MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 米国金利見通し:2007年12月13日
12月11日(現地時間)の連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の追加引き下げを行い、フェデラル・ファンド(FF)金利を4.25%、公定歩合を4.75%としました。
FOMC後の声明のポイントは、「景気促進、物価安定のために必要な対処」として「利下げは“緩やかな成長”を促進するため」であると述べました。また、「金融市場の悪化などが成長、インフレに不確実性を与えた」・「引き続き金融、経済見通しの評価を継続」する、と表明しました。「住宅市場の調整の激化、企業設備投資、個人消費の弱まりを受けて経済成長が鈍化」しており、「コアインフレは今年は改善」したが、「エネルギーや商品価格の上昇がインフレを押し上げる可能性」があり、「インフレリスクは存続し、注意深い警戒を継続」していくと述べています。「今回の決定は9対1」の賛成によるもので、反対は「ローゼングレン・ボストン連銀総裁が0.5%の利下げを主張」したと述べました。
大幅利下げの期待の高かった公定歩合の下げ幅は0.25%にとどまりましたが、翌日、欧米5中銀(米FRB、ECB、英中銀、カナダ中銀、スイス中銀)による資金供給策が公表されました。
流布している分析によると、グリーンスパン時代のFRB(連邦準備理事会)は、彼の最後の時期を除き、実体経済などの指標の悪化・改善以上に機動的に政策金利を上下させ、そのことが実体経済の安定を生んだとされています。この分析が正しいとするならば、今回のFOMCのような小出しの反応は、今の局面ではかえって経済のダウンサイド・リスクを高め、その後緩和しすぎることになるといえるかもしれません。
FOMC声明文にいう「不確実性」は、中央銀行の使用する用語ではあまりいい意味に使われることはないため、これを以って「FRBは次回以降、緩和にも引き締めにも動く余地を作った」ととらえるのは素直すぎる解釈だと思われます。とはいえ、下げ幅を0.25%にとどめるにしてもより追加緩和を示唆する文言は使えただろうことを考えれば、FRBには、目先の実体経済を犠牲にしてもインフレやインフレ期待を落ち着かせる、といった一定の意図、ないしは、緩和後引き締めに転じた1998年のトラウマがあったのかもしれません。
投票内容については、ローゼングレン・ボストン連銀総裁が0.5%利下げを主張したことで、思わぬハトを見出した感があります。ボストン連銀はいわば彼の肝いりで、「住宅ローンの債務不履行の最大の要因は、住宅価格の下落そのもの」という研究結果を公表しています。つまり、政府・財務省主導の(実効性が疑われる)サブプライム救済策の主眼である返済負担の改善より、資産価格の下落にこそ対応が必要、ということで、これにも裏打ちされたローゼングレン総裁の経済への悲観的な見通しがあったものと推定できます。
翌日の欧米中銀による短期金融市場に対する大量の資金を供給するという緊急協調政策発表後、インターバンク市場は機能不全、CP市場は崩落状態に陥るなど、短期金融市場では緊張感が高まりました。しかし、経営難との「烙印-stigma-」のない資金供給は、利用されにくい公定歩合借り入れを促すよりは数段上策であり、一歩前進といえます。
ことの本質は不良債権問題です。
FRBの公表資料にあるように、FRBは資金供給のアイデアを募っており、追加措置を含めて事態はまだ流動的であり現時点での評価でしかありませんが、(1)どういう担保をどういう掛け目で受け入れるのか、(2)どういう主体に貸すのか、という問題があります。前者(1)の問題としては、事実上市場が存在せず、販売した金融機関でさえ評価が困難な商品があることが挙げられます。10日付けウォールストリート・ジャーナル紙は「CDO(社債や貸し出し債権などから構成される資産を担保として証券化した商品)の価値の評価を多少の規模で行おうとすれば、コンピューターの計算コストだけで数億ドルかかる」としています。このような資産のリスクと評価が適正に行われない時、不良債権のコストは、民間から各中銀に移転されることになり、最終的にはどの程度の価値が実現するかによりますが、中期では納税者の負担となります。このクズ資産を抱え込んでいる中銀の発行するペーパー・マネーの価値には強気にはなりにくいでしょう。
さて、他方で後者(2)の問題として、FRBは誰に資金注入するかという問題があります。FRBの資料には「預金受け入れ機関」つまり銀行とあります。中央銀行としては当然ですが、では証券会社はどうでしょう?グリーンスパン時代にブーム化したFRB管轄外の非伝統的金融機関にも資金は注入されません。銀行が今後こういうところに進んでと貸し出すことも考えにくく、そういう部分での金融仲介の凍結問題は解消されません。今後FRBが非伝統的金融機関への資金注入をせざるを得ない事態はありえますが、不良債権は不良債権として、結局また中央銀行のバランスシート問題に戻ります。
| 12月13日時点 | 1ヶ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 4.25% | 3.75〜4.25% |
| 2年債金利 | 3.13% | 2.90〜3.50% |
| 10年債金利 | 4.09% | 3.90〜4.50% |
株式会社フィスコ
田浦哲哉
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レポート提供:株式会社フィスコ
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