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ハイ・イールド社債市場から見たサブプライムローン問題
米国のサブプライムローン(低所得層向け住宅ローン)問題が起因となり、世界的な株安が進行したことは、記憶に新しいと思います。その後も、米国の住宅ローン関連の証券化商品に投資していた欧米の金融機関が巨額の損失を計上するなどのニュースを耳にします。サブプライムローン問題は、ファンド運用や私たち個人投資家の資産運用にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
「PCA米国高利回り社債オープン」の運用責任者、PPMアメリカ社のカート・バーンズ氏に、サブプライムローン問題の今後の行方とハイ・イールド社債市場の見通しについて伺いました。
(このインタビューは2007年10月10日に行なわれました)
テクニカル要因か、ファンダメンタルズ要因か
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- サブプライムローン問題とは、どのような問題なのでしょうか。またこの問題はハイ・イールド社債市場にどんな影響を与えましたか。

そもそもサブプライム(住宅)ローンとは、信用力の低い低所得者層を中心に比較的高金利で融資する住宅ローンのことです。当初数年間は低金利であるなど、返済当初の負担を軽減したものが登場したことで、サブプライムローンは米国内に広く普及しました。また、サブプライムローンはABS(*1)などの形で証券化され、一部ヘッジファンド(*2)や機関投資家が投資しています。
今回の問題の引き金となったのは、サブプライムローンや関連するABSにおける、デフォルト(*3)率の悪化です。住宅ブームが過熱した結果、各自の返済能力を無視した借入を行う債務者が続出。ローン金利の上昇、住宅の過剰供給にともなう住宅価格の下落などが重なり、2007年に入り特にサブプライムローンの債務者の返済が滞るケースが目立つようになりました。
連日のように新聞やニュースでサブプライムローン問題に関する報道を目にするため、一連の金融不安がハイ・イールド社債市場へも大きな影響を及ぼすのではないかと懸念されているかたも多いと思います。しかし、あくまで社債であるハイ・イールド社債と、サブプライムローンやABSとの間に直接的な関わりはないため、ひとまず大きな影響はありません。
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- サブプライムローン問題は、米国経済に今後どのような影響を与えていくのでしょう。
重要なのは、サブプライムローン問題が、経済全体にとって表層的でテクニカルな要因(*4)に過ぎないのか、それとも経済の根幹に影響を及ぼすファンダメンタルズな要因(*5)となるのかを見極めることです。後者であれば、現在は資本市場の中だけで猛威をふるっているサブプライムローン問題も、やがては実体経済へと波及するため、社債に投資しているハイ・イールド社債といえども、この先影響を受ける可能性は高くなります。
結論から言えば、現時点ではサブプライムローン問題は、米国経済全体にとってはテクニカル要因から生ずるリスクに過ぎないと私たちは考えています。その根拠となるいくつかのデータを紹介します。
2007年8月末時点のハイ・イールド社債の発行体における業種別パフォーマンスで見てみると、8月はサブプライムローン問題が顕在化し、資本市場に大きな影響を与えたにも関わらず、耐久消費財および金融を除き、すべてプラスのパフォーマンスとなりました。また、金融セクターがマイナスのパフォーマンスとなった大きな要因としては、米国自動車メーカーの金融子会社のパフォーマンスが低調だったことが主な要因であり、サブプライムローンの影響は非常に軽微だったことが分かります。
そもそも米住宅ローンのうち、サブプライムローンが占める割合はわずか10%程度に過ぎません。さらに、その中でも特にデフォルト率が高いのは、融資のチェックが緩み、悪質なローン業者による無謀な貸付が濫発していた2006年度の融資案件です。つまり、一連の問題の震源は、米国経済全体からすると極めて小さいということです。
たしかにヘッジファンドや機関投資家はサブプライムローン関連のABSによって一定の損失を負いました。しかし、住宅は担保として処分することができますから、彼らは少なからず損失を軽減しています。
また、実体経済の部分では、2007年第2四半期の米国GDP(国内総生産)は3.8%と好調な水準で推移しています。国内全体の失業率は低く、新たな雇用の創出は11万件にもなりました。これらの堅調なポジティブ要因が、サブプライムローン問題というネガティブ要因と相殺し、最終的にはプラスになると予想されます。
2007年ハイ・イールド社債 業種別パフォーマンス

出所:リーマン・ブラザーズ
- (*1)ABS(Asset-Backed Securities)
「資産の証券化」に伴い、一定の開示された資産から生ずるキャッシュ・フローを裏づけとして発行される証券の総称。 - (*2)ヘッジファンド(Hedge fund)
少数の投資家から大口資金を集め、グローバルな規模でハイリスク・ハイリターン型の運用を行う投資ファンド。各国の通貨や株式・債券、商品市場などに幅広く投資する。 - (*3)デフォルト(Default)
発行体の財政難、業績不振等により、発行された公社債について債務不履行に陥る危険性。 - (*4)テクニカルな要因
マーケットの需給等の技術的な要因 - (*5)ファンダメンタルズな要因
実体経済の基礎的な要因
- テクニカル要因か、ファンダメンタルズ要因か
- 1998年と類似する、現在のハイ・イールド社債市場
- サブプライムショックから立ち直ろうとしている米国経済
- インタビュー後記(from MONEYKit編集部より)


