MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 英国金利見通し:2008年2月12日
2月6–7日に開催された英国中央銀行(以下、英中銀)の金融政策委員会会合では、政策金利を0.25%引き下げ、年5.25%としました。この決定は広く予想されていたため、短期金融市場や株式市場は特に混乱することはなかったようです。会合後の声明では、世界的には生産増加見通しの悪化や金融市場の混乱が続いていることが指摘されており、英国内では、金融機関の融資基準の厳格化によって個人消費支出の伸びは低下している、との見解が示されています。12 月の消費者物価上昇率(CPI インフレ率)は前年比2.1%と高い数字でした。短期的にはエネルギーや食品価格上昇によってインフレ率は一段と上昇する可能性があるとみられていますが、将来的には生産活動の停滞などによって消費者物価上昇率は英中銀が目標とする年率2%レベルに落ち着くことを想定しており、今回の政策金利の引き下げはこのシナリオを前提としたものです。
今後の英中銀金融政策については、1)金融、資本市場の安定化、2)インフレ見通し、の2点が重要な判断材料となりそうです。
1)米国連邦準備理事会(FRB)は1月30日に0.5%の追加利下げを実施しましたが、英中銀の利下げは米国金融当局と協調して金融市場の混乱に対処する、との姿勢を国内外にアピールする狙いがあるのかもしれません。欧米の主要金融機関はサブプライムローン(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)関連の取り引きで巨額の損失を計上していますが、最近では米金融保証会社(モノライン)の格付けが引き下げられることによって新たな損失が発生する可能性も浮上しています。2月9日のG7(7ヶ国財務大臣・中央銀行総裁会議)でも金融市場の混乱は短期間で収束しないとの見方で一致しており、追加金融緩和が可能である国は適切な措置を講じることが予想されます。
2)しかし、英中銀総裁、副総裁は追加金融緩和の必要性について特に言及していません。これは現在、中期的なインフレを予測することが非常に困難であるからだと思われます。原油価格や食料価格は大きく低下する見込みがないため、2月以降に全体の物価上昇率が前年比3%を超える可能性もあるとみられています。また、ユーロやドルに対してポンド安が進んだ場合は、輸入物価を押し上げる要因となるため、為替動向にも注視が必要です。
その一方で、英国内の銀行の多くは貸出基準を厳格化することを検討しており、今後は個人消費の伸びが著しく抑制されることも予想され、インフレ率は段階的に低下する可能性があります。
インフレ率が予想以上に上昇しなければ、早ければ4月にも0.25%の追加利下げを実施する可能性があると考えられますが、そうでない場合、利下げのタイミングを急がない可能性もあります。
英中銀が追加利下げに極めて慎重になった場合、将来的に大幅な利下げを要求される可能性があることは否定できないと思います。
インフレ見通しについては消費者信頼感の動向がこれまで以上に注目されることになりそうです。個人消費、生産活動全般、賃金動向にも注意が必要であり、これらの指標に消費の落ち込みや賃金上昇率の大幅な鈍化など大きな変化が確認された場合、インフレ圧力が急速に減退する可能性があります。
その時点で国内の金融、資本市場の安定化が達成されていない場合、英中銀は大幅な金融緩和に追い込まれる可能性があります。その場合、英中銀は経済活動の停滞を避けるための措置として数ヶ月に一度のペースで利下げを行う必要がでてきます。
市場関係者の間では利下げはあと2回程度にとどまるとの見方もあります。ただし、英大手金融機関が大幅な資本不足に陥る可能性が高まった場合は、FRBと同様に緊急利下げを英中銀も実施する可能性があります。
2月中に発表される英国の主要経済指標では、1月消費者物価指数(12日:12月+2.1%)、1月小売売上高指数(21日:12月−0.4%)が注目されそうです。インフレ見通しについては、2月13日に公表される英中銀四半期物価報告も重要な参考材料となりそうです。英中銀金融政策委員会会合議事録(2月会合分)は2月20日に公表予定となっています。
| 2月12日時点 | 1ヶ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 5.25% | 5.00〜5.25% |
| 英国2年国債利回り | 4.06% | 4.00〜4.20% |
| 英国10年国債利回り | 4.43% | 4.25〜4.45% |
株式会社フィスコ
小瀬正毅
※当レポートでは米ドルをドルと表記しています。
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レポート提供:株式会社フィスコ
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