来

地球温暖化の実情は非常に深刻です。例えば、北極の氷が2007年9月に歴史上最も小さくなりました。太陽の光を反射し、海水温度の上昇を抑えていた北極の氷がどんどん小さくなるということは、地球の気候変動がさらに進んでいくことを意味しています。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の調査報告書でも、地球環境の危機的状況について触れられています。IPCCが1990年に発表した最初の報告では、「温暖化がはじまっているかどうかは定かではない」という表現に留まっていたものの、2007年の第4次報告書では「温暖化はすでにはじまっており、世界のほとんどの地域で被害が出はじめている。原因は自然現象ではなく、人間が引き起こしたものだ」と断言し、温暖化の可能性を「very likely」と表現しました。「very likely」とは90%以上の確率ということです。さらに「このまま温暖化が進展すれば、最大6.4℃の温度上昇が起こり、地球社会すべてに危機的な状況をもたらすだろう」という警告も発しています。
地球には本来、自分自身でCO2を吸収する能力が備わっています。その吸収力は31億炭素トン。ところが、我々がいま排出しているCO2は72億炭素トンです。実に地球の吸収力の倍以上もあります。地球の持つ吸収力以内にCO2排出量を抑えなければなりません。
こうした状況を私は、金本位制ならぬ「CO2本位制」と言い換えています。「金本位制」のもとでは、金の保有高の増減が経済活動に大きな影響を与えていましたが、これからはCO2本位制のもとで、CO2排出量の抑制が我々の経済活動の大きさを決めていくからです。
とはいえ、簡単にはCO2の排出量を抑えることはできません。人口増加という大きな問題を抱えているからです。世界では毎年、途上国を中心に8,000万〜9,000万人の人口が増え、2050年には90億人を超えると予想されています。途上国の人たちが先進国の人と同じような生活水準を望んだ場合、人口の増加以上にCO2排出量が増えていく恐れもあります。

2℃ラインの死守がEUの基本姿勢

こうした難問を解決するため、1997年に京都で採択されたのが「京都議定書」です。CO2などの温室効果ガスの削減を目的にした人類初の国際条約で、各国に法的拘束力のある削減目標を義務付けました。日本の場合は2012年までに6%削減しなければなりません。しかし、日本の温室効果ガス排出量は2007年3月時点で6.4%増加しています。京都議定書の期限までの約5年間で、増加分を減らし、さらに6%削減しなければなりません。温室効果ガスを排出する権利を売買する排出権取引を行うにしても、財務省の試算では1兆2,000億円の負担になります。
一方、世界に目を向けると、温室効果ガスの削減に積極的に取り組んでいるのがEUです。EUは2020年までに20%の削減という自主目標を掲げたほか、2005年1月には「EU域内排出量取引制度(EU ETS)」を創設。EU域内にある約5,000の企業、その配下にある約11,500事業所を対象に、排出権取引のひとつであるキャップ・アンド・トレード方式で取引を行っています。
具体的には、例えばA工場には10万トン、B工場には50万トンという排出上限枠(キャップ)を設け、それを超えた場合は罰金を課すというものです。このキャップは現在、10万トンまでは無償ですが、京都議定書の期限が切れる2013年以降は有償になります。つまり大口排出者となる多くの企業は、排出権を買わなければならなくなるわけです。しかも、排出権取引は入札によって行われるため、排出枠の値が釣り上がることが予想されます。
このような状況を受け、ドイツは2020年までの自主目標を40%削減に設定、また2050年までに英国は80%削減、フランスは75%削減という自主目標を掲げました。欧州では大きな削減目標を定め、温暖化に歯止めをかけようという動きがすでにはじまっています。
州レベルの削減目標が次々に設定されるなど、米国の取り組みも日本より進んでいます。カリフォルニア州では、2050年までに80%削減を目指すロードマップを作成し、そのための法整備を着々と進めています。大統領予備選挙でも環境が重要なテーマとなるなど、米国の政治風景も急速に変わりはじめています。
なぜ欧州では、温暖化に対する厳しい規制が設けられているのか――。それは温暖化に対する強い危機感があるからです。私はよく「2℃ラインの死守」という言葉を使っています。“2℃ライン”とは、温暖化による気温上昇のギリギリの許容範囲のことで、このラインを越えた場合は危機的な状況に陥る可能性が強まります。IPCCによると、1906年〜2005年までの間で世界の平均気温は0.74℃も上昇したそうです。この気温上昇を2℃で抑えようと欧州は考えています。
EU委員会の環境大臣も「地球温暖化対策は戦争と一緒。しかも一過性の戦争ではなく、数世代にも渡る戦争。だから国家総動員でこの問題に対応しなければならない。世界も同じ考えでこの問題に対応して欲しい」と述べています。これが国連加盟国の1割以上に相当する27ヶ国が加盟し、5億の人口を抱え、GDP(国内総生産)も米国を抜くEUの基本姿勢なのです。

 

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