MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 円金利見通し:2008年3月7日
「福井総裁最後の金融政策決定会合」
3月6日から7日にかけて開催された、福井総裁としては最後となる日銀金融政策決定会合では、全員一致で現状維持が決定されました。2007年2月21日の決定会合で無担保コールレート翌日物誘導目標値を0.5%に引き上げて以来、現状維持が続いています。
米国のサブプライムローン(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)問題、モノラインと呼ばれる金融保証専門の保険会社に対する問題に端を発しての米金融市場の混乱と、米国経済の先行きの減速懸念はさらに強まっています。
バーナンキFRB(米国連邦準備理事会)議長は、不振が続く住宅市場の現状について「資産価値のマイナスが広範囲にみられる点で、過去とは違う」と述べ、厳しい状況にあるとの認識を示しました。そして、サブプライムローンの借り手の救済を巡り、金融機関に対して住宅ローン元本のカットを含む追加策の検討を求めるなど、FRB議長が具体策に言及するのは異例ともいえる発言を行なっています。
ここにきて、米国で発表される経済指標は景気の悪化を示すものが多くなっています。たとえば2月26日に米国の民間調査会社コンファレンスボードが発表した2月の消費者信頼感指数は75.0となり、2003年3月以来の低水準に落ち込みました。向こう6ヶ月の先行き景況感をみる期待指数は69.3から57.9へと落ち込み、これは湾岸戦争が始まった1991年1月以来の約17年ぶりの低水準です。住宅市場の低迷継続や雇用の減少、さらにガソリンや食品価格の上昇が景況感を悪化させたものとみられました。
3月5日に発表されたベージュブック(米地区連銀経済報告書)でも、2008年はじめから2月下旬にかけて「米経済の成長が減速した」との総括判断を示し、前回報告より景気の減速感をはっきりと認める形となりました。
こういう状況下、日銀の水野審議委員は講演で、日本経済に関して「個人的には、わが国経済は、現在、内憂外患に直面しているため、踊り場的な状況が幾分長引く可能性もある」と指摘しています。
内憂外患の「内」については、「定率減税廃止による可処分所得の減少」、「改正建築基準法や貸金業法の施行を始めとする制度改正の影響」、「原材料価格の上昇によるマイナスの影響」を指摘していますが、2008年には定率減税廃止による影響と制度改正の影響はなくなる、としています。
しかし、「米国経済の減速は巷の想定よりも長引く可能性がある」として、外患による景気下振れリスクは、今後むしろ高まると見込まれる、と水野委員は指摘しています。
日本で発表された経済指標を見てみると、2月28日に発表された1月の鉱工業生産速報値は前月比−2.0%の109.8と市場予想を下回りました。また、3月5日に発表された法人企業統計では2007年10〜12月期の設備投資は7.7%減と企業収益の悪化に伴って3四半期連続のマイナスとなり、2007年10〜12月期のGDP(国内総生産)が二次速報で下方修正が確実な見通しとなっています。
日本の物価に関しては、1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.8%、前年同月比での上昇は4ヶ月連続となります。1月の指数を押し上げたのは、ガソリンや灯油、さらに電気代と都市ガス代、プロパンガスを合わせたエネルギー価格の上昇が大きく影響しています。また、米国の原油先物が史上最高値を更新するなどしており、4月から農水省は輸入小麦の値上げも発表するなど、今後もさらに物価上昇圧力は強まるものとみられます。
一方で、2月29日に発表された1月の「2人以上の世帯の家計調査」では、1世帯あたりの消費支出は、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.61%と2ヶ月連続のプラスとなるなど、個人消費は堅調とみられ、日本経済については総じて足踏み状態といった状況にあります。
こういった外部環境の中にあり、債券相場は、長期金利(10年国債利回り)が1月25日から続いていた1.4%から1.5%のレンジを下に抜けるかたちとなり、2月29日には1.320%と1.3%近くまで利回りが低下しました。
米国の信用収縮への懸念が強まったことで、米国株の下落や、ドル円が102円台をつけるなど、円高圧力も加わり、日経平均が13,000円の大台を割り込むなどしたことで、債券は買い進まれました。
3月の国債大量償還や3月期末を控えての投資家の買い需要の強さも債券相場を押し上げ要因ともなりました。3月4日に入札された10年国債の利率は1.4%と2006年1月以来の水準となったものの、入札そのものも無難な結果となり、投資家の買い需要も強いものとみられました。
現物5年債利回りは0.75%を割り込むなど、約2年3ヶ月ぶりの水準をつけました。海外投資家による長短金利差縮小の解消の動きもあって相対的に超長期ゾーンの金利は下がりにくかったのですが、20年債利回りも昨年11月以来の2%の大台割れとなっています。債券先物も7日に中心限月としては約2年ぶりに139円台に乗せてきました。
米国市場の不安定さや、投資家の需要などが下支えとなり、当面の債券相場は堅調地合が続きそうですが、国債利回りで2年の0.5%や5年の0.75%、10年の1.3%といった水準を大きく割り込むには、あらためて日銀による「利下げ」が意識されないことには難しいともみられます。
現状、日本経済の先行きもやや不透明ながらも米国経済ほど懸念が強まっているわけでもありません。日本におけるサブプライムローン問題の影響は軽微ながらも、東京市場の株価の下げが突出している面も気になりますが、株価対策のための利下げも考えづらいことも確かです。
債券は買い一巡後は次第に上値も重くなり、長期金利は1.4%台に戻すと予想しています。
過去一年間の日銀金融政策の推移
| 2007年4月10日 | 現状維持、全員一致 |
|---|---|
| 2007年4月27日 | 現状維持、全員一致 |
| 2007年5月17日 | 現状維持、全員一致 |
| 2007年6月15日 | 現状維持、全員一致 |
| 2007年7月12日 | 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員) |
| 2007年8月23日 | 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員) |
| 2007年9月19日 | 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員) |
| 2007年10月11日 | 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員) |
| 2007年10月31日 | 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員) |
| 2007年11月13日 | 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員) |
| 2007年12月20日 | 現状維持、全員一致 |
| 2008年1月22日 | 現状維持、全員一致 |
| 2008年2月15日 | 現状維持、全員一致 |
| 2008年3月6日 | 現状維持、全員一致 |
予想レンジ
| 3月7日現在 | 4月9日まで | |
|---|---|---|
| 無担保コール翌日物 | 0.5% | 0.5% |
| 基準貸出金利 | 0.75% | 0.75% |
| 2年国債利回り | 0.520% | 0.450%〜0.60% |
| 5年国債利回り | 0.750% | 0.70%〜0.85% |
| 10年国債利回り | 1.350% | 1.30%〜1.45% |
株式会社フィスコ
久保田博幸
※当レポートでは米ドルをドルと表記しています。
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レポート提供:株式会社フィスコ
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