MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート ユーロ金利見通し:2008年2月12日
ECB(欧州中央銀行)の2月7日の定例理事会では、政策金利はまたも大方の予想通り「据え置き」となりました。
本レポートの1月分で、「ECBは、当面は政策金利を据え置きますが、いずれ緩和方向へ舵を切る余地が生まれるのではないかと考えています」と書きましたが、その通りとなりそうな新たな動きが見られました。
順を追って、会合後のトリシェ総裁会見を見ていきましょう。
まず、成長については、「ユーロ圏の経済ファンダメンタルズは健全」なるも、「各国経済の成長減速がユーロ圏にも影響」した結果、「ほとんどの指標が成長リスクは下向きである事を示して」おり、今後については「金融危機が経済に与える影響は不明確」・「成長への不透明感は著しく高い」・「市場混乱の影響で著しい不透明感」があり、「新たなECB見通しは3月公表」・「ユーロ圏成長はおそらく潜在的水準の下限近辺」と述べました。
次に、インフレについては、「インフレは向こう数か月2%以上を維持」・「価格リスクは上向き、予想以上の賃金の伸びを含む」・「ECBはインフレ長期化予想」と述べました。
また、金融政策については「今日の会合で利下げ、利上げの提案無し」・「政策決定は全会一致」とし、あくまで「ECBは常に価格安定維持を目標」・「政策金利4%維持で、物価安定実現」を目指すとする一方で、金融危機への対処として、「ECBは金利に関し事前約束はしない」・「ECBは必要ならばいかなる行動もいとわない」とし、「引き続きすべての動向を非常に注意深く監視していく」・「ECBは常に警戒体制」にあると述べました。
サブプライムで波乱となっている短期金融市場については、ECBは「FRB(米連邦準備理事会)やスイス国立銀行と1月に実施した対策に非常に満足」しており、またその対策の結果、「(短期金融市場の)緊張が疑いなく軽減したことに、われわれは非常に満足」、今後についても「必要とあればドル緊急資金を供給」する準備があると述べました。
では、上記発言の中で、特に注目すべき部分をピックアップしましょう。
成長について「ほとんどの指標が成長リスクは下向き」・「成長への不透明感は著しく高い」・「市場混乱の影響で著しい不透明感」と述べたのは、経済成長についてかなりECBが慎重になっていることを示唆しています。
また、金融政策について「今日の会合で利下げ、利上げの提案無し」と述べています。ここで1月は、「利上げは討議したが、利下げは話し合われなかった」としたのに比べると、<利上げの提案がなかった>ことに注目すべきです。つまり、2月にはもはやインフレのために金融政策を引き締めるべきだと考えた政策委員はいなかったのです。
ただ、政策が直ちに、つまり3月に緩和に向かうかどうかは若干不透明な部分があります。何故ならば、まず、「ECBはインフレ長期化」を予想し、また「政策金利4%維持で、物価安定実現」と述べているからです。
この点、近い将来(3月)に政策変更するかどうかのカギは二つあると思います。
第一は、経済成長に関する「新たなECB見通しは3月公表」ということです。ここで大幅な下方修正があり、ECBのメンバーもそれに納得すれば、緩和はあるでしょう。
第二に、インフレが賃金にどう波及するかという点も大事となります。ECBは安易な賃上げをしないよう呼びかけていますが、そうならなかった場合、インフレと賃金のスパイラルが起きるリスクがあります。
更に、金融論的分析も重要です。引用にはないですが、ECBはかなりマネーサプライや貸出の高い伸びを気にしており、これがそれまでに落ち着いてくれば緩和しやすくなるでしょう。
具体的なタイミングの問題はなお残りますが、ECBが金融緩和へ向けて徐々に舵を切りつつあるのは間違いないようです。
| 2月12日時点 | 1ヶ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 現行4.00% | 3.75〜4.00% |
| 2年国債利回り | 3.06% | 2.85〜3.35% |
| 10年国債利回り | 3.86% | 3.75〜4.10% |
株式会社フィスコ
田浦哲哉
※当レポートでは米ドルをドルと表記しています。
マーケットに関する用語はこちらから
- 当レポートは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。投資対象・投資機会の選択などの投資にかかる最終決定は、お客さまご自身の判断でなさるようにお願いいたします。当レポートは、ソニー銀行株式会社の依頼に基づき、株式会社フィスコが独自に作成したものであり、ソニー銀行株式会社の見解や見通しを表すものではありません。当レポートは、株式会社フィスコが信頼できると判断した情報源をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、株式会社フィスコおよびソニー銀行株式会社は保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。当レポートの記載内容に関するご質問・ご照会などには一切お答えいたしかねますので予めご了承お願いいたします。また、当レポートの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
- 本文、データなどに関しましては、著作権法などの法令、規制により知的所有権が保護されており、個人のかたの本来目的以外での使用や他人への譲渡、販売、コピーは認められていません(法令による例外規定は除く)。以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。
レポート提供:株式会社フィスコ
株式会社フィスコは1995年5月に設立された日本では数少ない独立系の金融市場の調査機関として、機関投資家や個人投資家へリサーチサービスを提供しています。

