MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 英国金利見通し:2007年12月10日
英国中央銀行(以下、英中銀)は12月5―6日に開催された金融政策委員会会合で0.25%の利下げを決定し、政策金利を年5.50%に改定しました。英中銀の政策金利は2003年11月の3.75%から2004年8月には4.75%まで上昇し、2005年8月に0.25%の利下げを実施した後、2006年8月に再び利上げが実施されました。以後、インフレ圧力の増大に伴い、合計4回の利上げが実施されており、今回の利下げは2005年8月以来となります。
今回の利下げは、インフレ圧力が消え去っていない中で実施されたとの見方が多く、この決定が意味することは重要であると思われます。一部の英大手銀行は今年8月頃より短期金融市場(ロンドン市場)での資金調達に支障が生じており、英中銀は国内金融市場における信用収縮不安が全体の資金需要を大きく抑制するだけの影響力を持つと判断したようです。英ノーザンロック銀行で預金取り付け騒ぎが発生した際、英中銀は利下げを見送りましたが、米国金融市場における信用収縮不安がひとまず後退したことや、インフレ見通しが不透明であることが、利下げ見送りの主な理由であったと考えられます。ただ、一部英大手銀行はその後もまとまった規模の資金調達が困難となっていたもようで、ロンドン市場(銀行間取引)における資金調達コスト(英ポンド、特に1ヶ月物金利)が高止まりしていることはその有力な証拠であるとみられています。12月に入って1ヶ月物英ポンド金利は11月末と比べて0.6%程度上昇しました。年末越えの金利がある程度上昇することは不自然ではありませんが、0.6%も上昇することは決して正常ではないと思われます。これは0.25-0.5%の利上げ実施と同様の影響を与えるものであり、国内経済全体のことを考えると、英中銀がこのような状態を放置することは妥当ではないと判断したのでしょう。
ここで、先月(11月7―8日開催)の英中銀金融政策委員会会合で議論された内容を点検したいと思います。英中銀はこの時点で、短期金融市場が2008年2月までに0.25%の利下げ実施を想定していることを、先物金利の推移などから把握しています。また、銀行間取引における資金の出し手が少なくなっていることも認める一方で、8月までの各種経済指標内容を見る限り、それまでは英国経済が堅調さを保っていたと判断しています。問題となったのは9月以降における経済情勢ですが、住宅市場の成長が鈍化の兆しを見せていることや、事業法人や投資家などの資金調達が多少困難となっていることが確認されています。ただ、インフレ見通しについては中立の立場であり、これを大きく変えなかったことが11月の会合で政策金利の現状維持を決めた主な理由であったと思われます。
11月の会合時点で確認されている各種経済指標は強弱混在となっていたにもかかわらず、金融政策を決定する投票では9名中2名の委員(ギーブ氏、ブランチフラワー氏)が利下げを支持(現状維持に反対)したことで、次回(12月)の会合で利下げが実施される可能性があることを予見させる結果となりました。
英中銀の今後の金融政策については、主に、1)国内住宅価格の推移、2)インフレ見通し、の2点についての予測、判断がキーポイントになると思われます。ただ、英大手銀行がサブプライムローン(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)関連取引で予想以上の損失を被っている可能性を否定できないため、今年10―12月期の業績次第では来年2月の会合で追加利下げを実施するケースも予想されます。また、12月の会合でキング英中銀総裁が現状維持を支持したのか、利下げを支持したのか、この判断にも注目が集まっています。過去における金利引き上げを主に支持してきたキング総裁の姿勢に変化が生じた場合、英中銀が2008年中に何度かの利下げを断行する可能性が高いと思われます。
なお、12月中に発表される英国の主要経済指標では11月消費者物価指数(18日:10月+2.1%)、同月マネーサプライM4(20日:10月+11.8%)11月小売売上高指数(21日:10月−0.1%)などが注目されています。英中銀金融政策委員会会合議事録(12月分)は12月19日に公表予定となっています。
| 12月10日時点 | 1ヶ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 5.50% | 5.25〜5.50% |
| 英国2年国債利回り | 4.49% | 4.30〜4.60% |
| 英国10年国債利回り | 4.64% | 4.50〜4.70% |
株式会社フィスコ
小瀬正毅
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レポート提供:株式会社フィスコ
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