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第3回 カタール編 2
【カタール商業銀行(Commercial bank of Qatar)】

カタール商業銀行ロゴ
カタール商業銀行は、1975年にカタールの大きな商業家が創業、カタール国内で初めて住宅ローン・サービスを提供した、民間銀行としては最大の銀行です。現在23の支店網と115台のATMを有していて、テレフォン・バンキング、インターネット・バンキングのサービスも提供、コールセンターは24時間対応。会社のマネジメントに関しては、取締役会は創業者一族により運営され、また、執行役員はスタンダード・チャータード銀行やシティバンクなどからも招いているとのこと。
同社の成長戦略は、カタール国内に留まらず、自国の高い経済成長力を土台に(年率10%程度の成長が前提)、湾岸諸国全域に拠点を置く事業展開です。
2005年7月に「National Bank of Oman」(30年の歴史を持つオマーン第2の銀行)の34.9%の株式を取得、2007年11月には「United Arab bank」(UAE全域で営業)の40%の株式を取得し、湾岸地域でのネットワークを拡大しています。同社はグループ化した両銀行の経営改革を行いつつ、3行の持株会社を設立し、業務基盤を共通化すると共に、グループ内の人材の流動化(有効活用)を進めているとのこと。グループ3行を併せると、総資産150億ドル、90支店、230ATMになり、グループ化したことでエジプト、イエメン、イラン、イラクなどにクレジットカード事業が広がるなどの相乗効果がでているようです(ちなみに、このクレジットカード業務、カタール国内では51%のマーケット・シェアを握っているとのこと)。
業務は大きく、(1)個人向け銀行業務、(2)法人向け銀行業務・投資銀行業務、(3)イスラム金融業務、の3つに分かれており、資本の割合としては(1)20%、(2)75%、(3)10%、それぞれの業務からの営業利益の割合は(1)30%、(2)65%、(3)5%。
2007年9月末時点における総資産は112億ドル(前年同期比+53%)、ローン残高65億ドル(+62%)、預金残高69億ドル(+57%)、純利益も約3億ドル(+51%)と業容は拡大しているそうです。
ローンのポートフォリオは、2003年12月時点では利益率が低い政府・政府系機関向けの割合が35%と一番高かったのですが、2007年9月には12%となっており、徐々にリスクは同じくらいでも利益率が高い商業プロジェクトへとシフトさせているとのこと。また、ローンなども含め、リスク・マネジメントはABNアムロ銀行よりノウハウの提供を受け、取締役会直結の組織が管理していて、この組織が正しく機能していることと、カタール経済の好調さも相俟って、同社の不良債権比率は0.8%と極めて低い水準だそうです(カタール国内の他社平均は1.5〜1.2%程度)。
同社は、カタールの経済成長について、今後3年間の実質GDPの伸びを年率12%ほどと予想しており(これまでの3年間は年平均14%ほど)、それ伴う企業や個人の資金需要が見込まれ、金融セクターも大きく伸びていくと考えています。それは国際的な金融機関も同じようで、中東地域への進出の機会を狙っているようだ、ともおっしゃっていました。
同社の株式はドーハ証券市場に上場されていますが、外人の持株比率は上がってきていて、現在は10%ほどになっており、1年前の5%からは2倍になったとか(同社の規定では外人持株比率の上限は現在は25%)。世界の投資家の注目が中東地域に向かってきているのですね。
以上のようなお話しをしてくださったIR担当の方は、これからこの後、某米系大手投資銀行の人に向けてのプレゼンテーションがあるのだ、と言って帰っていかれました。
【カタール不動産投資会社(Qatar Real Estate Investment Co (ALAQARIA))】

カタール不動産投資会社ロゴ
カタール不動産投資会社(以降ALAQARIA)は、カタールのエネルギー省の起案により設立され、カタール政府が約29%の株式を保有している、カタール国内で主に産業関連の住居施設の開発を行っているディベロッパーです(取締役会のメンバーには、財務省と後述の政府系企業「Qatar petroleum(以降QP)」から各1名が参加しています)。
この分野においては、15万ドルくらいまでの中規模のものから、町の景観を変えるほどのメガサイズのプロジェクトまでほぼ同社の独占状態だそうです。また、中規模のプロジェクトでは、一般商業施設、一般住居施設なども案件を選別、またはパートナーを見付けて手がけているとのこと。
同社にとって最も大切なパートナーとなる会社は「Qatar petroleum(以降QP)」、カタールの石油・ガスの全ての権益を有している100%カタール政府出資のエネルギー関連企業です。
手がけるプロジェクトは大きく3つのパターンに分けられます。まず1つ目は、プロジェクト完了後、発注元に所有権を引き渡すもの。このパターンの場合はほとんどがQPからの要請に基づくもので、構想・計画がQPに承認されてから実行(正式受注)となります。案件完了後の物件は、発注元のQPに一旦引き渡された後、改めてQPから同社に家賃10年固定、維持費はQPの負担でリース権利が付与されるスキームとのこと。このパターンでは、発注元の要請に基づくものなので用地は発注元が手当しALAQARIAは費用ゼロ、その他のコスト+10年間リースで約12%の収益率を前提に全体の費用を決定しているそうです。
2つ目のパターンは、案件完了後、物件の受け渡しを行うが、運営を任されるパターン。このパターンは政府からALAQARIAの独占が認められていて、これも25年間契約で主にQPなどの産業施設の労働者用住居として提供されている、全戸埋まっている状況。維持費用はALAQARIAの負担ではあるものの、毎年契約更新時に家賃へ反映することが可能で、2007年は30〜40%の賃料UPが認められ、実質的にはQPが負担するような形である。
3つ目のパターンは案件完了後も物件をALAQARIAが保有するパターン。これは政府から土地の所有が認可されている居住区の開発になります。主にカタールのガス会社(「Ras Gas
」、「Qatar Gas」)や外資系石油会社(エクソン、シェルなど)の従業員向けで、25年間の賃貸契約で、賃料は5年毎に見直します。現在、このパターンで260万m2の居住区の開発を手がけているそうです。
また上記以外に、パイプラインのプロジェクトも受注しているほか、高い経済成長を背景に収益が見込まれる商業施設のプロジェクトも手がけているとのこと。
これまでにALAQARIAが手がけて、すでに完了したプロジェクト約360億円のうち、80%近くが政府関係機関に関するものであり、また、現在進行中のプロジェクト約870億円のうち、91%が政府関係機関と契約ということです。
業績の点では、2005年以降、総資産、純利益ともに大きく伸びています。2006年度末に総資産は約1,140億円で前年度比+100%、純利益については2006年度約41億円で、2007年度は倍増して約90億円程になる予定とのこと。すごい伸び率ですね。
このような業績の急拡大を注目されてか、こちらの会社も外国人の持株比率は2年前の1%から、現在は16%と大幅に上昇しています。主に欧米のファンドが保有しているようです。同社も現在は外国人の保有上限を会社の規定で25%としていますが、この上限を法的制限の49%まで引き上げることも検討しているようです。
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