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第3回 カタール編 3
【The Pearl】〜UDC(United Development Company)〜

The Pearlの完成予想全体図
「The Pearl」は、ドーハの海を埋め立てて居住区を造る数十億ドル(数千億円)規模の不動産メガプロジェクトです。約400万m2敷地を13種類のテーマ別居住区に分け、マンションタイプ、戸建てを併せ、全体で16,000住居・約40,000世帯への販売を目指しており、2004年から始まった工事は2011年までの7年間で全て完成する予定で進められています。テーマ別の居住区には、水の都ベニスを模した地区があったり、敷地の突先には“マンタ”の様な形の島が1島ずつ分譲で9島あったり(ヨットハーバー付きの島一島が分譲ですよ!)。前回のレポートでご紹介した「Downtown Burj Dubai」よりも規模は大きいのではないでしょうか。

上:“The Pearl”の建築中の一画
左下:“The Pearl”の建設中のビル。クネクネしてます。
右下:海岸沿い遠方から“The Pearl”の方向を望む
このプロジェクトを手掛けているのは、「UDC(United Development Company)」。同社は1999年に設立された持株会社で、2003年6月にはドーハ証券市場に上場されています。
UDCは石油・天然ガスの探査に関する免許も持っていて、「The Pearl」のプロジェクトの他に、石油化学プラント建設の「GFC」、土砂運搬プロジェクトの「MEDCO」、効率的なエア・コンディション・システムを整備する「Qatar Cool」などの大型プロジェクトを手掛けているそうです。

“The Pearl” 俯瞰図(2008年3月現在)

販売センター「THE OYSTER」に設置されている“The Pear”の全体模型
海辺に造られた販売センター「THE OYSTER」を訪れると、大きな全体像の模型がドーンと真ん中にあり、前方の全面ガラス張りの窓からは美しい海が見えるという造り。建物に入るとすぐに、アラビックコーヒー(スパイスの効いた独特の香りと味がします)をスタッフの人が振舞ってくれます。コーヒーをいただきながら模型の周りをグルグルと観察していると、バリッとしたスーツを格好良く着こなした素敵なセールスマンがやってきて、いろいろと説明してくれました(余談ですが、ここのセールスマンの皆さんは素敵なかたばかりでした)。
物件は、完成していなくても大枠ができたところで売り出され、内装等は購入者に任せるものなどもあり、既に第1期5,000戸は売り出され完売したとのこと。販売して資金を回収しながら開発を進めているので、UDCとしては負債は少ないのだそうです。
平均的な物件のお値段を聞いてみたところ、175m2/2bed roomで約1億円とのこと。この販売センターでは、直近ではひと月で8,000万ドル(約85億円)を売り上げたそうですが、現在カタールではインフレが10%近い勢いで進行しており、物件の販売単価は上昇中とか。翌週からは販売価格を10%値上げする、と言っていました。力強い経済成長の反面、インフレも進行、なかなか悩ましい状況ですね。
“The Pearl”の物件、どんな人達が購入しているのか聞いてみると、半分がカタール在住の人(カタールの2007年の1人当りのGDPは65,000ドルを超えるとも言われており、裕福な人が多いのでしょうか)で、残りの半分は外国人です。また、購入者の8割方が投資物件としての購入で、自身の住居としての購入は2割とのこと。購入に当っては、カタールの人は購入額の90%、外国人は65%を金融機関(カタール商業銀行、ドーハ・バンク、カタール・ナショナル・バンクなど)から借りることが可能だそうです。
一通りの説明を聞いて販売センターを出る時には、これまたとても素敵な完成図やイメージ写真が掲載された4冊セットのパンフレットをいただきました。とてもとても、買えるものではありませんが、折角なのでドーハの“お土産”として持って帰ってきました(重かったです……)。

The Pearlの完成予想図(カタログより)、こんなイメージで作られています。
ドーハでのスケジュールが予定より早く終わり、少し市街を回る時間がありました。車で走っていたところ、広く見渡せる先に何やら大きな煙突のような塔が目に留まり、ガイドさんに尋ねたところ、「あれは聖火台です。2016年のオリンピックをドーハに誘致するために作りました!」。
「え〜、まだ誘致できるかどうかも分からないのに、聖火台作っちゃったの〜?」
近くまでに行くと、聖火台の下には競技場のドームまであります。なんと気が早いことでしょう。

遠くからでも目に留まる「聖火台」
それにその聖火台、「これどうやって聖火灯するの?」という大きさ(高さ)です。ついつい冗談で、「きっとあの聖火台の下を掘ると天然ガスが出て来るから、それに引火すれば一気に火柱が上がって、聖火が灯るんじゃない!」などと言ってしまいました。
その時は気が付かなかったのですが、帰国してから、あの聖火台と競技場はアジア競技大会のために造られたものではないか?と思ったのでした。
まぁ、何れにしても、かなり立派な施設ですから、あのままにしておくのは勿体ないですし、今後のカタールの発展を応援するということで、2016年はカタールでオリンピック開催!でどうでしょう……?

巨大「聖火台」と競技場ドーム
- ※本文中に掲載のデータ等は、在ドバイ日本総領事館HP、カタール商業銀行作成資料、カタール不動産投資会社作成資料、UDC社HPなどより。
<コラム>
〜首長国の世襲制度〜
ドバイもカタールも首長が統治している国です。首長のもと議会なども置かれてはいますが、統治権は首長にあり、国の主要ポストには首長の一族がすわっています。そしてこの首長の座、基本的には歴代首長が決める次の首長に引き継がれるので、我々の国のように選挙はありません。首長一族の世襲制です。ご存知かと思いますが、イスラム社会では一夫多妻制(4人まで)が認められているので、一族の人数も多く、人材にも恵まれ、この体制が続けていけるのでしょう。(一夫多妻制についてのお話は、また別の機会に……)
なんとも不思議な感じがしますが、見方によっては、国の運営において責任の所在が明確で良いのかなとも思えます。

ハマド首長、がっしりしていてちょっと恐そう(?)
さて、現カタールは首長のシェイク・ハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニをトップに、サーニー家一族が統治権を握っているそうです。このハマド首長、1995年6月に現首長の座に就きましたが、この時の政権交代は、父であるハリーファ前首長の外遊最中の無血クーデターによるものです(昨年の大河ドラマ武田信玄が思い起こされました)。
現地のガイドさんによると、この政権交代に対して、隣国サウジアラビアは父ハリーファ前首長の復権を後押しそうですが、結局ハリーファ前首長はドイツに亡命することに。しかし、ハリーファ前首長の奥様、ハマド現首長の母が亡くなったことを機に、2004年10月に前首長はカタールに帰国したそうです。この機に父子は和解したのではないでしょうか。
ちなみに、調べてみたところ、父ハリーファ前首長が1972年に首長の座に就いた時も、当時の首長外遊時のクーデターによるものでした。歴史は繰り返すのですしょうか。
世襲制と言っても、複数の夫人と大勢の子供達、いろいろ複雑なのかもしれませんね。
「見ると聞くとじゃ大違い!? 現地視察レポート」シリーズ〜第二弾 中東
- 第1回 ドバイ国際空港編
- 第2回 ドバイ—開発プロジェクト編 1
- 第2回 ドバイ—開発プロジェクト編 2
- 第2回 ドバイ—開発プロジェクト編 3
- 第3回 カタール編 1
- 第3回 カタール編 2
- 第3回 カタール編 3
- 第4回 ドバイ証券取引所編 1
- 第4回 ドバイ証券取引所編 2
- 第4回 ドバイ証券取引所編 3
- 第5回 ドバイあれこれ編〜クリーク〜
- 第5回 ドバイあれこれ編〜スークとショッピングセンター〜
- 第5回 ドバイあれこれ編〜建築物〜
- 第5回 ドバイあれこれ編〜王様(首長)〜
- 第5回 ドバイあれこれ編〜コラムその1〜
- 第5回 ドバイあれこれ編〜コラムその2〜

