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金利レポート
フィスコ金利レポート 円金利見通し:2007年10月11日

年内追加利上げ観測も

10月10日から11日の日銀の金融政策決定会合では、8対1の賛成多数で0.5%に金利据え置きが決定されました。反対者が増えるのではないか、といった観測もありましたが、今回も反対者は水野委員一人となりました。
会合後の福井日銀総裁の会見においては、「海外経済や国際金融市場に不確実性がある」、「欧米金融市場は、いくつか改善の動きみられるが全体としては不安定」、「米調整長引けば、これまでより日本に強い影響出る可能性」として、慎重に情勢を見守る姿勢を示すとともに、物価の上昇を意識した発言もみられ、「物価の上昇が始まっていることと経済の変調は関連している」、「人々の物価感はフォワードルッキングな政策にとって非常に重要」との発言もありました。このため米経済など世界経済の動向や金融市場の不確実性が後退し、さらに国内物価の上昇などを確認しながら、利上げのタイミングを模索してくるものとみられます。

9月の会合後以降の金融市場の動きを追ってみましょう。
9月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で米FRB(連邦準備理事会)はFF金利の誘導目標値を0.5%引き下げ4.75%としましたが、これを受けて米債はむしろインフレ懸念の強まりなどが意識され、長期金利は上昇しました。日本の長期金利は、FOMC直前の1.530%から9月27日には1.725%へと0.2%程度の利回り上昇となりました。欧米の大手銀行などが米サブプライム(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)問題により大幅な損失を計上したとの報道がありましたが、むしろ信用収縮は最悪期を脱したとの見方が強まり、ダウは過去最高値を更新し、日経平均株価も17,000円台をつけています。
経済指標を見ると、8月の全国コア消費者物価指数(総務省 9月28日発表)は前年同月比0.1%の下落。9月のコア東京都区部消費者物価指数は前年同月比0.1%下落となり、引き続き消費者物価についてはゼロ近傍が続いています。
10月1日に発表された9月調査の日銀短観によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス23となり、市場予想を上回りました。さらに2007年度大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+8.7%と0.9%の上方修正となっています。ただし、中小企業の業況判断や設備投資計画が弱く、大企業との格差が広がっていることも示されました。
短観の調査時期には、サブプライムローン問題による金融市場の混乱などがあったものの、足元の国内経済に関しては、格差は広がってはいるが、全般で見る限りさほど影響ない、との認識のようです。10月末に発表される日銀の「展望リポート」については、現在のシナリオが維持されるとみられます。
米労働省が10月5日に発表した9月の雇用統計(季節調整済み)では、非農業雇用者数が前月に比べて11万人の増加となりました。市場予想を上回ったことに加え、8月の雇用者数は4千人減から、8万9千人増に改訂され、7月の雇用者数も6.8万人から9.3万人に修正されました(夏休み中の教員数などの把握に集計ミスがあった模様)。サブプライムローン問題が雇用情勢に与えた影響はあるものの、サービス業などの増加でカバーし、これまでのところ影響は限定的との見方も強まりました。雇用統計を受けて米国債券市場は短期中心に利回りが大きく上昇、米株式市場も上昇し、ダウは14,066.01ドルと最高値を更新、S&P指数も最高値を更新しました。

日銀の須田審議委員は9月27日の講演の中で、米国経済については、サブプライム問題の影響により「米国経済の成長率が潜在成長率並に回復する時期は、やや後ズレする可能性が高い」とみているものの、「(日本の)輸出の見通しにはさほど大きな影響を及ぼすことはない」と考えていることを示しています。また、今後については「どのようなスピードで金利調整するのが望ましいのか定かではない。ただ、あまりにゆっくりとした金利調整を行うと、経済が過熱するリスクが高まり、積極的に対応しなければならない」とも指摘しました。
10月4日に岩田副総裁は講演で「仮に先行きアメリカの減速度合いが強まり、欧州諸国でも景気が減速すれば、日本の成長率に下方リスクが生じ得ることに留意する必要がある」とも述べています。

日銀の追加利上げ時期はかなり後連れするとの見方が市場ではまだ強いものの、短観に見られていたように足元の日本経済はしっかりしており、サブプライム問題による金融市場での不安心理が後退し、さらに懸念も強い米経済への影響もさほど大きくはないとの見方が強まれば、年内での追加利上げの可能性はあります。
須田委員は追加利上げに対しては慎重姿勢を続けていましたが、サブプライム問題の影響が限定的と認識すれば、いずれ現状維持に反対してくるとみられます。他にも、追加利上げに積極的とみられる委員がいるのではないかとの観測もあります。
総裁会見では追加利上げを強く示唆したわけではないものの、内容からは年内利上げの可能性もないとは言えません。市場でも次第に追加利上げを織り込んでくるとみられ、長期金利は今後、さらに上昇圧力が加わる可能性があるのではないかと思われます。

過去一年間の日銀金融政策の推移

2006年10月31日現状維持、全員一致
2006年11月16日現状維持、全員一致
2006年12月19日現状維持、全員一致
2007年1月18日現状維持、賛成6反対3(反対は須田委員、水野委員、野田委員)
2007年2月21日無担保コールレート翌日物誘導目標値を0.5%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
基準貸付利子を0.75%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
2007年3月20日現状維持、全員一致
2007年4月10日現状維持、全員一致
2007年4月27日現状維持、全員一致
2007年5月17日現状維持、全員一致
2007年6月15日現状維持、全員一致
2007年7月12日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年8月23日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年9月19日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年10月11日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)

予想レンジ

 10月11日現在10月31日まで
無担保コール翌日物0.5%0.5%
ロンバート金利0.75%0.75%
2年国債利回り0.900%0.8%〜1.0%
5年国債利回り1.285%1.2%〜1.4%
10年国債利回り1.735%1.65%〜1.85%

株式会社フィスコ
久保田博幸

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レポート提供:株式会社フィスコ

http://www.fisco.co.jp/

株式会社フィスコは1995年5月に設立された日本では数少ない独立系の金融市場の調査機関として、機関投資家や個人投資家へリサーチサービスを提供しています。

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