MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート ユーロ金利見通し:2008年4月14日
ECB(欧州中央銀行)の4月10日の定例理事会では、政策金利は引き続き大方の予想通り「据え置き」となりました。
本レポートの1月分で、「ECBは、当面は政策金利を据え置きますが、いずれ緩和方向へ舵を切る余地が生まれるのではないかと考えています」と書きました。いまでもECBの「次の一手」は利下げと見ています。相当遅い雪解けとなりそうですが、米景気の大幅加速や金融市場の安定が早期に見えてこない限り、ECBはこのシナリオで臨みたいと考えています。
例によって、会合後のトリシェECB総裁の会見を見ていきましょう。
「ユーロ圏の経済ファンダメンタルズは健全」であり、「現在のECB政策金利はインフレ抑制」に貢献しているというのが総括のコメントです。これは直近の実体経済の指標がやや上ぶれていることを受けての発言でしょう。また、二番目の発言は、「現在の」政策でも良い、という風にもとれます。タカ派色の強いメンバーにあっても、金融市場の混乱が及ぼす悪影響は見過ごせなかった、ということでしょう。更には、金融機関への大規模な流動性供給と矛盾しかねない金利引き上げはやはり今回も選択肢ではなかったようです。
次に、「中期的な物価安定を維持することがわれわれの主要目的であると強調」しました。物価の安定と雇用の拡大が二大政策目標であるFRB(米連邦準備理事会)と異なり、ECBの主たる使命は「物価安定」である、ということがこの発言の背景にあるのでしょう。
しかし、注目すべきは、若干ですが、以下の点に変化が見られたことです。すなわち、「金融市場の混乱による不透明性は引き続き著しく高く、緊張は当初の予想よりも長引く可能性」があり、また、「金融市場の混乱が実体経済に及ぼす影響は、現時点の予想よりも拡大するおそれ」があると述べたのです。特に二番目の発言は、景気の下ぶれ、ひいてはインフレの下ぶれリスクが出てきた、ということを示唆しています。
ただそうはいっても、ECBのインフレ目標が「2%を下回る水準」であることを考えると、3月のユーロ圏の消費者物価インフレは前年比+3.5%とまだかなり高いことにも注意しなければなりません。また、「エネルギー・食品価格高が賃金や価格決定行動に及ぼす二次的影響」や、賃金とインフレがお互いに悪影響を及ぼしあってゆく「賃金・インフレスパイラル」を懸念しています。まだ労働組合の力が強いユーロ圏ならではの懸念です。
以上のように見てくると、ECBは「利上げ休止」から「中立」へと立場をシフトしたままですが、冒頭で述べた金融市場の混乱が続いて実体経済に悪影響が出てきた場合には、ゆっくりと「緩和」方向へと移ってゆくのだろうと思われます。
また、為替について、トリシェECB総裁は、「最近の過剰な為替変動を懸念」しており、「対ポンドでのユーロ高は歓迎できない」と述べました。この発言はようやくG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)声明にも反映されました。今後のG7の協調行動の有無に注目したいところです。
| 4月14日時点 | 1ヶ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 4.00% | 3.75〜4.00% |
| 2年国債利回り | 3.41% | 3.10〜3.50% |
| 10年国債利回り | 3.91% | 3.60〜4.00% |
株式会社フィスコ
田浦哲哉
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