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金利レポート
フィスコ金利レポート 円金利見通し:2007年11月13日

「日銀の追加利上げは当面はやや困難な環境に」

11月12―13日に開催された日銀金融政策決定会合(以下、決定会合)では、引き続き8対1の賛成多数での金利据え置きが決定されました。今回も反対は水野委員一人でした。

最初に前回(10月31日)の決定会合以降の市場の様子から見てみましょう。日本の長期金利は決定会合翌日の11月1日に、1.670%まで利回りが上昇しました。
31日の米FOMC(連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備理事会)が予想通り政策金利を0.25%引き下げたものの、声明文から次回の追加利下げ観測がいったん後退したこと、また7―9月期米GDP(国内総生産)が予想を上回ったことなどから、米国国債が下落(利回りは上昇)したのが要因となりました。
しかし、11月1日にカナダの金融大手CIBC(カナダ帝国商業銀行)が、シティグループの投資判断を「中立」から「売り」に引き下げたことがひとつのきっかけとなり、米国市場でサブプライム問題(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)が再燃したことで、日本の長期金利はそれ以降ほぼ一本調子での低下となりました。
11月1日のダウ平均は362ドルもの下落となりました。また、2日に発表された米雇用統計の非農業雇用者数は予想を大きく上回り、これを受けて同日の米株式市場は反発しました。ただし、メリルリンチが複数のヘッジファンドとの間でモーゲージ担保証券関連の損失先送りを意図した取り引きを行っていたと報道されるなど、サブプライム問題が燻り、米国国債は続伸しました。
米メリルリンチのオニール会長兼CEOは30日に辞任を発表しましたが、米シティは追加で80―100億ドルの評価損を計上するとともに、プリンス会長兼CEOが辞任し、ルービン元財務長官を会長に指名しました。

7日の米ダウ平均は、前日比360ドルもの下落となり、米10年債利回りは4.31%に低下し、ドル円は112円台をつけてきました。バーナンキFRB議長は8日の上下両院合同経済委員会で証言し、米国の経済成長は10―12月期にかなり減速し、来年春まで停滞するとの見通しを示しました。
9日の東京市場では、みずほフィナンシャルグループが、みずほ証券と新光証券の合併を当初予定の1月から延期する方向で最終調整に入ったとの報道や、みずほ証券による米サブプライムローン問題に絡んだ損失が1,000億円超に拡大する可能性があるとの報道があったことで金融株を主体に売りが入り、債券は買われ、20年債利回りは9月18日以来の2.1%割れとなりました。
さらに9日の米国市場では、米銀大手のワコビアは10月にクレジット関連で約11億ドルの追加損失が出たとの発表などを受けて金融株が売られ、ハイテク株も下落しダウは223ドルもの下落となりました。さらにNY外為市場では円買いドル売りが進行し、ドル円は110円50銭と1年半ぶりの高値をつけました。米国国債は株安などから続伸となり、10年債利回りは4.22%と2005年9月以来の水準に利回りが低下し、さらに13日の債券市場では10年債利回りは、1.485%まで低下し、1.5%を割り込みました。
現物のイールドカーブは、ややフラット化圧力を強めました。ただ、債券相場は株式市場を見ながらといった展開となり、その株式市場も海外市場動向を見ながら、とやや主体性のない展開になっていました。
国債の入札に関しては、6日に日本では初めての40年国債の入札が実施されました。この入札結果は無難に終わったものの、8日に実施された5年国債入札は66回リオープン(同銘柄を追加発行する際に、既存債券と同一に扱う方式)となったこともあり、入札はやや低調な結果となりました。

さて、10月31日以降に発表された国内の経済指標を見てみますと、11月8日に発表された9月機械受注は、船舶・電力を除くコアで前月比−7.6%の大幅減となり、8月の−7.7%から2ヶ月連続の減少です。
内閣府が11月13日に発表した7―9月期GDP速報値は、実質で前期比+0.6%、年率換算で+2.6%となり、事前の市場予想をやや上回りました。牽引役となった外需は、輸出が前期比+2.9%となり、外需の寄与度は+0.4%となりました。
内需の寄与度は+0.2%で、事前に予想されていたように、6月の改正建築基準法の施行に伴い建築着工が急減したことで、住宅投資は−7.8%と1997年4―6月期以来の下落幅となりましたが、設備投資が前期比+1.7%、個人消費も同+0.3%となり、これらが補った形です。

以上から、日本経済については底堅い動きとなっていますが、先行きについてはサブプライム問題の再燃による米経済の行方に不透明感も強まっていることで、警戒心も強まっています。
米経済の減速が現在の日本経済へ与える影響は以前に較べて限定的となっているものの、米経済の影響が他のアジア市場や欧州市場など含めてグローバルな影響を与えるようならば日本経済に対しても少なからず影響は出る可能性もあります。
株式相場、外為相場、さらに原油先物や金先物などの波乱含みの展開は、サブプライム問題に端を発するものとはいえ、不透明感の強まりの中でヘッジファンドが決算などを睨んで動きを加速させている可能性もあります。市場が落ち着きを取り戻し、世界経済への影響がどの程度なのか見定められるまでは、日銀も動きづらいものとみられます。

11月13日に10年債利回りは1.5%を割り込み、2年債利回りは0.75%をつけました。次回日銀の利上げが実施されれば、政策金利は0.75%となる見込みですが、2年国債の利回りが同水準にあるということ自体、市場では当分の間、日銀の利上げは困難といった見方も強まっているかとも見られます。
また、当面の金利の見通しについても、株価次第では波乱含みながらも、低下圧力の方が強まりやすい地合が続くものとみられます。

過去一年間の日銀金融政策の推移

2006年12月19日現状維持、全員一致
2007年1月18日現状維持、賛成6 反対3(反対は須田委員、水野委員、野田委員)
2007年2月21日無担保コールレート翌日物誘導目標値を0.5%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
基準貸付利子を0.75%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
2007年3月20日現状維持、全員一致
2007年4月10日現状維持、全員一致
2007年4月27日現状維持、全員一致
2007年5月17日現状維持、全員一致
2007年6月15日現状維持、全員一致
2007年7月12日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年8月23日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年9月19日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年10月11日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年10月31日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年11月13日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)

予想レンジ

 11月13日現在12月20日まで
無担保コール翌日物0.5%0.5%
ロンバート金利0.75%0.75%
2年国債利回り0.75%0.70%〜0.85%
5年国債利回り1.050%1.00%〜1.15%
10年国債利回り1.490%1.45%〜1.60%

株式会社フィスコ
久保田博幸

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レポート提供:株式会社フィスコ

http://www.fisco.co.jp/

株式会社フィスコは1995年5月に設立された日本では数少ない独立系の金融市場の調査機関として、機関投資家や個人投資家へリサーチサービスを提供しています。

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