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セミナーレポート
ソニーバンク外貨セミナー「2008年為替相場の見通し」

必ずお読みください 外貨預金の重要事項

2008年為替相場の見通し 講師:山下政比呂氏(株式会社フィスコ リサーチマネージャー)

中国がサブプライム支援に乗り出す可能性も

2008年のイベント
■米国
  • 米国大統領選挙(11月4日) ⇒ 中東政策・住宅政策
    ☆ドル・円相場:平均稼働率 対始値 12.67%(1972年〜2004年)
  • サブプライムモーゲージ金利改定(3月頃) ⇒ 約8900億ドル
■ロシア
  • 大統領選挙(3月2日)
■中国
  • 北京オリンピック(8月8–24日) ⇒ バブル&人民元切り上げ
■台湾
  • 総統選挙(3月22日) ⇒ 極東の地政学的リスク
■日本
  • 福井日銀総裁退任(3月19日) ⇒ 日銀追加利上げ時期
  • 洞爺湖サミット(7月7–9日) ⇒ 福田政権

2008年の為替相場に影響を与えるイベントですが、まず11月4日に米国大統領選挙が実施されます。ドル・円相場は大統領選挙が実施される年には動きません。なぜなら新しい大統領の為替政策が見えないからです。1972年から9回大統領選挙がありましたが、これまで1月2日の始値から13%ぐらいしか動いていません。
いま、米国で一番の課題といえばサブプライムローン(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)問題です。サブプライム・モーゲージの金利改定が来年3月頃に予定されており、1兆3,000億ドルの債権のうちの 8,900億ドルを対象に、現在の7–8%の金利から10–11%ぐらいに上がる予定です。第2四半期の延滞率は大体13–14%といわれていますが、金利引き上げによって、延滞率の上昇が予想されており、サブプライム悪化=ドル暴落・株暴落というシナリオが考えられます。この金利改定は、12月5日に米財務省主導で一時凍結されることになりました。

2008年に北京オリンピックが開催される中国は、かつての日本と状況が似ています。日本は1964年の東京オリンピック、70年の大阪万博を経て経済成長を遂げました。中国は来年の北京オリンピック後に2010年の上海万博も控えています。日本のような高度経済成長時代を迎えるためには、上海万博まで人民元の切り上げは行いたくないでしょうが、米国は人民元の切り上げ圧力を強めています。そこで、考えられるシナリオとしては、1兆4,000億ドルもの外貨準備を擁する中国がサブプライム対策基金へ投資し、その見返りとして人民元の切り上げを上海万博まで待ってもらう可能性が出てきます。
こういうシナリオができれば、中国マネーが米国に入るということになり、底なしというサブプライムローンの恐怖感が払拭されるのではないかと思っています。

アフガニスタンの蝶

☆バタフライ効果:北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起きる。

 1980年2008年
米国住宅市場危機S&L(貯蓄貸付組合)
問題4000億ドル
サブプライム問題
1500億ドル〜4000億ドル
米国大統領選挙
政権交代
カーター(民主党) ⇒ レーガン(共和党)ブッシュ(共和党) ⇒
オリンピック
共産圏
モスクワ北京
地政学的リスクソ連:アフガニスタン侵攻
イラン・イラク戦争
米:アフガニスタン駐留
米:イラク駐留
原油価格40ドル
第2次オイルショック
99ドル
第2次オイルショック現在価格
金価格現物:850$
先物:875$
847.50$

「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起きる」とも例えられ、ささいな誤差が大きな誤差になっていくという意味のバタフライ効果という言葉があります。
「アフガニスタンの蝶」というタイトルは、アフガニスタンのチョウがはばたいて、世界中が1980年と2008年で同じように状況になっているのではないかということを私が読み物として書いてみたものです。

1980年にはソ連のアフガニスタン侵攻、イラン・イラク戦争が起き、第2次オイルショックによって原油価格が40ドルになりました(現在の価格に置き換えると約100ドル)。現在は、米国がアフガニスタンとイラクに駐留し、原油価格は99ドルまで上昇しました。さらに、1980年にモスクワオリンピックが開催され、2008年は北京でオリンピックが行われます。
また、1980年にはサブプライムローン問題とよく似た、S&L(貯蓄貸付組合)問題という住宅市場危機も起き、約4,000億ドルの損失を計上しました。今回のサブプライムローン問題がS&L問題のように4,000億ドルの損失になったら、解決までもう少し長引くことになるかもしれませんが、私の見通しとしては2,000億ドル程度で済むと見ています。

サブプライム問題の見通し
■楽観論
  • サブプライム対策基金(M-LEC):米国財務省保証 800ドル〜1000億ドル規模
  • Hope Now Alliance:住宅ローン金利一時凍結案 12/5予定
  • 米国連邦準備理事会(FRB):金融緩和&流動性供給
  • バーナンキFRB議長損失推定:1500億ドル(11月700億ドル計上)
  • 健全な世界経済&企業財務状況 ⇒ 金融システミックリスクへは至らない
■悲観論
  • 株&不動産下落 ⇒ 逆資産効果 ⇒ デフレ ⇒ 景気後退 ⇒ トリプル安
  • 信用収縮懸念 ⇒ 流動性クランチ ⇒ 景気後退 ⇒ トリプル安
  • 米国財務会計基準審議会(FASB)157号 レベル3 2007年11月15日
  • 金融保証保険会社(モノライン) ⇒ 地方債&ABS(自動車ローン)の混乱
  • 損失推定:2000億ドル(IMF)〜3000億ドル(OECD)
■問題の本質
  • レバレッジ投資 ⇒ LTCM破綻 損失約40億ドル
  • 住宅市場悪化 ⇒ S&L(貯蓄貸付組合)危機 損失約4500億ドル

改めてサブプライムローン問題についてご説明しましょう。
住宅ローン市場が10兆ドルあって、アメリカのGDP(国内総生産)13兆ドルのうちのサブプライム市場は約1.3兆ドルです。延滞率は14〜15%ですから、損失として約1,700億ドル程度が算出されます。延滞率は金利が上がれば上がるほど増えていきますので、いずれ市場全体1兆 3,000億ドル、100兆円以上の損になるのではないかというのが今の懸念材料です。
サブプライムローン債権を債券化(証券化)していったものが、RMBS(住宅ローン担保証券)、それをまた証券化したのがCDO(債務担保証券)といわれているものです。これにSIV(特別目的運用会社)を作って、そのお金をABCP(コマーシャルペーパー)で集めて、円キャリーとか世界中の投資家が投資して、お金が流れて行った、という図式になります。サブプライムローンが順調に返済されている限りは、低金利2–3%で調達したお金が、7–8%で戻ってくる(SIVという箱を通じてレバレッジを掛ける)わけですから、非常に収益性の高い仕組みだったわけです。
しかし、この箱の中にお金が流れてこなくなったため、価値がわからなくなり解約をストップ、市場はパニックになりました。それがサブプライム問題の真相です。

サブプライムローンをどこか危険な国で農薬(毒)をいっぱい使って育てた野菜に例えます。そのままだと食べられないので、切り刻んで他の国の安全な野菜などと混ぜてサラダにします。これがサブプライムローンの債券化です。そして格付け会社がドレッシングをかけて美味しく見せる。サラダだけでは寂しいので、この野菜を使ってピザにしたり、野菜スープにしたりして多くの人が食べました。ところが、世界中の人が食べた後に農薬がたくさん入っていたことが判明し、パニックになったというわけです。

サブプライムローン問題の今後の予想としては、楽観論と悲観論という2つのシナリオがあります。まず私と同じ楽観論ですが、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長の損失推定である1,500億ドル。ローン金利を一時凍結して、FRBが金融緩和と流動性の供給を講じて、1,500億ドルの損失で済むというシナリオです。
一方の悲観論は、地方債とか自動車ローンまで保証している金融保証保険会社にまで影響を及ぼし、損失がよくて2,000億ドル、最悪の場合は4,000億ドルぐらいに膨れるという考えです。

 

 

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