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金利レポート
フィスコ金利レポート 円金利見通し:2007年11月1日

「サブプライム問題の影響は今後後退か」

10月31日の日銀金融政策決定会合(以下、決定会合)では、先月に引き続き8対1の賛成多数での金利据え置きを決定しました。今回も反対は水野委員一人でした。

最初に前回(10月11日)の決定会合以降の市場の様子から見てみましょう。
日本の10年長期国債の金利は10月11日は1.735%でしたが、10月22日には1.555%まで利回りが低下しました。
16日にバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長は講演で、サブプライム(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)関連で金融市場の混乱が長引く恐れを示しましたが、9月の住宅着工件数が前月比−10.2%と市場予想を大きく下回るなど、経済指標にもその影響が示されました。
19日の米国市場では、企業決算や原油高などを受けて、NYダウは366ドル安となり、米国国債は続伸、10年債利回りは4.39%に低下しました。また、113円台への円高進行もあり、22日に日本国債先物は9月18日以来の水準に上昇、現物債も買われ、10年物国債の288回債利回りは1.6%を大きく割り込みました。
米証券大手のメリルリンチがサブプライム問題の影響から、7−9月期決算で9,000億円の評価損を計上としたことや、9月の米中古住宅販売が前月比−8.0%と大きく下回ったことを受けて、FRBによる追加利下げ観測も高まり、円金利も上昇しにくい状況となっています。
また、17日に発表された米地区連銀経済報告書(ベージュブック)では、すべての地区で経済活動は引き続き拡大基調であることが示されたものの、8月以降拡大ペースは減速し、個人消費も同様の動きが見られると指摘しました。製造業とサービス業についても伸びは鈍化し、サービスは住宅建設と不動産関連取引に影響を受けており、一部の製造関連企業やサービス会社は、内需の減速が世界市場への好調な輸出によって相殺された、と報告しています。住宅市場は、ほとんどの地区で国内販売、価格、および建設の悪化が報告されました。金融機関からは、焦げ付きの増加や信用に対する質の低下が報告され、多くの地区の貸し手は与信基準が厳格化され、企業向け融資が増加しているものの、個人向け融資は減少もしくは伸びが鈍化しています。

こういった状況を受けて、10月31日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き下げ、年4.5%(公定歩合も0.25%引き下げて、年5%)とすることを9対1の賛成多数で決定しました。全員一致が一応原則とみられるFOMCで、今回反対者が出たことは注意する必要もありそうです。今回反対したのは据え置きを主張したカンザスシティー連銀総裁でした。
FOMC後の声明文では、景気の下振れリスクを指摘する反面、原油価格などの上昇によるインフレ圧力も警戒すると、スタンスとしては中立的なものとなり、12月のFOMCでの追加利下げ観測は後退しています。

国内の経済指標を見てみると、総務省が26日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI)は100.3(生鮮食品を除く)となり、前年同月比で0.1%下落しました。また、10月の東京都区部のCPI(生鮮食品を除く)で100.3となり、前年同月比で横ばいとなりました。原油高の影響によりガソリンなど石油製品が上昇したことで、2ヶ月ぶりに指数がマイナス圏から脱しました。ただし、値上げされている食料品の指数全体への影響は限定的となっていましたが、今後は潜在的な物価上昇圧力となっていくものとみられます。
また、同日に総務省が発表した9月の家計調査(速報)によると、全世帯(二人以上の)の1世帯当たりの消費支出額は実質で前月比+0.7%(季節調整済み)、前年同月比では+3.2%と2004年5月以来の3年4ヶ月ぶりの高い伸びとなりました。(前年同月比の高い伸びは昨年9月が前年比大幅に落ち込んでいたことの反動との見方もあります。)

決定会合後に発表された日銀展望レポートでは、2007年度見通しは、GDPで4月の2.1%から1.8%に、コアCPIは4月の+0.1%から0.0%に下方修正され、GDPに関しては、2007年4−6月期がマイナスとなりました。6月の建築基準法改正の要因で住宅着工に影響があったためで、「住宅投資の振れが、2007年度の成長率を幾分下押しする一方」と述べられています。
CPIについては、「原材料高などの価格転嫁は企業間取引ほどには進んでいない」と記載されていますが、より長い目でみると、「(CPIの)プラス幅が次第に拡大するとみられる」との文面は4月同様に10月も残っており、2008年度見通しは、GDPで4月の2.1%から変わらず、コアCPIは4月予測の+0.5%から+0.4%に下方修正しました。
「金融環境は極めて緩和的であり、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長軌道を辿るのであれば、金利水準は引き上げていく方向にある」との内容が10月にありましたが、4月の展望レポートでは「金利水準の調整」としていたところが「金利水準は引き上げていく方向にある」と微妙に変更しているところなど、今後の利上げを意識してのものと言えるかもしれません。
福井日銀総裁は決定会合後の会見で、「グローバルな下振れリスクは高まっておりしばらく続く」、「国際金融市場は不安定な状態が続いており、今後もしばらく続く」としながらも、「金利調整ペースは必ずしも遅くなるとはいえない」、「足元の下振れリスクが強くても、低金利継続にゆるい上振れリスク却下できず」、「金利調整ペースは必ずしも遅くなるとはいえない」との発言もあり、利上げに前向きな姿勢は維持していることを示したものと思われます。

サブプライム問題の影響が後退しつつあり、12月のFOMCでの追加利下げ観測も後退しました。またここにきてビール価格の引き上げが発表されるなど、電力やガスの料金引き上げを含め、年末以降の物価上昇リスクといったものも懸念されつつあります。
11月1日にはFOMCの結果を受けた米債券安、株高から、日本国10年国債長期金利は1.6%台半ばに上昇していますが、今後は1.7%を伺う動きが予想されます。

過去一年間の日銀金融政策の推移

2006年11月16日現状維持、全員一致
2006年12月19日現状維持、全員一致
2007年1月18日現状維持、賛成6 反対3(反対は須田委員、水野委員、野田委員)
2007年2月21日無担保コールレート翌日物誘導目標値を0.5%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
基準貸付利子を0.75%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
2007年3月20日現状維持、全員一致
2007年4月10日現状維持、全員一致
2007年4月27日現状維持、全員一致
2007年5月17日現状維持、全員一致
2007年6月15日現状維持、全員一致
2007年7月12日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年8月23日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年9月19日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年10月11日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年10月31日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)

予想レンジ

 10月31日現在11月13日まで
無担保コール翌日物0.5%0.5%
ロンバート金利0.75%0.75%
2年国債利回り0.785%0.75%〜0.90%
5年国債利回り1.085%1.05%〜1.20%
10年国債利回り1.600%1.55%〜1.70%

株式会社フィスコ
久保田博幸

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レポート提供:株式会社フィスコ

http://www.fisco.co.jp/

株式会社フィスコは1995年5月に設立された日本では数少ない独立系の金融市場の調査機関として、機関投資家や個人投資家へリサーチサービスを提供しています。

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