MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート ユーロ金利見通し:2008年5月12日
ECB(欧州中央銀行)の5月8日の定例理事会では、政策金利は引き続き大方の予想通り「据え置き」となりました。結論を一言でいえば、「様子見」です。
今月も、会合後のトリシェECB総裁の会見のハイライトを見ていきましょう。
まず、景気・金融市場については、「ユーロ圏の経済ファンダメンタルズは健全」であり、「失業率は低下」、「指標は、緩やかな成長が継続している事を示す」と景気拡大を示唆する一方で、「市場混乱の不透明性は引き続き高く」、「主要リスクは、市場混乱や保護主義」であるとし、景気下ぶれへの懸念も述べました。
トリシェ総裁の発言にあるように、ユーロ圏の景気そのものは「踊り場」的状況です。GDP(国内総生産)動向と関連が深い企業の景況感は動きが定まりません。景気拡大は続いているものの(この意味で、15日に発表される第1四半期のユーロ圏のGDPに注目です)、トリシェ総裁が「主要リスク」の一つとしているように、金融市場の混乱が景気の下ぶれを招く可能性があるという点は、引き続き懸念事項です。ECBは域内の金融機関に対し、依然として流動性の供給を続けています。その背景には、5月9日に公表されたユーロ圏の貸出調査で、半数近い金融機関が今後貸出基準を引き締める方向と回答し、その比率は前回から上昇したことが挙げられます。みずからの資金繰りに不安が生じている中で企業や個人に積極的に資金を貸し付けようという金融機関は当然少なくなるので、通常であれば正当に融資を受けられるはずの企業や個人までもがそれを受けられなくなるケースが今後発生する可能性があります。
一方、前回から変わった点として、インフレ動向を挙げなければなりません。「高水準のインフレは長期化する見込み」であり、「価格期待の抑制は最優先」とトリシェ総裁は述べています。原油価格は連日で最高値を更新、食料品も値上がりしています。米FRB(連邦準備理事会)や日銀とやや異なり、<全体としての物価上昇率>を抑制することを目標とするECBにとっては、これらの動きは警戒を要するものです。
結論として、ECBは「価格安定のために必要な政策を実施」する準備があり、「現在の金利はECBの目的達成を支援」・「現在の政策はインフレ抑制」を目指すものであるとし、「(インフレに対する)警戒」を示す一方で、景気下ぶれ懸念に対しても、「ECBは全ての展開を綿密に監視」していく必要があり、総合的に判断すると、「金利据え置き以外の提案」は無く、「本日の政策金利維持は全員一致の決定」であったということです。
インフレ水準は高い半面、金融機関への流動性供給と矛盾する金融引き締め策はとりえない、ということになるわけです。この、金融政策をどちらにも動かしがたい状況がどちらの方向で解決するかについて、市場の意見はやや分かれてきました。金融市場の緊張が(ゆくゆくは)景気を押し下げることを重視する人は依然多いようですが、米国発の金融不安が収まればECBは引き締めに転じる可能性もあると主張する人も出ています。ただ、どちらの見方でも「当面は様子見」という意見が支配的です。
| 5月12日時点 | 1ヶ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 4.00% | 4.00% |
| 2年国債利回り | 3.70% | 3.50〜3.90% |
| 10年国債利回り | 4.00% | 3.75〜4.20% |
株式会社フィスコ
田浦哲哉
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レポート提供:株式会社フィスコ
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