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金利レポート
フィスコ金利レポート 円金利見通し:2008年4月9日

「白川新総裁」

混迷した日銀総裁人事は、政府が白川方明副総裁を総裁に昇格させる人事案を国会に提出し、民主党も賛成の意向を示したことで、空席となっていた日銀総裁がやっと決まりました。また、4月9日開催の金融政策決定会合では、全員一致で無担保コール翌日物レートの誘導目標値の現状維持(0.5%)を決定しました。

新日銀法第23条に「総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」とあるように国会同意人事となっています。現在、衆議院は与党が過半数を占めているものの、参議院は野党が過半数を占める「ねじれ」状態となっていることで、衆議院の同意を得ても、参議院での不同意によって内閣が任命することはできず、日銀総裁不在の空白期間が生じるという最悪の事態が発生してしまったのです。

白川氏はどちらかと言えば参謀的なタイプといった見方もあり、今後白川新総裁が日銀内部でのリーダーシップを発揮するためには、理論面や実務面とともに、政府との調整能力も求められます。日銀生え抜きである白川新総裁は、福井前総裁同様に金融政策における正常化路線を継承してくるとみられ、日本の景気減速局面で政府からの金融緩和圧力に対し摩擦を生じる可能性もあります。いずれにしても白川新体制は多難の船出となりそうです。

日本経済ですが、3月12日に発表された10〜12月期GDP(国内総生産)2次速報では前年比+3.5%と、市場予想は大きく上回りました。また、3月31日に発表された2月の鉱工業生産速報値は前月比−1.2%低下となり、2ヶ月連続で低下したものの、市場予想ほど悪い数値ではありませんでした。しかし、法人企業景気予測調査は1〜3月期の大企業全産業の景況判断指数は−9.3となり、2007年10〜12月期の+0.5から大幅に悪化しました。
注目された3月調査の日銀短観でも、大企業製造業DIは+11となり、前回2007年12月調査に比べ、8ポイントの低下で、景況感はさらに悪化しました。米サブプライムローン(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)問題を発端とする金融市場の混乱や米経済の先行き懸念、それに伴う株安や円高ドル安の進行、原油価格の上昇などによる原材料高などによって大幅悪化したものとみられます。

景気は先行きへの不透明感を強めるとともに、物価がじりじりと上昇圧力を強めており、これによる消費への影響も懸念されています。2月の全国の消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)は1%台(前年同月比+1.0%)となり、市場予想の+0.9%も上回りました。これにより、全国コアCPIは5ヶ月連続前年比プラスとなりました。

3月7日の前回会合からの債券相場の状況を見てみると、3月は国債大量償還などを控え、投資家の買い需要の強さも債券相場を押し上げ(金利は低下)、5年債利回りは0.75%を割り込み、一時約2年3ヶ月ぶりの水準をつけました。13日には円高等を受け、日経平均はザラ場(寄付きと引けの間の時間)で昨年来安値を更新し、債券先物は中心限月としては2005年7月29日以来の140円台乗せとなったのです。債券先物は10日に中心限月が6月限に移行しましたが、3月限よりも6月限の価格が上回るなど、これまでにない動きとなっていました。現物10年290回は、2005年7月以来の1.3%割れになりました。
世界的なリスク回避の動きが強まったことで、日本の債券市場でも格付の低い銘柄主体に一般債は売られ、T−Lスプレッド(国債金利 とスワップ金利の格差)も拡大しました。しかし、海外投資家の売りなどから超長期はむしろさらに売りこまれ(金利は上昇し)ました。日本の債券市場でもリスクを落とす動きが強まり、それが超長期国債や物価連動国債、15年変動利付国債などへの売りにつながったのです。16〜22日の対外及び対内証券売買契約等の状況を見ると、対内債券投資は報告機関ベースで2兆3467億円の資本流出超と過去最大となりました。
銀行や証券会社などは決算期末を控えているため動きづらく、債券先物は海外市場の動向などを受けて一時141円台をつける場面もありました。その後、戻り売りから大きく反落するなど、参加者も限られた中、値動きの荒い展開となりました。

最後に今後の債券相場の見通しについて見てみましょう。引き続き、米金融機関の損失拡大懸念は強いため、米大手金融機関の1〜3月期決算発表が集中する4月中旬には注意が必要です。4月29日から30日にかけて開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)では追加利下げが実施される可能性がありますが、日銀は当面、現状維持を選択してくると予想されます。しかし、日本の足元景気についてもやや不透明感が強まっており、4月下旬から発表される企業決算の内容や今後発表される経済指標動向によっては、日銀による利下げ観測も強まってくる可能性もあります。この意味でも展望レポートの発表される次回4月30日の日銀金融政策決定会合への注目度も高まっています。
債券の需給面では、新年度入りしての大手銀行の動向が注目されます。4月に入り益出しなどの売りが入りましたが、日銀による利下げ観測などが強まる可能性もあり、そういった売りも限定的となりそうです。当面は、期初の買いへの期待もあることで、中長期債主体に底堅い動きを予想しています。

過去一年間の日銀金融政策の推移

2007年4月27日現状維持、全員一致
2007年5月17日現状維持、全員一致
2007年6月15日現状維持、全員一致
2007年7月12日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年8月23日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年9月19日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年10月11日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年10月31日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年11月13日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年12月20日現状維持、全員一致
2008年1月22日現状維持、全員一致
2008年2月15日現状維持、全員一致
2008年3月6日現状維持、全員一致
2008年4月9日現状維持、全員一致

予想レンジ

 4月9日現在4月30日まで
無担保コール翌日物0.5%0.5%
基準貸出金利0.75%0.75%
2年国債利回り0.585%0.50%〜0.65%
5年国債利回り0.815%0.75%〜0.85%
10年国債利回り1.335%1.30%〜1.4%

株式会社フィスコ
久保田博幸

※当レポートでは米ドルをドルと表記しています。

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レポート提供:株式会社フィスコ

http://www.fisco.co.jp/

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